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『浄土』 町田康

最近自分のなかでまた町田康ブーム。ストーリー以前に文章自体が面白いので、短い時間でどっぷり浸れる世界観。おまけにこの作品は短編集なのでサクサク読める。

『犬死』
 冴えない作家が謎の占い師ジョワンナ先生に会いに行く話。

『どぶさらえ』
 町会でシカトされたあげくどぶさらえを任された男がビバカッパ!と叫ぶ話。

『あぱぱ踊り』
 陰気な倉庫街で出会った両脇に踊る女2人を従え自分の“凄さ”に酔いしれる男。そんな男の“凄さ”の化けの皮を剥がすべくエケメという謎の店に行く話。

『本音街』
 誰もみな本音しか言わない街、本音街。建前なしの清清しい話。

『ギャオスの話』
 突然東京に現われて大都市を混乱に落としいれ、棲みついてしまったギャオスの話。大怪獣を手なずける方法を偶然見つけ、日本人はギャオスを抱えて生きていく。

『一言主の神』
 幼武尊(わかたけるのみこと)の前に突然現われた一言主の神の話。一言主が口に出した単語は森ビルだろうが渋谷のギャルだろうがなんだろうが時代を越えて現われる。そんな一言主が最後に発した言葉は…「ボンベイサファイア」。

『自分の群像』
 OL方原位多子と位多子が世話係をするボンクラな後輩温夫の話。

 説明するのが難しい話ばかり。というよりも説明したらつまらなくなる。めちゃくちゃな展開や文章に読みながら何度も笑った。特に好きだったのが『あぱぱ踊り』『どぶさらえ』『ギャオスの話』『一言主の神』『自分の群像』。そうなんですほとんど全部好きなんです。

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by yuzuruzuy | 2011-09-05 19:31 | 読書

『パンク侍、斬られて候』 町田康

 舞台は江戸時代。「腹ふり党」という新興宗教のような組織をめぐる話。町田康にかかれば時代小説もパンクになってしまう。猿はしゃべるわ超能力者は出てくるわの奇想天外時代劇。めちゃくちゃな展開で掻き回した後に待っていた物語のオチにはかなり鳥肌が立った。ほとんど意味不明なのになんでこんなに面白いんじゃろ?


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by yuzuruzuy | 2011-09-02 20:30 | 読書

『告白』 町田康

 最近映画化された『告白』とは違います。「河内十人斬り」という実際の殺人事件をモチーフに書かれた長編小説。800ページ超の分厚い文庫本。読み出したらのめり込んで一気に読んだ。読み終わった瞬間、また最初から読みたくなった。
 町田康節が、明治初期の大阪河内の百姓村で炸裂する。活字化された河内弁のリズムが身体に響いてくる。あぎゃーん、しゅらしゅら、いやんいやん、わっぴゃぴゃん、という独特の表現や、葛木ドール・モヘア兄弟、正味の節ちゃん、銭の亡者トラ婆さんなどの強烈キャラ、あかんではないか、とセルフでかまされるツッコミ、突然出てくる現代語的な喩え。町田康風に書けば、くふふふふ、と何度も声出して笑ってしまった。ほんますごいなこの人の文章は。
 その文体と内容の深さのギャップがまた激しい。この作品が持つテーマから、『人間失格』を思い出さずにはいられなかった。
主人公の熊太郎は、極度に思弁的で、その思弁を表す言葉を持ち合わせていない。それが原因で世間と乖離した熊太郎の人生はどんどん狂っていく。読んでいると熊太郎の思弁が自分に向けて語られているように感じてきて、いつの間にか自分と熊太郎を重ね合わせていた。ラストは鳥肌。
 内容についてたくさん考えさせられることがあったけど、書き出したら止まらなくなって、熊太郎の思弁のようにわけが分からなくなりそうなので、また熟読してから書こう。
 とにかく面白くて、800ページがあっという間。何度でも読みたい。旅に小説を1冊だけ持って行くなら、これにする。短い小説で町田康の文章に慣れて、好きなら、絶対におすすめしたい。

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by yuzuruzuy | 2011-06-12 10:24 | 読書

『くっすん大黒』 町田康

 町田康デビュー作。

『くっすん大黒』
毎日酒ばかり飲んでいて妻に家出された男。むかむかとする怒りの矛先に、部屋に転がっていた不愉快な金属製の大黒。捨てよう、大黒を。自分は、大黒を捨ててこます。しかし、男はごみの分別や近所の視線を気にし始め、ゴミ捨て場に捨てる方法は却下。不法投棄使用と大黒を入れた紙袋抱えて町をぶらつき捨て場所を探していれば職務質問され、あきらめて友人の菊池に大黒を引き渡すことにする。
 菊池の紹介で古着屋で働くことになった男。次の日から菊池と1日交代で働くことになるが、そこで待ち受けていたのが、まったく働く気のないおばはん店員吉田と、客としてやってきたユオロップ狂いのおばはんチャアミイ。奇妙な2人のおばはんから逃げるように、仕事をやめてしまう。そこへ、男が十余年前に出演した映画のツテから、行方不明の芸術家上田京一なる人物の軌跡をたどるビデオ作品のリポーター役というインチキくさい仕事の依頼が来て、わけの分からぬまま撮影に参加していく。
 古着屋での吉田とチャアミイというおばはん2人のやり取りと呆然と眺める主人公の場面が面白かった。
「チャアミイは、とってもファンキーだからゥラスタカラーが好きなの。だから、ぅあたしのお部屋は、みんなみんなゥラスタカラー」と叫び、吉田のおばはんが頷くと、「ぅでもね」といって一拍おいて、一段と音量を上げて歌うような調子で、「ゥベッドルームは、まっっっっっっ白なのぉー」と絶叫したのである。医者へ行け、医者へ。
チャアミイの絶叫と冷静にツッコむ筆者(主人公)の目線の落差に笑った。文章に漫才や落語みたいなリズムがある。

『河原のアバラ』
 天田はま子という狂った同僚のせいで働いていたうどん屋を追いやられ、隠れた生活を余儀なくされた男。そこに知り合いのツテで遺骨運搬の仕事を頼まれ、そこから遺骨をめぐる小さな旅が始まる。主人公がうどん屋をやめる原因となった天田はま子という女がまためちゃくちゃ。チャアミイにしろこんなキャラよく考えるなぁ。でも大阪のおばはんが発想のベースになっているのは確かだろうと思う。

 どちらの作品も出だしの独り言がぶっ飛んでいて秀逸。
≪くっすん大黒の書き出し≫
 もう三日も飲んでいないのであって、実になんというかやれんよ。ホント。酒を飲ましやがらぬのだもの。ホイスキーやら焼酎やらでいいのだが。あきまへんの?あきまへんの?ええわい。飲ましていらんわい。飲ますな。飲ますなよ。そのかわり、ええか、おれは一生、Wヤングのギャグを言い続けてやる。────

≪河原のアバラの書き出し≫
 おおブレネリ、あなたのおうちは何処?わたしのおうちはスイスランドよ。綺麗な湖水の畔なのよ。やーっ、ほーっ、ほーとランランラン、って、阿呆か俺は。なにもかかるケンタッキーフライドチキン店の店頭で、おおブレネリを大声で歌わなくてもいいじゃないか。ね、ごらん、店員も客も、みな奇妙なものを見るような目をしている。やめてくれないか、そんな目でわたしを見るのは。わたしは狂人ではないのだよ。────
いきなりなにをぬかしやがるこの駄目人間は。と思うのだが、後から続くもっと狂った周囲の状況に中和されて、主人公は彼なりにまともに生きていて、どうしようもなくこんな状況に立っているのではないかと思わされてくるのだ。すべての不条理を受け止めるカフカの小説の主人公みたいだ。


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by yuzuruzuy | 2010-10-22 19:17 | 読書

『夫婦茶碗』 町田康

 最近ユニクロのCMでよく見かける、パンクロッカー作家町田康の小説。
他の3人が遠くを見据えたメッセージを主張してる中で、世界中みんな大阪弁喋ったらええねん、しまいには“そういうことです。”だなんて、おもろかっこよいことかましてはります。

『夫婦茶碗』『人間の屑』
 どちらも駄目人間の話。働こうとして、まともになろうとして、でも根っからのいい加減さのせいでベクトルは必ず負の方向。不幸な人の話なのに、読む人に楽しませる想像力があって、笑いとばせる。空想が暴走してSFみたいなところもあり、語り手が酒のみながら目の前で聞かせてくれるような落語みたいな話。
 何より今まで読んだことない、難解そうに見えて読むと親しみやすい文章に驚いた。難しい四字熟語を並べたかと思うと、あぱぱぱ。ちゃわおっしゃー。わちゃあ。なんて大阪の変なおっさんの独り言みたいな台詞が次のページでは連発。思った以上にリズミカルに読める。カラフルな文章、言葉のミックス大洪水じゃー。
 どちらもラストが泣ける。個人的にはどちらかといえば『人間の屑』のラストが狂っていて好き。読んでいて2回くらい、昔見た夢の断片がデジャヴのように一瞬パッと頭の中に浮かんだのだけど、確かめようとその箇所を読み直してもそれがどんな夢だったかは掴めなかった。町田康の文体が僕の無意識にまで働きかけたのか?
 中島らもからも似たようなものを感じたが、一般的に明るいイメージがある関西人が関西弁で表現する独特の哀愁、笑かす、泣かす、ペーソスがたまらなくうらやましくなる今日このごろ。


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by yuzuruzuy | 2010-10-09 23:45 | 読書


つまらない、面倒くさいを、面白く。


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