最近の読書まとめ

『宿屋めぐり』町田康
 700ページ超の大長編。これを読みきってからまた読書脳が再活性化された感じ。主人公、鋤名彦名の独白形式。“主”に命じられた大刀奉納の旅の道中、くにゅくにゅに飲み込まれてはじまる苦行のような日々。自分の都合の良いように言い訳ばかりして、どんどん落ちぶれていく。結局残るものは何もなかった気もするが、読み終わった後の感覚が忘れられない。


『何もかも憂鬱な夜に』中村文則
 ピース又吉おすすめの本。三時間くらいで一気に読んだ。施設で育ち、刑務官となった主人公、自分とはかけ離れた設定ながら、自分も少なからず思春期〜青年期に抱えた苦悩をこれでもかとぶつけられて、最後には勇気をくれる。生きることに悩んでいる人に読んでもらいたい小説。


『赤目四十八瀧心中未遂』車谷長吉
 二年ほど前になにかの繫がりで飲んだ人から、文章が凄いと勧められた小説。確かに凄かった。これを読んで以来、そこらの文章が味気なく感じるほど、一度味わったら忘れられない濃厚な文章。予想外な終わり方も好き。


『間抜けの構造』ビートたけし
 いろんな意味での“間”の大事さについて。間をうまく感じ取り、うまく使いこなせる人間になりたいと思った。勉強になる。


 本当は一冊ずつしっかり感じたことを書き残したいのだけれど、なんせ時間もないし、内容が重いものばかりで、読むので精一杯。もっともっと、本を読もう。

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# by yuzuruzuy | 2012-12-01 01:56 | 読書

『すべて真夜中の恋人たち』 川上未映子

 文章なのか何なのかよくわからないけど、何とも言えない儚さを漂わせるタイトル。以前読んだ『ヘヴン』よりも文章が深くしみ込んできて、こっちの方が好きかな。“真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う。”こんな一文から始まる最初の1ページで、物語の世界観に引き込まれる。
 主人公は、書籍の校閲を職業とする30代半ばの独身女性。ふとしたことから勤めていた会社を辞め、フリーランスで働き始める。孤独な生活のなかで、ある男性を好きになってしまうというストーリー。繊細な文章と、交わされる会話のやりとりの奥深さが印象的。光についての会話の部分が特に良かった。主人公がもらったCDがショパンっていうところも。
 登場人物たちはみなどこかしらに孤独な部分を抱えていて、そのひとつひとつに優しい光を当てるような小説だと感じた。タイトル通り真夜中に静かに浸るのにぴったりの一冊だと思う。


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# by yuzuruzuy | 2012-11-13 00:10 | 読書

『のぼうの城』 和田竜

 結構前から読もうと買ってはいたのだけど,ようやく読んで映画も観てきた。
 小説は一気に読んだ。一番良かったのは、戦を経験したこともないのに軍略の天才だと豪語した若武者が、自分の策で見事に敵を打ち負かし、敵の総大将三成から賛辞の言葉を受け、はらはらと泣くシーン。思わずもらい泣きしそうになった。命がけで対峙した相手からの賞賛の言葉というのは、どれほど価値があるものか。のぼうはもちろんのこと、それぞれのキャラクターが生き生きと描かれている。戦国時代ってのはこんなにも清々しい男たちが生きた時代だったのだろうか。時代小説は現代にない価値観を与えてくれてやはり面白い。
 映画は戦と水攻めのシーンなど小説のイメージ以上の大迫力。ただ先に触れた自分の好きなシーンがなく残念。それでもエンドロールの演出にハッピーな気分。主題歌はエレカシ。劇場で観てよかったと思う。


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# by yuzuruzuy | 2012-11-10 00:01 | 読書

書くことは心のアク抜き

他人の書いた文章で、

自分もうっすら感じていたことが、

そうそう、そうなんだって、

発見できる。

それが読書の醍醐味だって、

読書家の方々はよく仰る。


同じように、

自分が思ったことを書いてみることで、

放っておいたら心の奥底に沈んでいく自分の気持ちが、

すうっとすくいあげられて、

そうそう、自分はこういうことを感じているんだと、

再発見できる。

それが大事なものでも無駄なものだとしても、

底の方から浮んでくる蟠りをすくいあげる作業。

一種のアク抜き。


何のためにこんなとこに、

どうでもいいことを書き連ねているのかとよく思うけど、

そうそう、きっとそういうことなんだね。



日々感じることを、

当たり前のことも、

しょうもないことも、

数行でも文字にして、

自分の気持ちをすくいあげていこうと、

これで何度目かわからないけど、改めて思いました。
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# by yuzuruzuy | 2012-11-06 02:50 | 独り言

つぶや句 20120726

奉仕奉仕あと一歩で奴隷


納豆巻しかない


とりあえずバナナ食っとこう


ジョギングする引きこもり


返してと言えなかった本をまた買う


あっつい暑い連呼する前に痩せろ


年齢確認している方が童顔


ピスタチオの殻に爪が負けた


鍵は閉まってるがノックに返事はない




…うーん、久々に考えてみたものの、あまりしっくりくるのが思いつかない。

もっと刺激ある毎日を。

周囲の些細な出来事に敏感に。

サブストーリーを愉しめるように。



寝るより、食うより、呑むよりも、

学べ、愉しめ、考えろ。


ま、ちょっとは呑んじゃうけどね。


日々の景色を見渡しながら、

毎日を散歩するのだ。
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# by yuzuruzuy | 2012-07-26 01:03 | つぶや句

『苦役列車』

原作読んだその日に観に行った。

隣ではエリカ様のへルタースケルターやってたみたいで、平日のレイトショーにも関わらず結構混雑してるようなことをチケット売り場で小耳に挟んだが、苦役列車は見事にガラガラ。そらタイトルからしてもう客入りそうにないわな。阪急電車みたいにワクワク感を出すためのサブタイトルなんかつけるわけにもいかんわな。

とにかく森山未來の怪演、それに尽きる。
撮影中は実際に繁華街の三畳間の宿に泊まり込み、酒を飲んでむくんだ顔で撮影に臨んだらしい。映画の中にいたのはもはや森山未來ではなく完全に、『苦役列車』の主人公、北町貫多だった。


映画で観て改めて感じたのは、貫多は欲望に対してとことん一途で、それは誰しも青春時代に経験し、大人になるにつれ抑制してきた部分だからこそ、どんなにろくでなしでも、見る側にとって何処か愛すべき人間になっているのだと思った。小説では根っこから偏屈な人間、というイメージだったが、映画では根はまっすぐなんだけど、気持ちを表現する方法を知らずどうしてもひねくれてしまう不器用な人間、というイメージ。森山未來が貫多について、コミュニケーション的な面で周囲から見れば“ターザン”のような存在だと話していたのが言い得て妙。

高良健吾、AKB前田敦子がそれぞれ演じた正二と康子というフィルターを通しての、もし貫多みたいな人間が周りにいたら…という目線と、自分のなかにある貫多と共感し、世の中に対してひねくれた貫多的な目線を行き来しながら見た。正二との別れのシーンでの貫多の台詞と、正二の応えがとても良かった。



ラストシーンにかけてはオリジナルだったので、小説とは別物と思うしかない。落ちて終わり、でも面白かったと思うけど、青春映画らしく希望を残す終わり方だった。


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グリーンに惹かれて(?)久々にパンフレット買っちまった。

貫多の日雇いで支給されていた弁当箱の色。

この物語の舞台はちょうど自分が生まれた年代らしい。

自分とはかけ離れたようで、でも何処かシンパシーを感じずにはいられない映画。
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# by yuzuruzuy | 2012-07-21 23:53 | 映画

『苦役列車』 西村賢太

 原作を一気に読んでからそのまま映画も観に行った。
 まずは西村賢太の芥川賞受賞作『苦役列車』。この作品の前に読んだ『小銭をかぞえる』で、“愚直なまでに屈折”(ピース又吉『カキフライが無いなら来なかった』より拝借)した人間の過去に対する懺悔のような文章の面白さに取り憑かれて、遅ればせながら手にとった。
 日雇い労働者の主人公の北町貫多は自身の生い立ちに対するコンプレックスと欲望の塊。三人称を用いながらも主人公目線で書かれた文章は徹頭徹尾ひねくれている。そんななかにも読んでいて時折応援したくなる、純粋な19歳の青年像が垣間見れる。現代風に言うとネットでたまたま見つけた他人の過去回想ブログを、駄目なやつだし近くにいたら相当面倒だけど、何処か放っておけなさを感じ、骨太な文章力の高さにも惹かれて読み耽ってしまった、そんな感覚。しかしまあ家賃滞納、風俗、暴力、友への罵倒…ブログで書けるような内容ではないけど。そういう意味でも書くことで懺悔しているようにも受け取れた。いや、でも貫多は決して書くことが懺悔なんてそんな風には考えないか。
 同録の『落ちぶれて袖に涙のふりかかる』では、貫多が作家になっている。どうしようもなく堕落した生活のなかで文学賞の候補作に自作が挙げられていることが貫多の唯一の光明。惨めさを自虐的に描きながらも、筆者の小説への執念というか、ものすごいパワーが伝わってくる。
 両方の小説で頻繁に用いられていた“はな〜”とか“慊(あきたりな)い”、“結句”、“畢竟”、“業腹”など、独特の文語体が癖になる。言葉の勉強にもなりそう。
 これは何処から何処まで作者である西村賢太の実体験なのだろうか。おそらく殆ど実体験が元かとは思うが、北町貫多という架空の人間を放っておけず、他の作品も読んでしまうと思う。でもはまり過ぎは注意だな…。


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# by yuzuruzuy | 2012-07-20 02:18 | 読書


つまらない、面倒くさいを、面白く。


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