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『大人の流儀』 伊集院静

 地元の書店のビニル袋をガムテープで留めて、直接マジックで宛先を書いただけ。そんな状態で、この本は郵便受けに挟まっていた。父親からだった。数日前に、「為になりそうな本があったから送った」とメールがあり、「どんな本だろう」と、いろいろ考えながら数日待った。どこかの社長が書いた人生訓かなと予想していたので、“伊集院静”という思いきり小説家めいた名前に、意表を突かれた。
 人生訓であることには間違いなかった。ただそれは面と向かった説教ではなく、鮨屋のカウンターでちびちびと酒を飲んでいる男のような語り掛け。父親が隣に座る息子に語り掛けるような文章で書かれたエッセイ。
人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている。(p.98)

旅をしなさい。どこへ向かってもいいから旅に出なさい。世界は君や、あなたが思っているほど退屈なところではない。(p.15)
 春夏秋冬の4つの章に分かれており、人生で誰もが味わうであろう家族の死や友の結婚、酒の飲み方や冠婚葬祭、正月の過ごし方まで、滋味豊かに書かれていた。
 特に印象に残ったのは、「春」と「冬」の章、それぞれこの最初と最後の章には、“こういう大人になりなさい”、“生きてりゃ辛いこともあるが負けるな”という、父親から息子へのエールが込められているように感じた。
 また悩んだときには役立ちそうな箇所を見つけて、親父の話にじっくり耳を傾けてみようと思える本。タイトルからして、まったく自分の父親らしいチョイスだナ。


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by yuzuruzuy | 2011-09-26 21:06 | 読書

ハイボールを燃料にして

やっぱり自分はいろいろと溜め込んでしまうタイプだ。

中高サッカーやってた頃はボールを蹴れば悩みもふっ飛んだ。

あの頃もっと悩めば良かった。

いかんいかん、後ろ向きになってはいかん。

帰り道、自分と同じ頃働き始めた年上のアルバイトの人と、ちょっと話しただけで少しすっきりした。

そういう意味で社会人の同期って大切な存在なんだろうと思う。


自分はそんな道からちょっと外れたけど、負けずに進んでいけるだろうか。


今からもう一つのバイト。

最近はどっちも入ってる日ばかりで朝から深夜まで。

ひと息つく時間もほんの数十分間。

この生活、できるだけ早く変えよう。



今、電話かかってきた。

20時出勤だったんかい。

19時に終わったばかりよ。


遅刻なう。


もうすこしゆっくりさせてくださいおねがいですから。
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by yuzuruzuy | 2011-09-21 20:05 | 日記

『遮光』 中村文則

 結構前に、ピース又吉のブログで紹介されていて、古本屋に行くと“な行”の棚にて中島らもをチェックするついでに中村文則という名前を探していたのだが古本では見つからず、意を決して新品購入(税別324円)。そんな変わらんやん。
 題名の通り、光を遮るかのような、暗い印象の小説だった。付き合っていた彼女を交通事故でなくし、彼女の死を周囲に隠し、生きているかのように、幸福な想像を語りながら暮らす、虚言癖の青年。
 いつも何かを演じているような感覚を持って生きてきた青年の告白。台詞部分の“俺”と地の文での“私”に表現される現実世界と精神の乖離。その隙間を埋めるために、青年は嘘をつき、何かを演じ続けるのかもしれない。
 彼女をなくしたことを受け入れられない青年のとった行動はかなり衝撃的だった。それでも、彼女に対する思いだけは嘘をつけなかったという部分には、青年の純粋さが垣間見え、暗い作品を僅かながら照らしているようにも感じた。
 途中読みながら少し疲れてきて眠ってしまったが、仮眠を挟んでも二時間弱で一気に読めた。人間の内面の深いところまで潜り込める作品。読むときの精神的なコンディションにもよりそうだけど、嫌いではない。
 あとがきの筆者自身による解説がとても興味深かった。主人公が隠して持ち歩く一本の瓶は、筆者自身の「陰鬱」でもあるなんて、なんというか、ものすごく文学的、そしてちょっとだけ共感できる気もする。この小説は24歳から25歳にかけて書いた作品らしい。一体どんな生活をしたらこんな小説を書けるのだろうか。


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by yuzuruzuy | 2011-09-09 23:51 | 読書

『リミッツ・オブ・コントロール』

ジム・ジャームッシュ監督作品。
上映時気になりながらも結局映画館には見に行かなかった。
DVDで見て、スクリーンで見なかったことを後悔。

この監督の映画はどれもそうだけど、とにかく雰囲気がカッコいい。
ストーリーは一人の男がアメリカ人暗殺の旅に出る、というもの。
旅の中でいろいろな人物が現われて、わずかな時間だけ蘊蓄めいた会話を交わし、
何が入っているのか分らないマッチ箱を交換しては去っていく。
なんだか壮大なテーマが隠されているようだけど、全く説明がない。
現実世界を支配するアメリカ人が殺されたことに意味があるような気がした。
“人生に価値などない”何度か繰り返されるそんな台詞も意味深。


ジム・ジャームッシュ映画でおなじみの俳優が結構出ていた。
日本人女優の工藤夕貴の英語の発音が凄くきれいで、シャドーイングしてしまった。
俳優以外にも、過去の作品のテイストが散りばめられ、ジム・ジャームッシュらしさが溢れていた。

舞台はスペイン。
こんなよく分からない任務を持たされたとしても、行きたい。

NO LIMIT NO CONTROL

エンドクレジットの最後に流された字幕

CONTROLEとは何ぞや?


世界を操るものから自由になれというのがこの映画のテーマじゃないかな。

そんな感じで自分なりに意訳すれば、

NO LIMIT NO CONTROL

限界のない支配はない。

盛者必衰ってとこだろうか。うーん、なんか違うかもなぁ。


リミッツ・オブ・コントロール スペシャル・エディション [DVD]

Happinet(SB)(D)


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by yuzuruzuy | 2011-09-08 23:31 | 映画

つぶや句 20110907

雨を確認するポーズがデ・ニーロ


誘導されたカウンター席に前の客の食器


いちゃつく鳩に嫉妬


蚊をデコピンで仕留めようと試みる


喪服の婦人がビールを注文した


昔通った塾の匂いだ


傷口を見せられて困る


蛾を叩いた手に粉だけ残る


小皿の一品しか頼めそうにない


栞の紐付いていたのか


相席と称して乗っ取られたようだ
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by yuzuruzuy | 2011-09-07 22:33 | つぶや句

『浄土』 町田康

最近自分のなかでまた町田康ブーム。ストーリー以前に文章自体が面白いので、短い時間でどっぷり浸れる世界観。おまけにこの作品は短編集なのでサクサク読める。

『犬死』
 冴えない作家が謎の占い師ジョワンナ先生に会いに行く話。

『どぶさらえ』
 町会でシカトされたあげくどぶさらえを任された男がビバカッパ!と叫ぶ話。

『あぱぱ踊り』
 陰気な倉庫街で出会った両脇に踊る女2人を従え自分の“凄さ”に酔いしれる男。そんな男の“凄さ”の化けの皮を剥がすべくエケメという謎の店に行く話。

『本音街』
 誰もみな本音しか言わない街、本音街。建前なしの清清しい話。

『ギャオスの話』
 突然東京に現われて大都市を混乱に落としいれ、棲みついてしまったギャオスの話。大怪獣を手なずける方法を偶然見つけ、日本人はギャオスを抱えて生きていく。

『一言主の神』
 幼武尊(わかたけるのみこと)の前に突然現われた一言主の神の話。一言主が口に出した単語は森ビルだろうが渋谷のギャルだろうがなんだろうが時代を越えて現われる。そんな一言主が最後に発した言葉は…「ボンベイサファイア」。

『自分の群像』
 OL方原位多子と位多子が世話係をするボンクラな後輩温夫の話。

 説明するのが難しい話ばかり。というよりも説明したらつまらなくなる。めちゃくちゃな展開や文章に読みながら何度も笑った。特に好きだったのが『あぱぱ踊り』『どぶさらえ』『ギャオスの話』『一言主の神』『自分の群像』。そうなんですほとんど全部好きなんです。

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by yuzuruzuy | 2011-09-05 19:31 | 読書

『パンク侍、斬られて候』 町田康

 舞台は江戸時代。「腹ふり党」という新興宗教のような組織をめぐる話。町田康にかかれば時代小説もパンクになってしまう。猿はしゃべるわ超能力者は出てくるわの奇想天外時代劇。めちゃくちゃな展開で掻き回した後に待っていた物語のオチにはかなり鳥肌が立った。ほとんど意味不明なのになんでこんなに面白いんじゃろ?


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by yuzuruzuy | 2011-09-02 20:30 | 読書


つまらない、面倒くさいを、面白く。


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