カテゴリ:映画( 66 )

『ローズ・イン・タイドランド』

厳しい現実をもはねのける、子どもの力強い生命力こそ
私が敬愛する想像力の源だ。
テリー・ギリアム


『モンティ・パイソン』のテリー・ギリアム監督作品
モンティ・パイソンは「なんじゃこれ!」という作品だった。
そのテイストがそのまま、不思議の国のアリスの世界に組み合わさったような、
ブラックな寓話の物語。ダーク・ファンタジーと呼ばれるジャンルらしい。

主人公ローズは薬物中毒の両親を持ち、ある日母親は薬物の過剰投与で死んでしまう。
父親と旅に出たローズは荒野にたたずむ祖母の家で暮らし始める。
祖母はなくなっており家の中はボロボロ。
そして暮らし始めてすぐに父親もヘロインを注射したあと意識が戻らず、
孤独になったローズは想像の中で遊びだす。
そして、同じ荒野のレンガの家に住む奇妙な姉弟と出会う。

貧しさや身の回りの異常な出来事を、ローズは子どもの心でまっすぐ受けとめる。
それは大人から観れば狂っているように思える一方、心のどこかに響いてくる。
発想は子どもなのに、ときどきもの凄く大人っぽく思えるのは、
ローズが自分たちには見えないものを見ているからだろうか?

いろんな感情の源が詰まった映画。だからひと言では語れない。
出てくる人間全員どこかおかしくって、次々巻き起こる事件には現実と虚構の区別もない。
ダークでグロテスクな現実世界も、少女の目を通せば、おとぎ話の世界になってしまう。

この作品の世界を創っているのは、子どもが持つ“狂気”。
ギリアム監督はいくつになってもそれを持ち続け、信じ続ける監督のようだ。


一度だけじゃ分からないから、何度も読みたくなる大人のための絵本みたいな映画。


主人公の少女が『パコと魔法の絵本』のパコに似ていた。

ローズ・イン・タイドランド [DVD]

東北新社


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by yuzuruzuy | 2010-12-21 02:21 | 映画

『ノルウェイの森』

数年前読んだ原作の印象と、綺麗な映像と音楽に引き込まれたが、
正直なかなか感想の持ちにくい映画だった。
省略された部分も多いし、原作を読んでから観た方がいいと思う。
そして原作を受けつけない人は、映画も受けつけないんじゃないだろうか。

村上春樹作品のイメージなしでは、
主人公のワタナベ(松山ケンイチ)はただの女たらしになりかねず、
登場する女性たちの言動にも理解しがたいものがある。

原作を読んでいればストーリーよりも映像の綺麗さや実写化された作品の雰囲気に注目できるし、
そこを味わうための映像版と割り切って観ることで、『ノルウェイの森』の世界に浸った気分になれる。
あとはPG指定ということも忘れずに。こんな作品だったっけと思うくらい“その種”のシーンや台詞は多かった。まぁ現実じゃありえないような村上作品独特の喋り方などによって、小説のドライな感じは損なわれていないようにも思えた。そんな“村上春樹らしさ”を知らなければ「この人たち何言ってんの?」となりそう。

ここでは物語というよりも、小説世界が再現された“映像作品”としての感想に留めておこう。

個人的には、登場人物の横顔のカットが多くて印象的だった。
二人が並んで見つめあったり、遠近法で横顔同士がすれ違ったり、
作品通してなにかと重要な役割を持つ、“横顔で語る”場面が多かったと思う。
ミドリ(水原希子)とワタナベが大学食堂で初めて会話し、相席してきたミドリにワタナベが「ちょっと横向いて」と言って彼女の横顔を眺めるところがさりげなく心に残る場面。
ワタナベの横顔が映るたびに、松ケンの鼻は立派だなぁと思った。
ミドリ役の水原希子の横顔が切なくて良かった。
雪の中のワタナベとミドリの横顔の場面が綺麗で個人的に一番かなぁ。
松ケンは雪が似合うし、ミドリのニット帽姿にぐっ。
直子(菊池凛子)は、ちょっとかわいそすぎて、一番大事なところなんだけれども言葉にならない。
どんどん狂っていく儚い直子という役をあそこまで切なく演じた菊池凛子は凄い女優なんだなと思う。

他に印象的だったのは、直子からの手紙を受け取ったワタナベが学生寮の吹き抜けの階段を嬉しそうに駆け上がるのを下からクルクルとカメラが追いかけ、そのまま流れるような映像で風が吹く深緑の草原になる映像。本のページがパラパラとめくれていく感じでとても心に残る場面。

それから、ワタナベが直子を追いかけながら二人が歩く姿を横移動のカメラで追って映している場面がたくさんあり、そこに二人の関係が表れているようにも思えた。
直子はいつも早足でワタナベの先を行き、ワタナベは直子を一生懸命追いかける。
ミドリとワタナベの二人にも、歩きながら会話するのをカメラが追う場面がいくつかあった。
直接ぶつかることを避けるように、一定の距離を保ちながら接する登場人物たちの性質も表しているのかな。


後半は結構気分が沈んだ。
ワタナベが直子を失ったことの悲しみに暮れる場面はかなり劇的で意外といえば意外。
あんなに激しかったのかなと。もっと淡々とした無音の世界に近い絶望のイメージを自分は持っていた。
しかしその後の「悲しみ抜くしかないのだ」という台詞はグサリ。
こんなにも重く、切ない物語だったのかと気づく。

まだ気になったところを挙げると、
愛情についてミドリがワタナベに語る場面での、
ショートケーキを買ってきてもらってそれをぶん投げて、
次は何が欲しいのかまた聞いてもらう…というたとえ話が面白かった。
原作で探すとこのやりとりはp160にある。
買ってきたものをまたぶん投げられたら、男はまるでギリシア神話のシーシュポスだと思った。

他にも、さまざまな人物を通して、それぞれの“愛”を描いている作品。

ちょい役で糸井重里、細野晴臣、高橋幸宏が出ていておっ。
原作ファンのよしみとか?なのか??

ラストシーンの松ケンの緑セーターと赤電話は、
原作本の表紙を思わせた。

文章にしてみると、思ったより自分はこの映画を楽しめていたような気がしてきた。
僕は何ごとによらず文章にして書いてみないことには物事をうまく理解できないというタイプの人間なのだ。原作(上)p12

とりあえず、原作を読み直そう。

それでもう一回じっくり観たら、またなにか発見があるかも知れない。

村上作品の映画化はなかなか難しいのかなぁと思ったけれど、
これから他の作品も映画化するなら、『海辺のカフカ』は観たいなぁ。
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by yuzuruzuy | 2010-12-19 23:59 | 映画

『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』

スタンリー・キューブリック監督映画。

冷戦下の核戦争危機の状態をブラック・コメディにした作品。
異常事態のなかでの軍隊や政治家たちのやりとりに声を出してダハハと笑った。
反共産、反ソ連思想がいきすぎて妄想に取り憑かれたリッパー将軍がソ連に対する核爆撃を勝手に命令し部屋に立てこもる。
事態が明らかになるとアメリカ大統領は緊急会議を開きその場でソ連首相に電話する。
酔っ払ったりヒステリーを起こすソ連首相にファーストネームで呼びかけてなだめるようにやさしく話す大統領。“ごめん、実は、キミの国を爆撃しちゃうかも知れないんだ。”そんなノリにニヤニヤ。
自国の戦闘機を相手に“爆撃してくれ”だとか、ブラックすぎてニヤニヤ。
その場で、ソ連の「皆殺し」計画なるものも判明し、人類は一気に破滅の危機に立たされる。
危機から生き残る手段として奇妙な科学者ストレンジラブ博士が始めた熱弁は、炭鉱の中に避難し、地上の放射能がなくなるのを待つというもの。安部公房『方舟さくら丸』じゃないか。
誰がその中に入るかについての博士の語りも、一夫一婦制は無視してもいいだとか、優れた人間をコンピューターで選び出すなどなど、めちゃくちゃブラックでニヤニヤ。
終いには興奮した博士は車椅子から立ち上がり、“総統!歩けます!”と絶叫。
そしてエンディングで流れるゆったりとしたジャズと何発もの核爆発の炸裂映像。
ドタバタ劇に笑った後、どう反応していいのやら複雑な気持ちになり、考えさせられる。
表じゃ真剣に地球の危機を叫びながら、結局そんなに考えてない人間の異常さと滑稽さ。

リッパー将軍の立てこもりに巻き込まれ、なんとか止めようとするイギリスのマンドレイク大佐。
元ヒトラー崇拝者らしき狂ったドイツ人科学者、ストレンジラブ博士(原題の『Dr.Strangelove ...』はここから)。
軍隊の筋肉おバカさん丸出しのタージドソン将軍(Turgidson;肥大化した息子)。個人的にツボ。
核爆弾“Hi,There!”に馬乗りになって「ヒャッホー!」と絶叫しながら墜落していくコング少佐。
などなど登場人物のキャラが濃すぎて、白黒とは思えないほど鮮烈な印象の映画。
それらの人物たちから、可笑しさだけではなく、切なさや悲しみ、恐怖も感じさせられる。笑いの懐が深い…。
役者の演技も凄まじく、観ているときは全然気がつかなかったけれど、
大統領、ストレンジラブ博士、マンドレイク大佐は1人3役で、
『ピンクパンサー』の警部役で有名なピーター・セラーズが演じていた。
あんな個性的な役柄を見事に演じ分けるとは、『ピンクパンサー』も見たくなった。

キノコ雲のシーンなどは、原爆資料館などでよく見る映像。コメディで使えば不愉快になる人も多いかも知れない。しかしこれはイギリス映画。
争いを好まず機関銃の使い方も分からないイギリスのマンドレイク大佐の目線で、
アメリカ側にもソ連側どちらにも立たない位置からの冷戦状態の核開発競争を上手く皮肉った作品だろう。
“国民を守る、平和を保つ”という使命を掲げながら、地球を自ら滅ぼす力を手にした、人類自体を皮肉っている。

自分は核問題については少しだけど勉強していて、核抑止力についても考えてきた。
そんな一見深刻な問題を、ここまで冷静に捉えてコメディにしてしまうとはキューブリック恐るべし。
ブラックユーモアの真髄をみた気がする。世界はいつでも、喜劇の舞台なのだ。

『時計じかけのオレンジ』も最高だったが、これまた名作。
“Ridiculous”(途方もなくばかげている)という単語が頭に浮かんできた。

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by yuzuruzuy | 2010-12-17 23:47 | 映画

『惑星ソラリス』

旧ソ連の巨匠タルコフスキー監督によるSF映画代表作。

SF好きの爆笑問題太田がたびたび話題に挙げていたので観てみた。

感想は、はっきり言って退屈。
第一部、二部と分かれていたので区切りは良かったものの、
約160分という長時間ぶっ通しで見るにはしんどいものがある。
だからといって、価値のない映画とはいいきれないのだが。

前半は特に展開もなく、地球上らしき映像が流れた後、突然主人公が惑星ソラリスの宇宙ステーションに到着する。未来の地球の都市のイメージなのか、東京の首都高の映像が延々と流れるシーンもある。

後半は主人公が、ステーション内で奇怪な心理的な現象を目の当たりにする。
記憶の中の人間が物質化して生き返る発想は、『黄泉がえり』を思い出した。
さらに、主人公が呼び戻したのは過去に自殺した妻で、現実ではないと知りながらも愛してしまう展開は、『インセプション』を思い起こさせる。それだけ影響があった作品といえるのだろうか。
さまざまなアイディアが再利用されてきた現代で見るなら、いくらかハードルを下げる必要があるのかもしれない。それにしても台詞が少ないし、音楽もなくて間延びしている。
終盤には結構深い台詞を言っているんだけれどなぁ。
ロシア語のせいなのか抑揚がなさすぎてキツイ。
直前に見たのが『時計じかけのオレンジ』だったというのも悪かったかなぁ?

あと、結末も理解不能だった。
うーん、一度じゃ分からない映画なのかなぁ。
調べてみたら、タルコフスキーは意図的に観客を退屈させるようにして作ったと話しているらしく、他にそれなりの狙いがあるとすれば少し安心。

良かったのは無重力状態の浮遊映像かな。不思議な感じだった。ソラリスの海も神秘的。
スナウト博士の誕生日祝いの席の図書室での含蓄のある会話シーンは特にじっくりみる価値がある。
ドストエフスキーっぽい、哲学的な会話のシーン。冷戦時の宇宙競争を皮肉るかのように、ドンキ・ホーテが引用されてたりする。
その後の窓からソラリスの海を眺めながら主人公が語るシーン、そして妻が消えた後の会話も印象的。
人間には秘密が必要だとか知識は人を不安にするとかなんとか。
幸福の秘密、死の秘密、愛の秘密…それらを人間は科学や理性を使って解こうとしてきた。
それに対するアンチテーゼとも受け取れる。
とにかくこのラスト約40分がダイジェストだと思う。

タルコフスキーを知るために他の作品も見てみるしかないかなぁ。
レンタルにはあんまり置いてないみたいだけど。

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by yuzuruzuy | 2010-12-15 06:38 | 映画

『時計じかけのオレンジ』

スタンリー・キューブリック監督作品

近未来社会を舞台にしたストーリーは結構深刻。
暴力少年アレックスが仲間の裏切りによって逮捕され、
監獄生活から逃れるため、政府によって新しく開発された犯罪者矯正療法を志願する。
その治療とは患者に瞬きも許さずに見せ続ける暴力シーンの映像と、
薬で引き起こされる吐き気を結びつけることで、
嘔吐による肉体的苦痛によって暴力衝動を抑止するという暴力以上に非道徳的なものだった。
治療後、どんどん転落していくアレックスに同情する。
服役中にアレックスが懇意にしていた神父の
“非行は防げても── 道徳的選択の能力を奪われた生き物に過ぎない”
という抗議の言葉
科学によって人間の権利を奪ってしまうことの是非がテーマの作品なのだと思う。
同じく非人間的な手術で主人公が人間性をなくしてしまう『カッコーの巣の上で』を思い出した。
強制された善か?自ら選んだ悪か?
考える能力、選択する能力があってこその人間なのだ。


難しいテーマではあるけれど、ブラックジョークに溢れていて、
不気味なほどわざとらしい演技も笑えるし、比喩的な場面も多く、名場面満載。
真面目に狂って、真面目にふざけている雰囲気がたまらなく好き。
ウィリアムテル序曲と早送りの乱交シーンは『Survive Style 5+』でも使われてたな。

40年近く昔の映画とは思えないほどとにかく映像と音楽が綺麗だった。
もともと写真家だったという監督だけあり、ひとつひとつのシーンで照明や構図にハッとさせられる。
舞台の家具やオブジェや衣装もサイケデリックで近未来的。
音楽は乱闘シーンで鳴り響くクラシック音楽、特に重要な役割を果たすベートーヴェンの『第九』や、
凶悪な主人公が犯行中楽しげに歌う『雨に唄えば』が特に印象的で、
主人公が暴力を通して得ている快感を観る側も味わっている気になる。
さらに、アフレコなしの小型マイクによるほぼ全て同時録音した初めての映画らしい。
スローモーション、早送り映像や照明、音楽の使い方など今観ても斬新さはあるし、
いろんな作品に影響与えてると思う。

イギリスの名俳優たちの演技も見どころ。
主人公アレックス少年役のマルコム・マクダウェルは現在67歳。
スマートさや凶暴さ、コミカルな面など、この作品が持つ全ての要素をひとりで演じていた。
あとは、過去にアレックスが襲撃した家に住む作家が、復讐を企むときの演技。
狂いまくりで完全にイってるおじさん俳優の表情に、こちらは観ていて笑うしかない。
ラストシーンでのアレックスの恍惚の表情とともに、この作家役の表情も映画史に残る顔の演技だと思う。
その作家のイキ顔からのズームアウトで謀略仲間たちが映るシーンが絵画のようで特に印象的。
主人公のアップで始まる冒頭もそうだが、奥行きを使ってズームアウトする映像や、作家宅での水平にカメラが移動する撮り方が特徴的だった。
舞台『変身』の鬼才演出家、スティーヴン=バーコフが取調べの刑事役で出ていた。

ナッドサッド言葉という独特の言い回しを交えて語られる世界観はカルトっぽい。
当時は暴力事件を誘発する映画だと問題にもなったらしい。
そんなとこも含めて記憶に残る名作です。

今度、ちょうどよく小栗旬主演で舞台化もされるみたいなので、そっちも観たいな。
それから原作は小説なのでそちらも読もう。


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by yuzuruzuy | 2010-12-13 18:00 | 映画

『ベースケットボール / 裸の球を持つ男』

これまた『South Park』関連。
トレイ・パーカー&マット・ストーンが俳優として主演している作品。

ベースボールとバスケットボールを組み合わせた新スポーツ、
その名も“ベースケットボール”、そのまんま!!

お金が渦巻く現代スポーツへの風刺が込められた作品。
バカバカしさはさすがとしか言いようがない。

でも、やっぱりSouth Parkだ。
そう思った。

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by yuzuruzuy | 2010-12-08 01:41 | 映画

『チーム★アメリカ / ワールドポリス』

『South Park』の製作者
トレイ・パーカーとマット・ストーンによるマペットアクションコメディ。
ようするに過激で下品でアクション満載な人形劇。

SP(サウスパークの略ね。)が好きな人なら楽しめると思う。

題名からして皮肉たっぷり。
自由を掲げてテロと戦う組織、チームアメリカは、世界中の街や世界遺産をぶち壊してしまう、お騒がせ集団。
主人公のゲイリーはブロードウェイで俳優として活躍している時、演技力を買われスパイとしてスカウトされる。
ゲイリーは自分の演技で世界を救うことを誓い、チームアメリカの一員となるのだが…。

敵対するテロリストの影のリーダーとして登場するのは、なんと金正日。
他にも実在する有名人たちを人形を使っているのを良いことに、これでもかとこき下ろしている。
まっと・でいもんがツボ。

人形劇とは思えないほど表情や風景はリアルなのだが、常に見えている人形の糸や、ぎこちなさが笑える。
銃撃戦で殺し合うシーン、まさかの人形によるベッドシーンや、嘔吐のシーンなど、グロテスクな部分は正直やりすぎな気もするが、そこまでやらないと人形を使う意味もなくなると思えばギリギリ納得。
でも延々と嘔吐するシーンはもはや不快感しかなかったな。
SPでもそんなシーンはあるが、アニメだと感じない生々しさが人形劇だと加わる。
爆破シーンなどでも一切CGを使わないというところにリアルさへのこだわりが伺えた。
そこらへんの制作秘話がたっぷり特典映像としてついていて、かなり面白かった。
くだらないことを、本気でやるから面白い。
どのようにして作られたか知ったら、見方が全然違ってくると思う。

あとは音楽も秀逸。
金正日がソロで歌う“孤独”という歌は、切なくて、かわいそうにさえなってくるし、
映画『パール・ハーバー』は糞だという歌詞がラブソング調で流れる。
更にはモンタージュという映画の撮影手法をひたすら説明する歌なんかもあって、その歌が一番笑えた。
SPもミュージカルと呼べるくらい歌のシーンは重要だしなぁ。

とても政治的メッセージの強い作品に思えるけれど、
作っている本人たちはとにかくやりたいことをやったという感じだし、
ラストシーンの主人公の演説や、まさかのオチに、
説教臭く考えることがバカらしくなってくる。

いろんな意味で、よく作ったなぁという、史上最狂の人形劇。

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by yuzuruzuy | 2010-12-07 06:22 | 映画

『ハイスクール・ミュージカル』

さすがディズニー。
とにかく楽しい、純粋に。

サウス・パークでネタにされていて、元はどんなのか気になって観た。

子どもの頃はみんな、自分の好きなように、自然に歌って踊っていたと思う。
そんな誰もが持っているであろう部分を引き出して楽しませる作品。

ひとつのことを続ける部活や、趣味を通し気のあう友人グループと一緒にいるうちに、
周りから見た自分の“キャラ”が作り上げられる。
“キャラ”に合わない自分を出せば、周りの人からは“どうしたの?”という目で見られるかもしれない。
でもそれも自分なのだ。さらけ出してみよう。
それぞれの個性を出して、みんなが新しくひとつになることができる。
そんなメッセージかな。アメリカ的。


たとえば高校の文化祭。
クラスでいつもばらばらなグループが、協力してひとつのものを作り上げる。
その雰囲気。
自分が高校生のときはサッカー部で、サッカーしかしてなくて、文化祭で劇とかするのは恥ずかしいことだと思っていた。
なのでクラスで劇をやったとき、とにかく出ろと言われ大仏のお面を被って出た…今考えるとめちゃくちゃなことしたな。スカートも履いたりして、「みんなにバレてない」と自分に言い聞かせていたけど、思いっきりサッカー部の脚なので、バレバレ。
でもそれが受けたりすると、楽しくなって、結構ノリノリで踊ってしまっていた。
いつもと違う友達の姿を見つけられるのも楽しかった。

そんな自分だから上手くつけ込まれたストーリーではある。
…言い方が悪かったです、訂正、すっかり魅了されました。

人によっては受け付けないノリではある。
冒頭で、突然パーティのカラオケで歌うことになり恥ずかしそうな主人公とヒロインが、
歌い始めたらいきなり熱唱そして周りは熱狂するところで「そんなアホな」と、突っ込んでしまう。
そんなミュージカル特有の“無理やりさ”や、“わざとらしさ”を笑って受け入れられたら、あとは引き込まれるのみ。

展開や登場人物の相関図も分かりやすく、無駄がない。
本当はミュージカルが好きなバスケ青年と、少し引っ込み思案の天才美女。
ディズニーに欠かせない二人を邪魔する悪役(“悪”ってほどじゃないけど)も出てくる。
ベタなぶん、音楽と動き、歌と踊りで楽しませる感じ。

バスケットボールを使ったミュージカルシーンが一番カッコよかったな。
最後のシーンでは、この子も踊るの?っていうキャラも踊りだして、お祭りさわぎ。
北野武の『座頭市』を少しだけ思い出す。
オチも意外なところをついてきて良かったと思う。

僕は普段観る映画には、考えさせる深いものを求めるほうだけど、
子どもの部分で、ただただ、楽しめた。
とてもディズニーらしいアトラクション・ムービー。

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by yuzuruzuy | 2010-12-06 15:26 | 映画

『カールじいさんの空飛ぶ家』

トイストーリーでおなじみのピクサー作品なので期待大で観た。
おじいさん+空飛ぶ家なんていうタイトルからして自分にはどストライクなのだ。

感想を箇条書き。

序盤はカールじいさんの少年時代。
奥さんになるエリーとの出会いから始まり、結婚、老後まで、ほとんど台詞なしで時間の経過とか夫婦に起きた出来事などの情景を音楽と映像のみで描いてる部分にまず感動。
スムーズに観客を物語に引き込む巧さはトイストーリーでも味わったとおりだった。
細かい部分では結婚式でのそれぞれの親族の描き方(エリー家は賑やかでカール家はおとなしい)も面白かった。

カールじいさんの家が風船で持ち上がるシーン。風船が一気に飛び出すシーンはとてもキレイだった。
偶然にもこの前見たモンティパイソンの老人たちの会社のビルが動き出すシーンみたい。
影響を受けているのか?

そこから物語は一気にヒューマンドラマから冒険ファンタジーへ。

嵐の中を家が飛ぶシーンはいつか見たオズの魔法使いで、竜巻で家が飛ばされるシーンを思い出させた。
影響を受けているのか?

あまりにもあっけなく目標地点付近に着陸して、
あれ?もう着いちゃった?と思ったけれど、ここからが本番だとは…。
喋る犬とか出てきたけど、その喋ってる仕組みも世界観を壊さないナイスアイディアだと思う。
あれを見てから、夜中に散歩をしている犬がつけてる点滅する首輪を見る度、
喋ったら面白いのになぁなどと思う。

かつてカールじいさんが憧れた冒険家マンツがまさか悪役になるとは思わなかった。

ここからはとにかくおじいさんが主役とは思えないほど展開が早くて、
トイストーリー同様ジェットコースター状態。
最後の格闘シーンは手汗をかきながら見た。
老人だけありぎっくり腰とか入れ歯とかベタなギャグ、笑ってしまう。

マンツさん最後はあーなってしまうのかぁ…
自分ならどうするかなぁと考えた。

もちろんこの物語の結末も、まったく読めなかった。
そこで落としどころとなったのが一緒に冒険をした少年、ラッセル。
妻エリーとの旅を果たしたカールじいさんは、ラッセルと次の旅を始める。
その決心をしてから、カールじいさんがいきなりかっこよくなった。

そしてラストシーンはもちろん感動。
カールじいさんとラッセルそれぞれの冒険が見事にひとつになった。
おじいさんと純粋な少年と動物(犬)。心情に訴えかけるのに十分な要素。
映画館で観たかったな。

とにかくアイディア満載で細かく書こうとするとめちゃくちゃ長くなりそうだ。

これからピクサー作品はなるべく映画館で。

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by yuzuruzuy | 2010-11-15 23:57 | 映画

『モンティ・パイソン 人生狂騒曲』

原題:Monty Python's THE MEANING OF LIFE
生きることの意味と価値について問いかけるようになると、我々は狂ってしまう。
何しろ意味も価値も客観的に実在するものではないのだから。≪フロイト≫

このフロイトの名言どおり、人生の意味について問いかける、狂った映画。
超過激な英国式ブラックユーモアに、ファンシーなミュージカル。
連発される下品でばかばかしいギャグと、裏側に感じる壮大な哲学的テーマ。
ディープかつナンセンスなモンティ・パイソンの世界を初体験。

冒頭の短編映画で結構引き込まれた。
“終身雇用社会”で奴隷のように働かされる老人たちが、
反乱を起こし会社をのっとり、会社のビルを地上を走る船に変え、
国際金融の大海原への航海に出発し、
大都市の大きな会社を次々襲う海賊になる。

本編はさらにアイディア満載な一方、過激というか、もう変態。
South Parkとか観てたから、衝撃が少なくて済んだと思う。
作品自体が、人生のように“出産”から“死”へと向かって進んでいく。結構人生について考えさせられる。
でも結局そんなことどうでもいいんじゃないかっていう気にもさせられる。
結構グロテスクで不快なシーンはあるのだけど、それを帳消しにするほどキレイで深いシーンもある。
2つの意味で、フカイな映画。

まぁ、おすすめはしないでおこう。

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by yuzuruzuy | 2010-11-10 23:21 | 映画


つまらない、面倒くさいを、面白く。


by yuzuruzuy

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