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ティファニーで朝食を

村上春樹が翻訳した小説を先に読んで、この有名な映画を観た。
小説のほうは村上テイスト全開。
やっぱりアメリカ文学が原点なのかなぁと納得する翻訳だった。

ヒロインのホリーは、部屋の表札にTraveringと書いていて
自由奔放に男を振り回す美女
翻訳のせいもあるけれど、他人に馴れ合いを求めない性格は
村上作品に出てくる女性たちと似た雰囲気があった
それはアメリカ、NYの多様で自由な暮らしの空気があってこそ本物のロックで、カッコ良い
閉塞的で画一的な日本の内で描こうとすると、なんだか病的で、息苦しく感じる
そこが村上作品が生む、アメリカ文学にはない孤独感の源泉なのかもしれない。


映画のほうは、オードリー・ヘップバーンが主演
コメディ的な要素とお洒落な雰囲気がマッチしていて良かった
ホリーのアパートの住人ユニヨシさんという日本人写真家がやりすぎていておもしろい
出っ歯の黒縁めがねとアヒルみたいな声
世界から見た当時の日本人はこんなだったのか?
外国映画で観る日本人て、どこかマヌケに見えるのは、文化の違いでしょうがないのかなぁ

ホリーの生き方を通して
本当の自由とは何か?人生とどう向き合うべきか?
そんなことを考えさせられる。

たとえそれが窮屈で、不自由に感じたとしても
誰かに必要とされて人は生きているんだと思った。
他人との間に壁をつくってしまった時点で、その向こうには行けない
どんどん壁をつくって、結局自分の周りは壁だらけ
自分では自由な気になっていても、実際は狭い壁の内側で意味もなく這いずり回ってるだけ
一方で、狭い壁の内側だからこそ、より深く掘れるとも言える
翼か、はしごでもなければ出てくるのが大変だ
それをくれるのも周りの人なんだろうな
いずれにせよ、他人と向きあうことは、自分の人生と向き合うことなんだと再確認


ラストシーンでは、ホリーの心のベルリンの壁が崩壊しました。舞台はNYじゃけど。

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by yuzuruzuy | 2009-12-24 15:54 | 映画

影をなくした男

 古本屋で背表紙をみたとき、ビビッと脳が反応した。昔読んだ本か何かで“シャミッソー、影をなくした男”という言葉が出てきた気がするけど、何だっただろう。とにかく気になって読んだ。しかし、結局思い出せない。
 影を失う男というのは安倍公房的な発想。シャミッソーのほうが大先輩だけど。四次元ポケットとか魔法の靴みたいな子供向けの発想もおもしろい。子供に聞かせるための物語として作られたらしく、わかりやすかった。
 主人公の男、ペーター・シュレミールは限りなく金が出てくる魔法の袋と引き換えに、自分の影を悪魔に売ってしまい、影がないせいで世間の冷たい仕打ちにあう。影を取り戻すには悪魔の契約書にサインして、魂を売らなくてはならない。それを拒んだ男は影をなくしたまま、一世一代の恋も失い、絶望して旅に出る。何度も悪魔の誘惑にあいながらも、最後には決心し、悪魔に立ち去れと命じた。取引道具の魔法の袋も投げ捨てて、影を失くし、金も失くし男はそれでも旅を続けた。
 この先が何とも予想外。魔法の靴を手に入れた主人公の冒険が始まる。いきなり話が変わりすぎなきもしたけど、子供向けだとしたらそれも良い。カバー説明にあったメルヘンタッチという意味が分かった。
 作者が言いたかったのは、お金のために魂は売るなということだろうか?大金持ち代名詞として登場したヨーン氏の、魂を悪魔に奪われた醜い姿と、“神ノ義ニヨッテ裁カレ、神ノ義ニヨッテ罰セラレタ”という言葉は金がすべてとなってしまった現代社会への強烈な皮肉。
 あとがきにもあったように、悪魔のささやきに惑わされながら自分自身と戦う構成はゲーテの『ファウスト』を思い出した。聖書でキリストが悪魔に立ち去れと言った場面がモチーフとなっているのかな。当たり前なようで普段気づかない影でも、失ってしまったら世界からのけ者にされた感覚になるのだろうか。
シュレミールよ、ぼくたちはへこたれない
行く手を見はるかし、さえぎるものを容赦しない
立ち騒ぐ世間に目もくれず
ともにしっかり手を組んで
一歩でも目標に近づこう
笑いたくば笑え、謗りたくば謗れ
嵐のはてにぼくたちは港へと往きついて
心ゆくまま安らかな眠りを眠る
巻末「わが友ペーター・シュレミール」より
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by yuzuruzuy | 2009-12-23 09:57 | 読書

Life is Beautiful

こんなに泣ける嘘があったんだ
こんなにカッコいい嘘があったんだ
こんな嘘なら、信じても良いんじゃないかな
信じ続けたなら、それは本当になる

イタリア映画第3夜

一年以上前から観ようと思ってようやく観ました。
原題La vita è bella ・・・ ブログのタイトルにも良さそうじゃ。
タイトル負けしないビューティフルな物語でしたね、MOLT BELLO.
ジムジャームッシュ映画でお馴染みのロベルト・ベニーニの演技は何回観ても飽きないです。
この映画も子役の存在感が芯となって物語の後半を支えてます。
ヒロインの女優はベニーニの本当の奥さんだけあり、愛情がよく伝わってきました。

グイドは陽気で、とんでもない想像力の持ち主で、
どんな状況も機転を利かせプラスに変える根っからのコメディアン
そんな彼がユダヤ人の強制収容所という絶望的な状況に置かれて
息子を守るため命懸けで嘘をつく。

冷静に見たらどんなに馬鹿らしい行動でも
殺されるかもしれない瀬戸際まで、子供を笑わせようする姿がカッコいい。
生き抜くためには想像力が必要だと改めて思いました
そこに少しでも希望があれば、愛と想像力がきっと助けてくれる
そんなメッセージを伝えたかったんだろうと思います。
ラストシーン、泣けます。

映画の前半、平和な時代のグイドの、世界を面白くする発想や、医者とのなぞなぞ
後半の希望を生むための命を懸けたアイデア
一瞬でひっくり返った前後の世界のギャップと、変わらないグイドの生き様に
笑っていいのか悲しめばいいのか分からなくなる
人生は悲劇的喜劇なのか、喜劇的悲劇なのか
いずれにせよ、美しいものなんじゃろな

頭脳次第で、世界は貧弱で味気なくつまらぬものにもなれば、
豊かでおもしろく味わい深いものにもなる。

すなわち憐れな喜劇役者である。悩み、苦しみをもつ喜劇役者である。
人生またかくのごとしである。

シューペンハウアー 『幸福について』


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角川エンタテインメント

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by yuzuruzuy | 2009-12-12 23:59 | 映画

道 La Strada

イタリア語の授業で冒頭だけ見て気になっていたところ
レンタルで100円だったので、観てみた。
古い映画でかなりの名作のようだ。

旅芸人のザンパノに買われた貧しい家の長女ジェルソミーナ
いくら一緒に旅を続けてもザンパノには冷たく扱われる
自分は何故ザンパノと一緒にいるのか?生きている意味があるのか?
あるサーカスで出会った“狂人”という名の男の言葉

“小石でも何か役に立ってる
 これが無益ならすべて無益だ
 空の星だって同じだとおれは思う
 おまえだってそう 何かの役に立ってる”

そう信じようと、葛藤しながらも懸命に自分に与えられた道を進んでいく・・・

ジェルソミーナの狂った演技が、演じているのを忘れるほどあまりにもリアル。
不器用で狂暴なザンパノと、名前のとおりイカれた男、2人の演技がさらに強烈で、
ザンパノの芸のごとく画面の前で金縛りにさせられそうなほどの迫力だった

ラストシーン、重すぎる・・・・
乱暴な男と従順な女、現代ではDVだと簡単に片付けられる関係性だけど
この映画ではもっと根源的な人生のテーマを伝えようとしているのかな
そう思わせる結末でした


昨日見た自転車泥棒にせよ、イタリアのイメージと正反対の悲劇的な映画
内面の深い部分にはきっと暗い部分があるんだなと思わずにはいられない
しかし部分的に観ればもの悲しいなかにも陽気なエッセンスがちりばめられていたかな

DVDの特典の、淀川長治さんの解説が独特すぎて面白かったので必見です。
何いっとるのか正直分からんところも・・・


人は誰もが舞台(ステージ)に立っている
輝く主役(ほし)になれ
ひとりひとりの命にゃ意味がある
生きてく理由(わけ)がある
              ~サザンオールスターズ 『BOHBO No.5』~ 


道【淀川長治解説映像付き】 [DVD]

アイ・ヴィ・シー


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by yuzuruzuy | 2009-12-11 23:56 | 映画

自転車泥棒

ネオレアリズモ(新写実主義)の名作と評される1948年のイタリア映画
第二次世界大戦後の貧困なイタリア社会の現実を自転車を通して映し出した作品

職を得るためにシーツを売ってようやく手に入れた自転車を
不幸にも仕事の初日にいきなり盗まれてしまったアントニオ
警察にも相手にされず、翌朝息子のブルーノを連れて自力で自転車を探し始める
題名そのままのシンプルな物語

アントニオの心理描写と、自転車に懸ける思いがモノクロの映像を通して
ドキュメンタリーのようにリアルに伝わってくる
子役の演技が素晴らしく、時おり見せる大人のような顔、かわいらしい仕草に目が離せなくなった
日本映画でもそうだけど、昔の映画の子役は今の子役にはないものをもっているんだよなぁ
それは大人になった現在の彼らを想像してしまうからだろうか?
映画の中では子供でも、現在は立派な大人や、おじいさんになっているんだし
どこか人生の先輩のように感じてしまうのかもしれない。

ラストシーンに用意されていた強烈なメッセージ
そこに希望はないのだろうか

時代や生活状況は違えど自転車は絶対盗まれたくないなと改めて思いました。


自転車泥棒 [DVD] FRT-160

ファーストトレーディング


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by yuzuruzuy | 2009-12-10 22:48 | 映画


つまらない、面倒くさいを、面白く。


by yuzuruzuy

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