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『いろんな気持ちが本当の気持ち』 長嶋有

タイトルに惹かれて購入。そういや前にタイトル買いして読んだ小説も長嶋有の『猛スピードで母は』だった。このタイトルと最後に引用する一節に出会えただけで十分かな。あとは映画の話題で茶の味とか、カウリスマキやら、自分の趣味と合う部分もあり面白かった。小説とはまた違った、より素の筆者が滲み出た文章、エッセイだから当たり前か。エッセイを読んではじめて、自分と波長が合う部分が見えてきた。こういうものの見方をしているから、こういう文章が書けて、こういうところに自分が惹かれていたのだと。小説のアイデアの源泉もちりばめられていて、末尾の補遺では筆者自ら解説してくれていて、もっと長嶋作品を読んでいけば、より味わえるエッセイだと思われる。
長く生きて(恋愛だの仕事だの旅だの日常だのに揉まれて)いると「いろんな気持ちが本当の気持ちだ」と、これはつくづく思うようになる。
気持ちは多様なのに態度は一種類しか選べなかったりする。マーブル模様のように多様に入り混じる気持ちをすべて一時に表せるなんて、そんな器用な人間はいない。


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by yuzuruzuy | 2011-11-29 23:19 | 読書

ひと区切り。

11月28日。

19歳から途切れ途切れながらも続けてきたアルバイト、最後の勤務。

何人か見送りに来てくれて、メールなどももらい、帰ってから部屋でじわじわと目頭が熱くなる。自分はずるずると続けてきただけなのに、本当に良い人たちに恵まれた。続けてきてよかったと思う。

楽しかった。
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by yuzuruzuy | 2011-11-28 23:59 | 日記

つぶや句 20111113

スズメバチ去るのを待って戸を開ける

ベランダで死んでいた蜂触れずに息吹きかけて階下へ落とす

銭湯で育毛剤塗る老爺の音ぺちり

無人になるのを待って浸かった露天風呂で鼻歌

曲名とバンド名が区別できぬまま聴いている


(旅のつぶや句)

富士山見えなくなる前に起こすべきか

繰り返す 心の中で パチャマンカ

ごあんない ごめんなさいと 読み違え

愛想笑い 愛想悪いと 読み違え

ぎざえもん どざえもんと 読み違え

旅から帰りポイントカードも財布に返る
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by yuzuruzuy | 2011-11-13 23:57 | つぶや句

『炎上する君』 西加奈子

またまた面白い作家を見つけてしまった。またまたピース又吉経由なんだけれども。ダ・ヴィンチのインタビューでオススメ作家として紹介されていたなかで、自分があまり読まない女性作家だったので読んでみた。古本で買ったからついてなかったけど、単行本の帯に又吉がコメントを寄せている。“読者としての僕を満足させながら、芸人としての僕を不安にさせる”ここまで味わい深い帯のコメント、見たこと無い気がする。

“太陽の上”
 「太陽」という名の中華料理屋の上、アパートの一室に住んでいるあなた。あなたは、ひとりだ。まるで自分が主人公になって、怠惰な生活を誰かに語ってもらっているような文章。不思議な感覚、引き込まれる。

“空を待つ”
 主人公は作家。散歩の途中に拾った、待ち受け画面が空の写真の携帯電話。悪戯のつもりではじめた、持ち主の友人「あっちゃん」とのメールのやりとり。気がつくと作家は「空の携帯電話」を手放せなくなっていく。拾った携帯で、知らない誰かとのメールのやりとり、その発想の時点で面白いのに。

“甘い果実”
 作家を目指して本屋でバイトする主人公と山崎ナオコーラの話。繰り返されるナオコーラに、ナオコーラってなんだかわからなくなってくる。そしてオチもまさかのナオコーラ。

“炎上する君”
 足が炎上する男を探す梨田と浜中。地味なふたりのやり取りが面白い。「君は、炎上している。」炎上の意味を知り、この最後の一文を読んだとき、鳥肌が立った。

“トロフィーワイフ”
 互いをばーさん、まごちゃんと呼び合う祖母と孫の、アメリカ文学を読んでいるような会話が生むフワフワした空気感。女性にしか書けない文章だなと思った。

“私のお尻”
 この発想もすごい。お尻を顔のように書くなんて、ニコチャン大王以来だろう。まぁニコチャン大王までは行かず、あくまで比喩だけど。かなり笑えるけど、誰しも持っているチャームポイントやコンプレックスを巧く表現していて、自己の存在についてまで考えさせられる。そして終盤はドキッとする。この短編集の中で一番好き。

“船の街”
 どこにあるのだろう。自分も行くことはあるのだろうか。もしかしたらもう行ったことがあるのかもしれない。船の街の話。

“ある風船の落下”
 これも発想の勝利。ストレスがガスのように溜まって身体が膨らみ、終いには宙に浮き始める病気「風船病」。そんなシュールな発想と、ドラマチックな展開。奇想天外な前半の展開に笑い、ラストにはかなりジーンときた。

 全体を通して、細かいところで吹き出すような面白い文章にも関わらず、女性らしいロマンチックな芯があって、なんとも言えない感覚になる。どの物語も読み終わったあとの余韻がじわーっと長く続いた。シュールな発想と少しやさぐれたような世界観が自分の好み。特に良かったのは“空を待つ”、“炎上する君”、“私のお尻”、“ある風船の落下”。自分の好きな文章を書く人を見つけたこの感覚、久しぶり。


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by yuzuruzuy | 2011-11-02 23:35 | 読書

つぶや句 20101101

苗字と宇宙

空腹を寝て忘れる

コンテナ外したトラックが猛スピードで

曇り空見上げ最初の一滴雨の目薬

五分進んだ丼屋の時計

三色の靴下全て片足づつ

業界用語か方言なのか分からぬ言葉
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by yuzuruzuy | 2011-11-01 20:33 | つぶや句


つまらない、面倒くさいを、面白く。


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