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『フラニーとゾーイー』 サリンジャー

 今年の始めくらいに、亡くなったんだっけな?
 七人の兄妹全員が子供の頃、『これは神童』というラジオのクイズ番組に出演した経験を持つグラース家の話。
 フラニー 20歳 末っ子
 ゾーイー 25歳 下から二番目
幼い頃年上の兄たちから、宗教哲学を教え込まれたフラニーは周囲に対して敏感で、ひょんなことから家に籠もって祈りの生活に入ってしまう。そんなフラニーを、兄のゾーイーがなんとかして立ち直らせようと説教したり、自分の経験や兄たちについて語る。
 宗教用語が出てきて、説教のシーンはちょっと難解。ゾーイーは饒舌すぎるせいか、一貫性がないようにも思われて、フラニーが説得されて、“夢もない眠り”に入って行く過程が理解できてないので、もう一度読む必要あり。アメリカ的な家族のやりとりにクールなあたたかさも感じつつ、答えの出ない青年の悩みに共感できる小説。グラース家について、もっと知りたくなる。
チキショウ、この世にはきれいなものもありやがるわい。
本当にきれいなものだ。脱線するのは、僕たちがみんなバカだからさ。いつも、いつも、すべてを薄汚いエゴのせいにする。(p.175)


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by yuzuruzuy | 2010-06-20 23:59 | 読書

『SURVIVE STYLE 5+』

ニールが最初に日本に来たときタワレコで買ったやつを借りて観た
Nice choice, Neil049.gifな映画
脚本はCMプランナー多田琢

作品全体は濃すぎていちいち説明するのが難しい
5つの主要なグループにそれぞれのストーリーがある
(不死身の妻を夫が何度も殺そうとする夫婦だったり、ホモ疑惑を抱えた空き巣3人組だったり、催眠術でパパがハトになった家族だったり、外国人殺し屋と通訳だったり、なかなか世に受け入れられないCMプランナーだったり)
それぞれがぶっ飛んだストーリーを持ちながら、交差していく展開

『ナイスの森』の流れで、ぶっ飛んどる
ちょい役じゃけど、またしても加瀬亮が踊らされそうになっとった
その部分はどうやら、『ナイスの森』の監督が協力しとったらしい
んで、やっぱりやっぱり浅野忠信
『乱歩地獄』に引き続き、身体張っとるな~、イメージ変わる
他にも『ナイスの森』と同じ人が出とるし
CM関係の人は役者の好みが似とるんかなぁ
メインからチョイ役までキャスティングの時点でまず面白い
阿部寛に小泉今日子、荒川良々、岸部一徳、三浦友和、神木隆之介(まだ小さい)、森下能幸、明和電気の人
なかでも外国人殺し屋のVinnie Jonesは、なんと元サッカー選手で、
ウェールズ代表のキャプテンまで務めていたとかで、存在感ありまくり

特に衝撃だったのが
阿部寛のダンディな変態催眠術師ぶり
荒川良々の通訳ぶり
森下能幸のホモっぷり
岸部一徳のハトっぷり
その合間合間で輝く神木隆之介の異常な透明感
映画版20世紀少年のラストでは、大きくなってもその透明感とか儚い感じは健在だったけど
特にこの時期の彼には一瞬ですべてをキレイにしてしまうチカラがある
例えるなら、なんじゃろ?
超強力マイナスイオン空気清浄機?そんなパワフルじゃねぇか。
んー違う、もっとナチュラルな何か。自然と言うしかあるまい。
周りはめちゃくちゃなのに、ひとりだけつねに台風の目の中にい続けてる感じ?
なんじゃろか?
(考え中・・・・)



それまでの展開を含めて、このシーンは今までにないような不思議な感動が。
ハトのパパ岸部一徳の涙がキラリ。
可笑しくて、切なくて、好きな感覚。


笑える感じ、怖い感じ、ホロッとする感じ、考えさせる感じ
コチョコチョ、チクチク、ゾクゾク、ジーン、バチーン、スリスリ
刺激がいろいろ
ハトになってポッポと鳴きつづけるパパなんて、
それだけで笑ってしまうのに、さらに受け入れて感動を呼ぶ
岸部一徳のマヌケな顔とキレイな涙のギャップに表れているように、
異常を異常のまんまにして、そこに感動的な要素を重ねて
笑って良いの?泣くべきなの?突っこむほうが良い?
こうして意図的に複雑な感情を起こさせるのもこの映画のテーマのひとつにありそう。

ラストシーンは持ってかれたーって感じで、
片方だけ口角上げて、ニヤッとしてしまった。


『ナイスの森』もそうじゃけど、一度じっくり観た後は、
観るでもなく部屋で流しときたいな、それこそCMの連続
こりゃやりたいこと全部詰め込んどるわ
これでもかと言うほどアイディア満載
ワンカットごとのネタ密度が高い高い
途中から、次は一体何を放り込んでくるんじゃろうと考えながら観た

音楽のセンスも、外国で受けるのが分かる
カムベベ、カムカム、べべ が、耳から離れない
さらにアートディレクターに佐藤可士和
イロイロお洒落で、金かかったじゃろなぁ



WHAT IS YOUR FUNCTION IN LIFE?
あなたの役割は、何ですか?


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by yuzuruzuy | 2010-06-16 11:25 | 映画

『笑う月』 安部公房

 安部公房文庫はこれで10冊目。夢を切り取った短編のようなものから、長編作品の素を記したエッセイまで、ページは少ないけど、安部公房のエッセンスが溢れる一冊。夢を言葉にしてしかも他の人が読んで面白い文章で書くなんて、見る夢からして次元が違う内容。長編に出てくるシュールな発想の源泉。


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by yuzuruzuy | 2010-06-14 21:07 | 読書

『江戸川乱歩傑作選』 江戸川乱歩

江戸川乱歩、初めて読んで、衝撃だった。

≪二銭銅貨≫
 同じ部屋に下宿していつも賢さを競っている貧しいふたりの男。そのうちの一人が、たまたま机に置いてあった二銭銅貨から、世間を騒がせている泥棒事件で盗まれた金の在り処を示す暗号文を見つけた。驚かすため相方に黙って一人で推理して、男は見事にお金を手に入れてくる。しかし、そのお金は本物そっくりのおもちゃの紙幣で、それらはすべて相方が仕組んだいたずらだったというオチ。いたずらにしては度を越した、お見事なトリック。自分の推理を一通り自慢した後、それが相方の仕業だったという事実を知らされた男の絶望感に共感。解けただけでも十分賢いよ。といってあげたくなる。

わたしだ。
おまえだったのか。
暇をもてあました、賢い貧乏人の・・・・遊び

そんだけ賢いなら、働けよ。と言いたくなる。


≪二廃人≫
 夢遊病が原因で、人殺しまでしてしまった過去を持つ男。夢遊病だったのは実は親友の嘘から出た思い込みで、
その親友が犯した殺人をなすりつけられていたのではないか?湯治の宿で出会った、戦争で顔に傷を負った男が、そんな推理をした。どこか親しみを持ってしまうその男が、自分を夢遊病ではないかと言い始めた親友だった。隠された事実がどんどんと迫ってくる心理的怖さがある。読む側に考えさせて最後まで答えを出さないところがまた怖い。こういう怖さもあるんですね。


≪D坂の殺人事件≫
 明智小五郎が登場。殺人事件のふたりの目撃者の、障子の隙間から見た犯人の着物の色についての証言はまったくの逆。“物質的な証拠なんてものは、解釈の仕方でどうにでもなるものですよ。いちばんいい探偵法は、心理的に人の心の奥底を見抜くことです。”なるほど、探偵小説は、心理小説なのですね。見えないところに答えはある。


≪心理試験≫
殺人犯だとバレないために心理試験について徹底的に調べ、綿密な準備をして試験を受けた犯人。怪しまれないように、わざと不用意に見せかけた答えを出すなどして、犯人ではないことを完璧に示したつもりだった。しかし裏をかいたそのさらに裏を読んだ明智小五郎の推理で、犯人は降参。心理試験がどういうものかについて詳しく書かれていて面白い。


≪赤い部屋≫
 異常な興奮を求める男たちが集う「赤い部屋」。一人の新参者が、これまで犯した殺人について語りだす。これも、大掛かりないたずら。ラストにかけてのドッキリの応酬に、脳みそがぐるぐる回転。作り話である小説の中における、さらなる作り話とはいえ、絶対罪を問われない殺人だなんて、怖ろしいことを考えつくものだ。


≪屋根裏の散歩者≫
 自室の押入れで屋根裏への入口を見つけた男が、思いつきで自殺に見せかけた殺人を犯す。証拠もない事件から、またしても明智小五郎が犯人を突きとめる。明智小五郎と知り合いになってしまっていたことが男の運の尽き。それまでの付き合いで匂わせていた男の犯罪嗜好と、男が事件が起きた当日から煙草を吸わなくなったというヒントだけで、一気に推理が進んでしまう。
 明智小五郎にかかれば、解けない事件はない。ここまで鋭く人間観察する人を友だちに持ちたいような、持ちたくないような。


≪人間椅子≫
 女性作家の家に届いた手紙。それは椅子の中に入ることに快感を得てしまった男の告白だった。読み進めるうちにどんどん恐怖が女性作家のもとへと迫ってくる。恐怖が極限まで来たときに、もう一枚の手紙でオチが告げられる。安心というか、全身のチカラが抜けてしまって、あとからまたゾクッとする感じ。何ともいえないような感覚。やっぱりドッキリテイストが入ってる。しかしすごい妄想力。


≪鏡地獄≫
『乱歩地獄』で映像化された作品。映画とは結構違った。鏡の球体の中に入ったら何が見えるのか。気になるけど、これ読んでたら、少し怖くなりそう。


≪芋虫≫
 これも『乱歩地獄』にあった作品。文字にするとまた違ったおどろおどろしさがあった。映像で先に見てしまったので、先のイメージに捉われてしまった。しかし、生々しい文章はもう、さすが江戸川乱歩としか言いようがない。


 読んでいて、脳みそが動かされるのが分かるくらい、どれもいろんな仕掛けがある。謎が解ける快感もあるのも自分にとっては新鮮な読後感。短いぶん、深く濃い。思考の底なし沼、乱歩地獄。同じく脳内ぐるぐるな安部公房を読んどったおかげで割とすっと入り込めたのかと思う。


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by yuzuruzuy | 2010-06-14 07:06 | 読書

『アウトレイジ』

出てくる人全員が悪人
何が正義だ悪だとかいう見方がぶっ飛ばされた
outrage=非道、暴力
その名の通り、強烈な暴力シーンがあったけど、
思っていたより後味は悪くなかった
残酷な銃撃シーンでも、そのバーン!という音と共に
いやな印象も一瞬で消えてしまうのが北野映画の特徴かも

フランス人記者に、「このような暴力映画を撮って、社会に悪い影響を与えると思わないのか?」
と聞かれた北野武が、
「暴力映画以前に、映画ができて100年くらい、たくさんの感動する映画や、愛情映画があって、それが社会に影響を与えているのか?イラクで何が起きてる?アフリカの飢餓だって無くならないじゃないか。そこをみないで暴力映画ばかり責めるのはおかしい」
と答えると、フランス人記者は「・・・・はい」と黙りこんじゃった。
そんなエピソードをTVで聞いて、観たくなった。
映画が悪いんじゃない、それを受け取る自分たちを見直せよ。ってことかな?

めちゃくちゃ残虐なのかと思って観たのと、この前観た『乱歩地獄』のグロさが残っていたので、
観ていられないほどではなかった。

加瀬亮が演じるインテリやくざが話す英語が不思議なスパイスになって
個人的に面白かった。そこは世界を意識した部分なんじゃろか。
裏社会の知識に乏しい自分には分からない用語があったり
団体同士のしがらみが、若干の消化不良。
自分の知らないいろんな世界があるものだ。
まぁ、あまり深く知るべきではないのかもしれない。

それでも、上下関係や、争いごとは、世界中どこでも起こっている。
ある意味普遍的テーマを持った映画なのかもしれない。
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by yuzuruzuy | 2010-06-13 23:59 | 映画

絵画のドラマ

兵庫県立美術館、レンピッカ展についてのTV番組
ナビゲーター小西真奈美

ポーランドの女性画家レンピッカ
彼女が残した作品に、左手が未完のまま残された男性の肖像画がある
初恋を実らせて結婚したその男性への思いがその左手に込められていた

画家として有名になるにつれ、拡がってしまった夫との亀裂を繋ぎとめようと描き始めた肖像画
“お願い、出て行かないで”
そう願いながら描き続けた思いも叶わず、完成する前に、夫は離れて行ってしまった
残ったのは描きかけの夫の肖像画
顔、腕、脚、背景と色をつけていくなか、どうしても色をつけることができなかった箇所がひとつだけあった
それが、左手
結婚指輪をつけていない左手を描くことで、離婚してしまった事実を認めることになってしまう
しかし、結婚指輪をはめた左手を描いてしまうと、それは嘘になってしまう。
果たせなかった思いと、愛する人がもういない現実
そんな、複雑な思いが込められた肖像画
離婚後も、レンピッカは、ずっとこの絵を持ち続けたと言う。
いつか夫が自分のもとへ戻ってきたときに、この絵を完成させたい
そう思い続けたまま、この肖像画は未完のまま終わった。

夫が当たり前のように彼女のそばへいたとしたなら、
この絵は描かれることもなかったかも知れない。
でも・・・・・

あー、ドラマティックすぎるわ。
絵画には、それを描いた画家の、やりどころのない思いが込められている。
そんな思いに共感しながら、ひとつの作品を味わうのもいいですねぇ。

レンピッカ展行ってみよかな。
キレイな緑がインパクトあるし。

ロマンチックな日記でごめんなさい。
レンピッカさんのせいです。
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by yuzuruzuy | 2010-06-12 04:12 | 表現

『乱歩地獄』

江戸川乱歩の4作品を4人の監督が映像化した作品
監督は違うのに、どの作品もつながっているように感じる
それが江戸川乱歩の生む世界なのだろうけど、ひと言では言えない
正直、よく映画化できたなというほど狂っているし、画面から目を離したくなるほどおどろおどろしいシーンもあるのだけれど、ホラーの怖さよりもリアルで、心理的に迫ってくるものがあった
そしてどの作品も映像がきれいで、気味悪さとの振れ幅が大きい
予告編での“ディープでポップ”に、同感
ただ、ホラーとかサスペンスとかほとんど観ない自分にはディープさが強烈だった
そしてここにも浅野忠信がいてしまった
唯一全作品にまたがって出演している浅野忠信
浅野地獄でもいいんじゃないか?

≪火星の運河≫監督:竹内スグル
冒頭の数分間無音という手法で、引き込まれる
沈黙のなか、ベッドの上で裸でもう1人の自分と戦う、浅野忠信演じる男?
その後ノイズの流れる中、男?が裸で惑星にいる
なぜ“男?”かというと、身体が女になってしまっているからだ。
美しい緑に包まれた原初的な惑星の、土俵6コ分ほどの大きさのクレーター池のほとりで(例えが下手ですみません)
もがき、倒れこむ男。
何か物語の始まりを予感させる作品。

惑星はCGかと思いきや、エンドロールを観るとアイスランドでロケしてたようだ。
次観るときに「裸で寒くなかったのかな?」と余計な心配をしてしまいそうだ。

≪鏡地獄≫監督:実相寺昭雄
巨匠と言われる映画監督。
しかもウルトラマンの演出で有名だとは、小さいころから実は馴染んでいたのかも。
この物語には、明智小五郎が出てきた。演じるのは、勿論浅野忠信。
鏡をめぐる殺人事件で、トリックにももちろん鏡を巧妙につかった犯行
監督はそのテーマを徹底していて、つねに画面のどこかに鏡を入れ込んだり
場所を説明するのに、文字を裏返しにしたタイポグラフィーのカットをはさんだり
物語が鏡のなかで起こっているように感じる作品。
犯人が鏡に飛び込んで死ぬラストシーンも強烈だった。
冒頭と最後の、砂浜に墓石のように並ぶ鏡が、異世界を映し出しているようで印象的だった。


≪芋虫≫監督:佐藤寿保
これが一番狂っていた。狂いすぎて書けない。
愛がいき過ぎると人間こうなってしまうこともあるのかと考えると、とてもリアルで、悲しい話にも思えた。
こんなのを書いた江戸川乱歩は、どんな趣味を持っていたのかと思うとそっちも怖い。
大森南朋の演技がスゴイのひとこと。龍馬伝の武市半平太しかり、あの目には不思議な力がある。

≪蟲≫監督:カネコアツシ
潔癖症で現実の汚さに狂った男の、純粋だけどとんでもなく屈折した愛が生んだ妄想と現実。
人通りのなかブリーフ一丁で「すいませんでした!」と次々と頭をさげる
浅野忠信のこんなはじけた演技は初めて観て、違和感ありまくりだったけど、
その違和感が非現実的な雰囲気を倍増させてたと思う。
男の妄想内の鮮やかな世界と現実らしき色褪せた世界が交互に流れて
どこからどこまでが現実なのか分からない。
ただ、現実を映す鏡のような皮膚科医役の田口浩正は、良い意味で、リアルだった。



こんなとんでもないものをつくってしまう江戸川乱歩の小説を読んでみなければ。

エンディング曲のゆらゆら帝国が地獄から救ってくれるかのように妙に爽やかに聴こえて、かっこよかった。



乱歩地獄 デラックス版 [DVD]

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by yuzuruzuy | 2010-06-08 09:01 | 映画

ipad+広島弁



ネット上のニュースで見つけたけどすごいなこりゃ。
ipadよりも広島弁のクオリティが。クセがすごい。
こんな喋り方のおじさんおるおる。

“あんたぁ中国新聞見るじゃろ?”って細かいところまで(笑)

ipadの最先端な機能と、このおじさんの喋り方のギャップがおもろいんかな?
外国人+関西弁はよくあるけど、外国人+広島弁もアリじゃね。
それとも自分が広島出身じゃけぇ余計に笑ってしまうんじゃろか?
盛りあがっとるのは実は広島県民だけだったりして・・・・


最先端じゃけぇって構えすぎずにまずは使ってみんさい
方言を使うのは、親しみを持ってもらうにはとてもよい方法だ。
ただ、これじゃ広島弁に耳が行き過ぎて機能が伝わりにくいかも(笑)
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by yuzuruzuy | 2010-06-07 20:03 | 表現

『多読術』 松岡正剛

 一年ちょっと前に読んだ本を再読。堅苦しくなったり、身構えてしまいがちな、本と向き合う姿勢を和らげてくれて、去年の今ごろ、ニーチェやらフロイトやら訳も分からず読むモチベーションになった気がする。夜明け前まで眠れなかったので、諦めて本でも読もうと思ったとき、ふと、この本のタイトルが頭をよぎり、横になって二時間かけ再読。結局眠れんかったわい。本棚に並べておくと、こんなインスピレーションがあるのも読書の楽しみ方。これは持論ですが。
 “本は2度読む”ということが書いてあった。読書にはいつ、どんな気分で、どんな感受性で読んだのかということが密接に関わっている。「今その時点の自分」しか感じられないものが、毎回の読書にある。ふむふむ納得。
 よくある読書術の本では、どうやって要点を見つけるかなどと書かれているが、この本は、読書を、筆者と読者の「双方向的な相互コミュニケーション」と捉えて、筆者の書いたことがそのまま読者に伝わることはないという視点に立っている。だから、分からなくて当たり前。敷居がずっと低くなる。
 とにかく、自分のスタイルを見つけること。そして、そのコツとなる読書法のヒントも散りばめられている。ノートの取り方とか、持っておくべきツールなど、結構ハイレベルなものもあり、すべて実践できる頃には“本のヘラクレス”になれそうだ。
 読書のリズムが崩れたり、レベルアップが必要なとき、読み直したい。
 ブログに書いてないのとかも含めておそらく今年の33冊目。もう少しスピードアップを。


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by yuzuruzuy | 2010-06-03 08:38 | 読書

『僕にはわからない』 中島らも

 GWに行ったカフェで借りて読んだ。返しに行かにゃな。
 “宇宙のほんとのとこはどうなってるか”そんな見出しから始まるエッセイ集・・・僕にはわからない。いきなりそう言いたくなる。それでも考えるのが中島らも。好奇心がどこかで聞いた話や観た映画と連鎖反応を起こして、ひとつの疑問が、読み手には考えつかないようなところまで飛んでしまう。後半は自分には馴染みの薄い昔のホラー映画やプロレスラーの話になったけど、ここまで疑問を持って考えつめると、人間の本質に行き着いて、なんとなくでも共感させられてしまうのだなぁ。

 わるものがよく笑うことについての分析が面白かった。
<わるものが笑う理由>
①善玉をやっつけるのが嬉しいから笑っている
②自分の余裕を見せつけて、善玉をひるませるために笑っている
③負けて悔しいので、それをかくすために無理に笑っている
④わるものは笑うものだと決まっているので、先輩を見習って笑っている
などと分類し、わるものの“格(わるさ度)”による笑い方まで分析した結果、大悪人の性格は、『幼児的で、素朴で、マザコンで、生真面目で、あっけらかんとした性格』“けっこう友だちになれそうな人物ではないか” という結論に至る。
 
 わるものがぜんぜん悪くみえない。ひらがなで書いたらかわいらしささえ出てくる。善悪とはしょせん人間が生み出すもので、その対象自体が悪なんてことはない。科学はあるひとつのモノと別のモノの関係を知ることであって、そのモノ自体を知ることではない。(by 小林秀雄)通じるものがあるような。狂気と正気とか無知や真理とか・・・・ところどころに哲学的な匂いを感じさせながら、こんな面白おかしい文章が書けるなんて、どして?人から聞いた話から自身の体験まで、ネタの豊富さと強烈さにも驚き。
 どんな人生送ったらこんな考え方&書き方できるんじゃい。ひとまず僕は、らもワールドで擬似体験する他あるまい。



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by yuzuruzuy | 2010-06-02 23:59 | 読書


つまらない、面倒くさいを、面白く。


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