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『二重人格』 ドストエフスキー

 ロシア文学の流れで巨匠ドストエフスキー。第二作目らしく、あとがきで解説されている通り、ゴーゴリの影響がすごく感じられる。個人的には読みながら、映画『ファイトクラブ』を思い出した。人間の心の中の相克、現実と非現実の交錯。
 引っ込み思案な小役人の心の中の理想と現実の相克が生み出した、もう一人の自分という幻覚が主人公を破滅へと導いてゆく。理想の自分である反面、現実の自分にとっては厄介な敵。それが自分自身であるということに気づかない主人公は、周囲の誰かが仕掛けた策略から逃れようと我を忘れてもがく。
 主人公の幻覚を周囲の人も共有しているような書き方がされていたが、結局全てが主人公の妄想なのだろうか?主人公の視点に立てば、狂っているのは周りの人々とも受け取れる。現実と非現実の境界線があいまいで、自分の中で整理できない。むしろそんな理性で解決できない恐ろしさを感じるべき作品なのかも知れない。ちょうど前にゴーゴリを読んでいたので、外套をなくした男の狂った様や。狂人日記の妄想の要素が多く重なって感じられた。
 ロシア文学に出てくる人物たちは、極度に情緒不安定。さっきまで嫌いといってたのが突然好きになったり、突然爆発したように饒舌に喋りだしたり、読んでいてなかなか根気が必要。でもそれは現代人の誰もが抱える矛盾する感情をよく表しているのかもしれない。面倒臭いけど、何故だか付き合ってしまう。しかし、どれだけ読んでも名前を覚えるのには苦労しそうだ。


by yuzuruzuy | 2010-01-12 23:10 | 読書


つまらない、面倒くさいを、面白く。


by yuzuruzuy

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