カテゴリ:映画( 66 )

『お葬式』

伊丹十三初監督作品

テーマはタイトルそのままお葬式。
マキノ雅彦監督の『寝ずの番』みたいにシリアスなテーマとのギャップを出すドタバタ劇なのかと思いきや、ぶっ飛びもせず、大袈裟な綺麗さもしない、本当の意味でのリアルさが追求された映画。小津安二郎の映画に近いものがある。そこに伊丹監督のユーモアとアイロニーがまざって、クスっと笑えてホロっと泣ける作品。

人が亡くなる。娘が父の死を知る。棺桶を手配する。遺体に会いに行く。遺体を納棺し家に運ぶ。葬儀屋と打ち合わせをする。葬儀のマナーをビデオで学ぶ。挨拶を考える。通夜が執り行われる。棺の前で親族でお酒を飲む。告別式までの準備をする。告別式が執り行われる。出棺する。火葬場で死者を見送る。火葬が終わるのを待つ。遺骨と一緒に家に帰る。親族で食事をする。親族がそれぞれの家に帰る。

そんなお葬式のシーンを客観的に映すことで、神妙な雰囲気の中での残された人たちの行動を細かく表現している。お葬式は悲しい。それはもちろんだけど、よくみると可笑しなところがたくさんある。正座で足が痺れて目立たないようにみんなが足を組みかえる。男たちが酒を飲んで話が盛り上がる一方、奥さんたちは解散のきっかけを作ろうとする。子供たちはいつもと違う雰囲気にはしゃぎまわる。耳の遠いおじいさんはひとり取り残され別の部屋で寝ていて、帰るときになって見つかる。

特に印象的だったのは吊られた丸太のブランコを宮本信子が立ちこぎするシーン。まだ全部通してみてはないけれど、黒澤明の『生きる』の名シーンを思い出した。その裏では夫役の山崎努が愛人と不貞行為。そこも伊丹監督なりのリアリズムなのだろうか。大滝秀治演じる叔父を嫌いながら、その兄(弟?)である故人を純粋に慕う尾藤イサオがいたりする。葬式は、普段見えない人間関係が見えてしまう場でもあるのだ。

他にも、火葬場での待ち時間の空気は、僕も実際の経験が忘れられないほど独特なものがあって、そこもリアルだった。棺桶が入っていく最後の別れの瞬間と、何をしていいのか分からない待ち時間。あの空間にしかないにおいとともにそのときの印象がよみがえってきた。
さすがに骨壷に骨を納めるシーンはなかったな。あの時間の、係りの人との「ここが咽仏です」などといった会話とか、火葬後の骨から伝わってくる熱やにおいの印象は、幼い子供にとっても強烈なものだ。その代わりのように火葬の様子を小窓から眺めるシーンがあって、点火係り(小林薫)が見る夢の話(結構怖いのでここには書かない)は、昔祖父から聞いた忘れられない話と重なる部分があって、考えさせられた。

葬式とは関係ないシーンでも、CM撮影のときの遠近法を使った撮り方や、カーチェイス風にサンドイッチを手渡すシーンに遊びゴコロが出ていて、わりと静かな本編のなかでカウンターパンチを喰らわせる威力があった。

『おくりびと』はまだみていないが、ここまで切実に響いてくるお葬式映画は他にないんじゃないかと思う。
続けて観るとさすがに気が滅入りそうなので、またこの映画も見直しつつ、他の作品と比べてみたい。
もちろん他の伊丹作品もチェックしよう。

伊丹十三DVDコレクション お葬式

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by yuzuruzuy | 2010-10-05 00:44 | 映画

『トイ・ストーリー』

トイストーリーシリーズ、はまってます。。

冒頭のアンディがおもちゃで遊んでいるシーンと
流れる歌の歌詞でいきなり(3)を思い出してジーン。
 
思い出せともだちを キミのすぐそばに いつもオレがいる

時が流れても 変わらないもの 
それは オレたちの絆 
キミはともだち いつもオレがいる キミのそばに

これ歌っとるのダイヤモンドユカイだったんか(笑)
回転ソファに座っているウッディとアンディ2人の脚が見える映像とか
誕生日パーティーの準備に喜ぶアンディの様子など
ウッディの視点の映像になっていて
説明抜きに一発で映画に引き込まれるこのオープニングシーンは何度見ても好き。




引き込まれて抜けられない振れ幅ブンブンなストーリー展開。
おもちゃの世界って狭い気がするけど、
おもちゃの目線になれば、この世界は逆に広くなる。
できることが限定されるからこそ、
その範囲内のアイディアと、
コンピュータの技術で自由になる。
おもちゃだって空を飛べる。
無限の彼方へ、さぁ行くぞ!


誕生日やクリスマスになったら、
新しいおもちゃのプレゼントとして何がやってくるのかについて、
古いおもちゃたちがそわそわするなんて、人間は考えない。
でもそれを自然と人間に置き換えて見せると、
転校生がやってきたときのクラスの人気者みたいで共感できたりする。

自分をスペースレンジャーだと思い込んでいたバズが、
TVから流れてきたCMで自分をおもちゃだと知り、
絶望して頭がおかしくなるシーンも、人間に置き換えたら衝撃的。
でも現実と理想の葛藤とか、自分が何者なのかという問いは誰しも持っているもので、
おもちゃを通して人間を考えさせられたり。
そこに女の子のおままごととか、コーヒーを飲んで酔っ払った風にみせたり、
真面目なことをどれだけ面白く見せるかって言うとこまで考えられてるのかなぁ。
だから子どもでも大人でも違った楽しみ方ができるし。

もー深っ!!

何かインスピレーションがないかと期待して観た部分もあったけど、
まさにアイディアの大爆発で圧倒されてしまった。

トイ・ストーリー [DVD]

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by yuzuruzuy | 2010-09-15 01:57 | 映画

『インセプション』

“夢に侵入してアイディアを盗む”という
とても面白そうなテーマだったので観た。

アイディアを盗む行為は“エキストラクト”と呼ばれ
ディカプリオ演じるコブはそれを仕事とする脳内スパイ
インセプションとは「植え付け」という意味で使われていて
夢の中で他人に新しい価値観を植え付けて現実での行動を変えてしまおうというもの。

冒頭からいきなり夢、夢の連続で
夢の中で夢を見ていたりして
いったいどれが現実なのか混乱する
でも殺されたら目が覚めるとか、
水に落とされたら洪水が起きたり、
夢と現実が交差するシステムは分かりやすかった。

最初は敵だったのに、“家に帰してやる”という理由で
簡単に依頼を受けたサイトー(渡辺謙)との関係はいまいち分かりにくかった
そしてそこからがインセプションの始まり

他人の潜在意識に侵入するためには
夢の設計者が必要で、迷路のように夢の世界を構築して
ターゲットにあたかも現実、または自分の夢だと思わせなければならない
その役目を任されたのは女子高生
訓練のシーンで、気づいたら夢の中だったり
設計者としての能力を発揮し始めて、世界をBOXの内壁みたいに四角く折りたたんでしまうところとか
“パラドックスの階段”、夢かどうかを確かめる“トーテム”という道具など
アイディア満載でこんなことできたらなぁと、いちばん楽しめるシーンだった。
夢から覚ますのを“キック”と呼ぶのは使えそう。

あとは夢の中でターゲットを騙す詐欺師
長時間夢の世界に深く入り込ませるための鎮静剤を作る調合師を集めて
オーシャンズ11のようなチームで完全犯罪を目指す

計画では夢の中が3層目まで設計される。
夢の中の夢でさらに夢を見せる
ここまでくると1層目と2層目、2層目と3層目の関係で
さらに難解になってきた。

夢の中なので何でもあり。
重力がめちゃくちゃになったり
銃撃、爆破の連続で、作ってるほうは楽しかっただろうな。

脳内犯罪がテーマと思いきや
そこに主人公の亡くした妻や子どもたちとの関係が重なって
難解なテーマがより身近なものになってる。
訓練シーンの会話でも出てきたけど
“夢は視覚的なものと言うより、もっと感情的なもの”
感情に訴えることでより観る人を引き込んでいる。
夢の中の世界に大事な人を閉じ込めてしまい、
現実との区別がつかなくなる。って分かる気もする。
あまりにも楽しい夢だったら、起きたとき「戻りたい」って思うもんな。

元妻との会話で夢と現実の区別を聞かれ
“罪悪感”と答える主人公
確かに、夢では罪悪感を感じることは少ない。
夢の中までも罪悪感に縛られた主人公
その理由はなかなか衝撃的だった。

ラストシーンも、最後まで象徴的。

すごい世界観で、一作で終わるのはもったいない気もした。
ディカプリオは久々に観たら渋くなってるし
渡辺謙もかなりメインの役どころで、違和感なく溶け込んでいた。
さすがKEN WATANABE。

想像力を刺激するパズルのような映画だった。
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by yuzuruzuy | 2010-09-04 09:28 | 映画

『トイ・ストーリー3』

トイ・ストーリーはウッディとバズを知ってるくらいで
映画をちゃんと観るのははじめてだった。
でもはじめてでも十分楽しめる内容だった。

若干ネタバレの感想。

映画の前に『ナイト&デイ』というショートムービーが流れて
そこからまずは面白かった。

真っ黒な画面に二人のキャラクターが現れて
その身体の中に昼と夜の景色が映る
寝ているときは身体の中で羊が歩き回っていたり
風や雷で呼吸とかお腹の鳴る音を表現していたのが面白かった
お互いに綺麗な景色を見せ合う
「まったく違うものの内にこそ、ナントカ…」というナレーションがあって
夕暮れの一瞬だけ二人は合わさって、昼と夜が逆転する。
ほとんど台詞もないのに、とてもメッセージ性のあるムービーだった。
トイストーリーを楽しむための想像力を起こさせる準備体操みたいなもので
大人はここで心を掴まれるんじゃないかなぁ。

そして本編。
CGの3Dはめちゃくちゃ迫力がある。
3Dが普及したら、映画俳優は要らなくなるんじゃないかというくらい
表情や動きがリアルだった。

いきなりアクションから始まったので、え?そういう映画だったっけ?と思ったけど
僕の想像力が足りませんでした。
大学生になったアンディくんとおもちゃたちの関係を
自分と昔遊んだおもちゃに置き換えただけで
なんかしみじみと感じるものがありました。
これは子どもにはまだ分からん感情じゃろうな。
大人向けの映画なのかもしれない。

おもちゃの視点に立つと景色がこんな風に見えるのか~
サニーサイド保育園や焼却場のシーンでは
徹底的におもちゃたちの目線になった
いろんなアイディアがあってハラハラな展開でとにかくすごかった。

バービーとケンの着せ替え人形カップルがツボ。
あの二人メインでラブコメ映画にできる。
スペイン語のバズも笑えた。

スペイン語ver.バズを思いついた時点で、アイディアがさらに一気に広がったんだろうなぁ。


そして最後はウッディとアンディくんの出した答えに感動。
久しぶりに映画でウルッときた。
いくつになっても子どもゴコロは純粋に反応してしまうものだ。


3Dメガネのおかげで泣いてるのがばれないのはいいかも知れない。
でもみんなしてウルトラセブンみたいなメガネを掛けて泣いてる姿は想像するとなんだか滑稽だ。

とにかく素直に良い映画だった。
シリーズを通して観てみようと思う。

アニメーション映画も良いすなぁ。


≪追記≫
サイトでレビューを見ていると、
必要とされなくなったおもちゃと、
働く場所を探す労働者が重ね合わさって、
大人にも響く、とてもタイムリーな脚本テーマだったそうだ。
そこまで練ってあそこまでのストーリーが作るには、
数えられないほどの試行錯誤があったのだろう。
伝わるものには、思考の積み重ねによる論理と理由が必ずあるんだな、
感動。
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by yuzuruzuy | 2010-09-03 07:21 | 映画

『SURVIVE STYLE 5+』

ニールが最初に日本に来たときタワレコで買ったやつを借りて観た
Nice choice, Neil049.gifな映画
脚本はCMプランナー多田琢

作品全体は濃すぎていちいち説明するのが難しい
5つの主要なグループにそれぞれのストーリーがある
(不死身の妻を夫が何度も殺そうとする夫婦だったり、ホモ疑惑を抱えた空き巣3人組だったり、催眠術でパパがハトになった家族だったり、外国人殺し屋と通訳だったり、なかなか世に受け入れられないCMプランナーだったり)
それぞれがぶっ飛んだストーリーを持ちながら、交差していく展開

『ナイスの森』の流れで、ぶっ飛んどる
ちょい役じゃけど、またしても加瀬亮が踊らされそうになっとった
その部分はどうやら、『ナイスの森』の監督が協力しとったらしい
んで、やっぱりやっぱり浅野忠信
『乱歩地獄』に引き続き、身体張っとるな~、イメージ変わる
他にも『ナイスの森』と同じ人が出とるし
CM関係の人は役者の好みが似とるんかなぁ
メインからチョイ役までキャスティングの時点でまず面白い
阿部寛に小泉今日子、荒川良々、岸部一徳、三浦友和、神木隆之介(まだ小さい)、森下能幸、明和電気の人
なかでも外国人殺し屋のVinnie Jonesは、なんと元サッカー選手で、
ウェールズ代表のキャプテンまで務めていたとかで、存在感ありまくり

特に衝撃だったのが
阿部寛のダンディな変態催眠術師ぶり
荒川良々の通訳ぶり
森下能幸のホモっぷり
岸部一徳のハトっぷり
その合間合間で輝く神木隆之介の異常な透明感
映画版20世紀少年のラストでは、大きくなってもその透明感とか儚い感じは健在だったけど
特にこの時期の彼には一瞬ですべてをキレイにしてしまうチカラがある
例えるなら、なんじゃろ?
超強力マイナスイオン空気清浄機?そんなパワフルじゃねぇか。
んー違う、もっとナチュラルな何か。自然と言うしかあるまい。
周りはめちゃくちゃなのに、ひとりだけつねに台風の目の中にい続けてる感じ?
なんじゃろか?
(考え中・・・・)



それまでの展開を含めて、このシーンは今までにないような不思議な感動が。
ハトのパパ岸部一徳の涙がキラリ。
可笑しくて、切なくて、好きな感覚。


笑える感じ、怖い感じ、ホロッとする感じ、考えさせる感じ
コチョコチョ、チクチク、ゾクゾク、ジーン、バチーン、スリスリ
刺激がいろいろ
ハトになってポッポと鳴きつづけるパパなんて、
それだけで笑ってしまうのに、さらに受け入れて感動を呼ぶ
岸部一徳のマヌケな顔とキレイな涙のギャップに表れているように、
異常を異常のまんまにして、そこに感動的な要素を重ねて
笑って良いの?泣くべきなの?突っこむほうが良い?
こうして意図的に複雑な感情を起こさせるのもこの映画のテーマのひとつにありそう。

ラストシーンは持ってかれたーって感じで、
片方だけ口角上げて、ニヤッとしてしまった。


『ナイスの森』もそうじゃけど、一度じっくり観た後は、
観るでもなく部屋で流しときたいな、それこそCMの連続
こりゃやりたいこと全部詰め込んどるわ
これでもかと言うほどアイディア満載
ワンカットごとのネタ密度が高い高い
途中から、次は一体何を放り込んでくるんじゃろうと考えながら観た

音楽のセンスも、外国で受けるのが分かる
カムベベ、カムカム、べべ が、耳から離れない
さらにアートディレクターに佐藤可士和
イロイロお洒落で、金かかったじゃろなぁ



WHAT IS YOUR FUNCTION IN LIFE?
あなたの役割は、何ですか?


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by yuzuruzuy | 2010-06-16 11:25 | 映画

『アウトレイジ』

出てくる人全員が悪人
何が正義だ悪だとかいう見方がぶっ飛ばされた
outrage=非道、暴力
その名の通り、強烈な暴力シーンがあったけど、
思っていたより後味は悪くなかった
残酷な銃撃シーンでも、そのバーン!という音と共に
いやな印象も一瞬で消えてしまうのが北野映画の特徴かも

フランス人記者に、「このような暴力映画を撮って、社会に悪い影響を与えると思わないのか?」
と聞かれた北野武が、
「暴力映画以前に、映画ができて100年くらい、たくさんの感動する映画や、愛情映画があって、それが社会に影響を与えているのか?イラクで何が起きてる?アフリカの飢餓だって無くならないじゃないか。そこをみないで暴力映画ばかり責めるのはおかしい」
と答えると、フランス人記者は「・・・・はい」と黙りこんじゃった。
そんなエピソードをTVで聞いて、観たくなった。
映画が悪いんじゃない、それを受け取る自分たちを見直せよ。ってことかな?

めちゃくちゃ残虐なのかと思って観たのと、この前観た『乱歩地獄』のグロさが残っていたので、
観ていられないほどではなかった。

加瀬亮が演じるインテリやくざが話す英語が不思議なスパイスになって
個人的に面白かった。そこは世界を意識した部分なんじゃろか。
裏社会の知識に乏しい自分には分からない用語があったり
団体同士のしがらみが、若干の消化不良。
自分の知らないいろんな世界があるものだ。
まぁ、あまり深く知るべきではないのかもしれない。

それでも、上下関係や、争いごとは、世界中どこでも起こっている。
ある意味普遍的テーマを持った映画なのかもしれない。
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by yuzuruzuy | 2010-06-13 23:59 | 映画

『乱歩地獄』

江戸川乱歩の4作品を4人の監督が映像化した作品
監督は違うのに、どの作品もつながっているように感じる
それが江戸川乱歩の生む世界なのだろうけど、ひと言では言えない
正直、よく映画化できたなというほど狂っているし、画面から目を離したくなるほどおどろおどろしいシーンもあるのだけれど、ホラーの怖さよりもリアルで、心理的に迫ってくるものがあった
そしてどの作品も映像がきれいで、気味悪さとの振れ幅が大きい
予告編での“ディープでポップ”に、同感
ただ、ホラーとかサスペンスとかほとんど観ない自分にはディープさが強烈だった
そしてここにも浅野忠信がいてしまった
唯一全作品にまたがって出演している浅野忠信
浅野地獄でもいいんじゃないか?

≪火星の運河≫監督:竹内スグル
冒頭の数分間無音という手法で、引き込まれる
沈黙のなか、ベッドの上で裸でもう1人の自分と戦う、浅野忠信演じる男?
その後ノイズの流れる中、男?が裸で惑星にいる
なぜ“男?”かというと、身体が女になってしまっているからだ。
美しい緑に包まれた原初的な惑星の、土俵6コ分ほどの大きさのクレーター池のほとりで(例えが下手ですみません)
もがき、倒れこむ男。
何か物語の始まりを予感させる作品。

惑星はCGかと思いきや、エンドロールを観るとアイスランドでロケしてたようだ。
次観るときに「裸で寒くなかったのかな?」と余計な心配をしてしまいそうだ。

≪鏡地獄≫監督:実相寺昭雄
巨匠と言われる映画監督。
しかもウルトラマンの演出で有名だとは、小さいころから実は馴染んでいたのかも。
この物語には、明智小五郎が出てきた。演じるのは、勿論浅野忠信。
鏡をめぐる殺人事件で、トリックにももちろん鏡を巧妙につかった犯行
監督はそのテーマを徹底していて、つねに画面のどこかに鏡を入れ込んだり
場所を説明するのに、文字を裏返しにしたタイポグラフィーのカットをはさんだり
物語が鏡のなかで起こっているように感じる作品。
犯人が鏡に飛び込んで死ぬラストシーンも強烈だった。
冒頭と最後の、砂浜に墓石のように並ぶ鏡が、異世界を映し出しているようで印象的だった。


≪芋虫≫監督:佐藤寿保
これが一番狂っていた。狂いすぎて書けない。
愛がいき過ぎると人間こうなってしまうこともあるのかと考えると、とてもリアルで、悲しい話にも思えた。
こんなのを書いた江戸川乱歩は、どんな趣味を持っていたのかと思うとそっちも怖い。
大森南朋の演技がスゴイのひとこと。龍馬伝の武市半平太しかり、あの目には不思議な力がある。

≪蟲≫監督:カネコアツシ
潔癖症で現実の汚さに狂った男の、純粋だけどとんでもなく屈折した愛が生んだ妄想と現実。
人通りのなかブリーフ一丁で「すいませんでした!」と次々と頭をさげる
浅野忠信のこんなはじけた演技は初めて観て、違和感ありまくりだったけど、
その違和感が非現実的な雰囲気を倍増させてたと思う。
男の妄想内の鮮やかな世界と現実らしき色褪せた世界が交互に流れて
どこからどこまでが現実なのか分からない。
ただ、現実を映す鏡のような皮膚科医役の田口浩正は、良い意味で、リアルだった。



こんなとんでもないものをつくってしまう江戸川乱歩の小説を読んでみなければ。

エンディング曲のゆらゆら帝国が地獄から救ってくれるかのように妙に爽やかに聴こえて、かっこよかった。



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by yuzuruzuy | 2010-06-08 09:01 | 映画

『片桐はいり4倍速』

片桐はいりを初めて見たのは、小学生のときだった。
子供向け番組のなかのショートドラマで、悪い奴らに洗脳されたご近所さんみたいな役だったと思う。
ものすごく失礼だが、小学生の僕には恐怖さえ感じられたその悪役片桐はいりの顔は、一度見てから忘れられなかった。

何年か前に『かもめ食堂』を観たら、片桐はいりが出ていた。
大きいカラダから放つ存在感と正反対な、人付き合いの苦手な小心者で、
でも思いきってフィンランドまでムーミンに会いに来たという女性の役だったと思う。

どんな役でも「片桐はいりだ!」と思わせる存在。
だからこそ、こんなオムニバス作品まで作れるんじゃろうなぁ。
板尾創路、松尾スズキなど、4人の監督が片桐はいりを主役につくったショートフィルム集。

片桐はいりの存在感がとにかく炸裂してます。


“説得力のある顔”っていう切り口からスピリチュアルカウンセラーになる片桐はいり、
何日も連続で街中で遭遇してしまう片桐はいり、
謎の怪物を飼ってる片桐はいり、
無視されて家でいじける片桐はいり、
実験台として検証されてしまう片桐はいり(特典映像)、

とにかくいじられ上手だった。
何をしていても片桐はいり。
ただいるだけで片桐はいり。







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by yuzuruzuy | 2010-06-01 03:22 | 映画

『茶の味』

ニール推薦の映画。
『ナイスの森』の石井克人監督だけど、あそこまでぶっ飛んでない。
とってもピースフルで、落ち着いてる。

ひと言で言えば、“ほのぼの&シュール”な映画。
一見普通でのほほんとしていて、だからこそヘンテコな部分が目立つ春野家の話。
一人ひとりが不思議な世界を持っていて、それが映画の中の現実に現れる。
日本映画にしかない雰囲気で、時々アニメをはさんだり、CGを使ったり、
ホントに不思議な世界観。

逆上がりができないで、大きなもう1人の自分が現れた女の子。もやもやした感情が伝わってくる。
浅野忠信と中嶋朋子のぎこちない会話のシーンも、設定は浅野忠信が昔告白してふられたことになってるけど、他にいろいろあったんだろうなってことを勝手に妄想してしまいそうだった。
馴染みやすい空気感の中で、自分も参加して一緒にお茶を飲んで観るのも良いと思う。

カンヌでも評価されたらしい。
ほのぼの映画に浅野忠信が出てくるだけでなんかシュールになってしまうのはなぜだろう?
そこにいるだけでなんか違和感がある、でもなんとなくいてしまっている。
そして最近、狙ってもないのになぜか、僕の観る映画観る映画に、浅野忠信はいてしまっている。
彼がいてしまうのか?僕が観てしまうのか?

バレエシーンとか謎の歌「山よ」とか、ちょいちょいエンターテイメントなシーンがあった。
それも石井克人ワールドらしい。
ちょっと外した日本っぽさがあって、海外でウケるのも分かる気がする。
最後は泣けそうなシーンもあるし。



おもしろい!

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by yuzuruzuy | 2010-05-30 02:59 | 映画

書を捨てよ、町へ出よう

寺山修司

本を読んで映画を観た。
美輪明宏が出てた。

現実と非現実
スクリーンの向こうと客席
それらの境界をなくすような
生々しくて、痛々しい
映像と音楽、言葉だった。
3Dよりも、画面から自分に向かって飛び出してくる映画だと思う。

妹が、ドアの向こうで襲われているのに、助けられずに葛藤する主人公
高校時代に繰り返し観た、岩井俊二監督『リリィ・シュシュのすべて』(主演・市原隼人)を思い出した。
好きな子を助けることができず、泣くしかない主人公(市原隼人)
(『リリィ・シュシュ…』についても、近々書いてみようと思う。)

嗚呼、青春の痛さ…そんな気持ちを思い出させる。

こんな映画今はできないかも知れない
それだけ現代では生々しさが隠されてきたのだなと実感した

書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)

寺山 修司 / 角川書店



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by yuzuruzuy | 2010-05-25 01:09 | 映画


つまらない、面倒くさいを、面白く。


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