カテゴリ:映画( 66 )

『過去のない男』

片桐はいりの『わたしのマトカ』で名前を知ったフィンランドの映画監督、アキ・カウリスマキの作品。
2002年カンヌ国際映画祭グランプリ作品

ヘルシンキにやってきた男が暴漢に襲われ記憶を失ってしまう。
名前も分からず身の上を証明するものもない男は、海辺のコンテナで暮らし始め、救世軍の女に恋をする。

結構好きな雰囲気重視の映画。
北欧の景色と音楽がとても穏やかな気分にさせる。
『かもめ食堂』はこの映画から影響を受けているなと思った。
登場する女性に少し暗い過去があるのだけど、前向きに、でも無理せず生きようとしている。
フィンランドには人をそんな気持ちにさせる空気があるのかも知れない。

アキ・カウリスマキ監督は日本の小津安二郎映画が好きらしい。
そのためか、ジム・ジャームッシュの『ブロークン・フラワー』やヴィム・ヴェンダースの映画に通じるものがある。
ソフィア・コッポラの『ロスト・イン・トランスレーション』も思い出すし、そこら辺の映画が好きな人にはおすすめ。

映画全体的に、登場人物はどんな状況でも無表情でほとんど笑わず、少ない台詞も棒読みのように聞こえる。
『わたしのマトカ』で書かれていた、感情をなかなか表に出さないフィンランド人そのもの。
これがこの監督の映画の特徴のようだ。
音楽では“イスケルマ”と呼ばれるフィンランドの歌謡曲とR&Rを合わせた独特のもの。
監督が日本好きなのか、クレイジーケンバンドの音楽をBGMに列車内で男が日本酒片手に寿司を食べるシーンもあった。なんとも言えないシュールなシーンで必見。


感情がなかなか読めないから、一度見ただけじゃなかなか分からない。
でも雰囲気が好きだから何度も見てしまう。そのうちに深みにはまる。
フィンランドもきっとそんな国なのだろうな。

記憶がなくても心配ない
人生は後ろには進まん
進んだら大変だ


無表情で男にとても親切にしたり、くさい台詞を言う人々。
分かれるときも何の名残り惜しさもなく、同時に振り返りスタスタと立ち去る。
銀行強盗のシーンでも貫かれた無表情にはこちらが笑いそうになった。
クールを通り越してコールド。でも、寒さを知らなければ暖かさも分からないのだ。

男が預かる警備員の飼い犬、ハンニバル(食人鬼)がとてもいい。

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by yuzuruzuy | 2011-04-22 15:48 | 映画

『教祖誕生』

ビートたけし原作のものすごいタイトルの小説の映画化作品。
監督はしていないが重要な役で出演している。

ひと昔前の作品のせいかチープな雰囲気は否めないのだが、逆に新興宗教の胡散臭さがにじみ出ているし、主演の萩原聖人、団体幹部のビートたけし、岸部一徳をはじめキャストも抜群。ニセ教祖のじいさんがいい味出してる。玉置浩二の役どころは原作のイメージと違いすぎて失笑。しかし演技は原作での役のイメージを変えるくらいに良かった。

新興宗教の様々な面を皮肉った作品で、原作を以前読んでいたためテンポが良いとも感じたが、
初めて映画で観る人にはドタバタして少し薄っぺらく感じるのではないかというのが正直な感想。
宗教とは、神とは何なのか徹底的に考えさせる原作のほうがおすすめ。
特に原作では冒頭の、「イヌ鷲と山鳩」の話が重要な前置きとなっていたので、映像化は難しいだろうけれど省かれていたのが残念。

ビートたけし演じる、金のために教団を操る幹部・司馬の台詞がそのままたけしの宗教観なのかもしれない。
「神様ってのは、人間の創造したさ、創造物の一番のものだと思うよ。あるのかないのかは分かんない。」

なんとなく入会し、なりゆきで新教祖になってしまった主人公の和夫(萩原聖人)が次第にその気になり断食してる間、幹部の司馬は豪華な飯を食って、和夫に差し入れまでするシーンが象徴的。
一方で真面目に信仰し続け写経したり教団の曲を歌う駒村(玉置浩二)もいて、それぞれの価値観で教団にいる。個人の価値観まで画一的にしようとする新興宗教への風刺ともとれる。

「どうして教祖になるとみんなその気になっちゃうのかなぁ。」
「2週間の断食で神様になれるぐらいなら、山で遭難したやつはみんな神様になっちゃうよ。」

金、権力の亡者と呼ばれようが司馬の論理は揺らぐ事はなく、
駒村の純粋な信仰心もその鉄壁を前にしてなす術がない。


駒村を刺してしまった後の司馬と和夫のやり取りがとても意味深。
和夫「罰が当たったんです、神はいるんです。」
司馬「やっと神の影が見えたってことかな…」
和夫「あなたは…こんなことでしか神に近づけないんですか。」
司馬「和夫、お前どこで変わっちゃったのかな…」

一見同じ“神”でも、ある人にとっては救ってくれるものになり、ある人には金儲けの道具にもなってしまう。

ここで原作からも引用。「イヌ鷲と山鳩」の話に続く文章。
人間って不思議な生き物だ。誰もが悲しみに沈むってこともないし、誰もが喜びに舞い上がるってこともない。ひとつことに対して、立場が違えば意味がまるで違ってくる。神はいったいどの立場に立っているんだろうか。


映画はこんな台詞で終わる。

“多くの、インチキな新興宗教がまかり通るこの時代に、いったい、真の宗教とは何であるか、そのことをもう一度、みなさん考え直していただきたい!”

これを、出所してもまったく変わらず再び宗教をやり始めた司馬に言わせるオチは、まったくビートたけしらしい。
テーマが宗教だからといって身構えず、コメディとしてみるべし。
それから考えたい人が、考えれば良いのだ。

エンディング曲もぶっ飛んでる(笑)
こういう映画、これからは生まれないような気もするなぁ。

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by yuzuruzuy | 2011-04-20 00:58 | 映画

『漫才ギャング』

拝啓 品川ヒロシ殿
すみませぬ。あまくみておりました。

直後の感想を雑記しておきます。

正直、役者にどんな漫才をさせるのかなぁというくらいの期待感で見に行ったのですが、
冒頭の格闘と漫才がシンクロするシーンに早々と引き込まれてしまいました。
台詞とアクションで別々の場面をつなげていくアイディアはナイスです。
品川庄司の漫才は特に好きではなかったけど、彼らのネタ(特に佐藤隆太の品川っぽさ)が妙にハマッていて、しっかり笑わせるところはさすがお笑い芸人。
宮川大輔やロバート秋山は劇場中がツボにはまってた感じ。
おしるこ。小窓の開け閉め。他人の電話気になるタイプ。へんな笑い方。宮崎マンゴー。キレたらめっちゃ強い。
アクションもしっかりしてた。上地雄輔動けるなぁ。宮川大輔の蹴りとかカニばさみも地味に凄かったです。
そして千鳥のダイゴが強い役で田舎で見守る島民気分で応援してしまった。
個人的にはやっぱり芸人同士、ピース綾部と宮川大輔のコンビが好きだったな。
石原さとみは良い娘すぎる。どんだけ許すの?ドライヤー持って振り返りざま“ん?”ていう仕草とかアメトーク女の子大好き芸人でやってたし。石原さとみでかなりバランスとれてました。芸人とかむさ苦しい連中に囲まれても違和感がないとこが凄いなと思った。赤木春子的な存在感?他の女優じゃなかなかないのでは?
隣の牢屋で笑っていたサガワや、隣の部屋のシャア専用デブなどが終盤で
つながるところとか、小さいネタもたくさんあって何度でも見れそうな気がします。
ラコステン、オレオ、屁(プー)マ…
良く考えたらしょーもないけど、笑ってしまいます。
自分の中での名言は、デブタク(ミサイルマン西代)の“コックも喧嘩禁止だと思うよ”
欲を言えばあれだけ綾部出るなら又吉も出してほしかった。

でもとにかく笑った。お笑い好きなら見るべきだし、見てよかったと思います。
演技も役者芸人関係なしでうまく融合していて安心して見れました。


品川見直しました。
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by yuzuruzuy | 2011-04-05 23:57 | 映画

『あしたのジョー』

明日のために、死に物狂いで今日を生きる

見終わってからの正直な感想。この映画の主人公は力石徹だった。そのくらい伊勢谷友介演じる力石の存在感がデカい。初めてキャストを聞いたときには予想できなかったほど、力石になっていた。蛇口のシーンや軽量のシーンは鳥肌。

山Pはちょっと負けてたなぁ。原作の矢吹丈から溢れる野生の狂気が足りなかった気がする。飄々とした感じはあるけど、クールすぎた。ジョーはもうちょいおどけたり、喋るイメージ。

丹下のおっちゃん役の香川照之はもう流石としか言いようがない。この前の井岡の世界戦のゲスト解説でもめちゃくちゃ興奮してたように、ボクシングに向かう姿勢が本物。主人公のサポート的な役を任せたらなんでもできるんじゃないかこの人。

龍馬伝のせいで高杉晋作(伊勢谷)と岩崎弥太郎(香川)がどうしても出てきてしまう自分に反省。小松帯刀の人も出てたし。最近良く映画やドラマを見るせいか役者のイメージが残りすぎていかんいかん。

時間の関係で省かれた所が多々あり、残念な反面、原作を知っていればまぁ納得。紀ちゃんがでてないのはあれっ?と思うけど男ばかりのなかで葉子(香里奈)を際立たせるなら仕方ないか。力石戦後ジョーは一年間行方不明のあと、帰って来るのだか、見終わってから前の席の山P目当てと思われる女の子が“一年も何してたんやろ?(笑)”と話してた。そら漫画読んでなきゃ分からんわな。ほかにも原作ではホセ戦前のロッカールームのジョーと葉子のシーンが泪橋のシーンと重なるなど、変更点にも原作の要素が取り入れられていた。

監督は名前を見てもしやと思い、映画を見てやっぱり。『ピンポン』の曽利文彦監督。試合前のトレーニングシーンの高揚感はピンポンの主人公ペコの特訓シーンを思わせたし、ウルフ金串の中ボス的な描き方は、中村獅童が演じた帝王高校(?)のスキンヘッドそっくりだった。ぐるぐる回すカメラワークや、スローモーション、ポーズなどをつかって、漫画の1コマのようにキャラクターひとりの世界や、戦うふたりだけの空間にスポットを当てるのが上手い。しかもCGなども使ってそれを動かせるのだから、迫力満点。ストーリーをつべこべ言わず、漫画の映像化を楽しめる。パンチを食らったときの波打ち歪んだ表情や飛び散る汗は、映画にしかないエンターテイメント要素。クロスカウンターが決まる瞬間や、ジョーとの試合後、力石が倒れる場面などが特に強烈だった。スラムダンクも実写化するなら(してほしくはないが)この監督かな。キャストはともかく、山王戦の名シーンとか上手く再現してくれそう。

細かいところでは紙ヒコーキと泪橋の隅っに咲いた蒲公英(たんぽぽ)の使い方が良かった。高く高く飛んで行く紙ヒコーキは自由なジョーの生き方。強く咲く蒲公英はボクシングに賭けるジョーの決意。そんなところかな。関係ないけどどちらも19の歌を思い出させた。

あまり出番は多くないけどドヤ街の人々、とくにこどもたちがいい味出してた。

気になっていたラストシーンにもぐっときた。やはり最後は言葉など要らない。拳と拳で語り合うのみ。熱い。

原作好きな人は見て損はないと思う。何より映画館の大画面で再現されているのだし。
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by yuzuruzuy | 2011-03-09 23:59 | 映画

『突撃』

1957年 キューブリック映画

第一次世界大戦における独仏戦争は膠着状態が続いていた。
戦況を打破するためフランス軍ダックス大佐の指揮する部隊に敵陣陥落のための突撃命令が下される。
ダックス大佐は死者を増やすだけだと上司であるミロウ将軍に反対するも突撃命令は覆らない。
結果、無謀な作戦と敵からの絶え間ない砲撃に士気の下がった兵士たちは突撃を実行することができず退却してしまう。
ダックス大佐の部隊は命令に従わなかったとして軍法会議にかけられ、そのうちの3人の兵士に処刑が言い渡される。ダックス大佐は兵士たちを守ろうと軍法会議で上層部に立ち向かうが…。

無謀な突撃命令を実行できなかった兵士たちは“臆病”な罪人として自国によって殺される。
“ドイツの弾が嫌ならフランスの弾をくらえ(ミロウ将軍)”
日本で言えば太平洋戦争での“お国のため、天皇のため”という論理
ミロウ将軍は進軍しない自国の部隊に向けて砲撃しようとさえする。

それにひとりで立ち向かうダックス大佐がカッコよすぎた。
大佐を演じるカーク・ダグラスはあのマイケル・ダグラス(名前しか知らんけど)の父親。
イギリスの文人サミュエル・ジョンソンの言葉
“愛国心は卑怯者の最後の隠れ家”を引用したり、
退却した兵士を批判する将軍に、“臆病な姿こそもっとも人間的だ”と訴えるなど、
上層部への皮肉を込めた言い方がまさにこの映画の伝えるメッセージだと思った。
そんなまっとうな訴えが“理想論だ”と相手にされないところに戦争の異常さや馬鹿馬鹿しさが描かれていた。

突撃前夜の兵士の会話シーンも印象的。
どんな死に方が嫌かと死にざまについて語る男に、聞いていた男が一言
“おれにわかるのはだれも死にたくないってことさ”
“死にたくない”当たり前のことだけど、これが一番ずっしりきた。

88分と短い映画ながら細かいところに鋭い風刺がぎっしり。
『フルメタル・ジャケット』同様、この映画自体が、戦争についての議論のようだった。
ひたすら悲しい特攻隊のドラマばかりつくる日本で、こんな映画はできるだろうか。
もしあるなら観てみたい。

悲劇をただの悲劇として終わらせてしまっては、何も変わらないんだろうな。

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by yuzuruzuy | 2011-02-25 17:23 | 映画

『ロリータ』

1962年 キューブリック監督作品

原作はロシア出身のアメリカ作家ウラジーミル=ナボコフの小説。
“ロリコン”とか“ゴスロリ”の由来ともなったロリータ…聞いたことしかなかったけどキューブリックの映画があるとは知らなかった。90年代にも他の監督で映画化されている。

キューブリック映画は終わってから味わうなんじゃこれという複雑な感覚が特徴だと思うが、
今回はラストシーンで全身に鳥肌が立った。
冒頭にいきなり結末と思われるシーンを見せて、そこから過去へと遡る演出になっていて、
見る側にある程度それまで起きたことを予想させるようになっていた。
終わってみると自分が予想していたのとは展開が180度近く違っていた。
そこで最後にもう一度流される冒頭のシーンがもう…ゾクゾクゾクッ!
まさかこっちがあっちであっちがこっちとは…。

題名からして変態映画だと思ったけど、そういうシーンは全くない。
なくてもまぁ変態は変態だが(笑)
それでも映像できれいに見せたり、ところどころブラックユーモアを交えて笑わせるのはさすが。

過去の回想が始まってからはゆったりしていてキューブリックっぽくないかなと思った。
だが、徐々に狂っていく展開に引き込まれてあっという間の2時間半。

詳しい内容についてはもうちょっと整理が必要。
キーワードは偏執的な愛、束縛、嫉妬…なんか重いな。
ドロドロな感じをロリータ役の女優の溌剌さが中和していたと思う。
調べてみたら本人はこの映画のせいでなかなか壮絶な人生を送っているようだ…。
書きたいことあるけどあんまり書きすぎたら面白くなくなる気がするのでやめとこ。

なかなか衝撃的な映画だった。

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by yuzuruzuy | 2011-02-24 16:26 | 映画

『フルメタル・ジャケット』

1987年 キューブリックの反戦映画

戦時下の狂気をこれでもかと映像化しながら
戦闘から離れた日常場面は微笑ましくもありつつ
それらに似合わない明るい音楽や馬鹿馬鹿しい掛け声とのギャップで奇妙な感覚に陥った。

訓練生“デブ”のレナード(野爆川島似)の始めのにやけた目つきが
最後には別人のように変わってしまったシーンと
ラストのベトナム人女の“Shot… me…”の表情
この2つのカットは一度見ただけで脳裏に焼きつく。

役者の演技力はもちろんだけど、
キューブリックは登場人物一人ひとりに
強烈なインパクトを持たせる演出が上手いのだと思う。
この映画に登場するのもクセのある人間ばかりだった。
狂気の中でこそそれぞれの人間のうちに生きてくるものがあるのだろうな。

ドキュメンタリーのようにリアルに
本気で戦争に向き合い
本気で戦争をこき下ろしているような
いろんな意味で凄い映画。
見ていて自然と身体が画面に近づいたり、離れたりしながら、
自分の感情も激しく揺さぶられる感じがした。

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by yuzuruzuy | 2011-02-23 23:55 | 映画

『未来世紀ブラジル』

テリー・ギリアム版『1984年』(ジョージ・オーウェル)

どこかの未来都市で生きる冴えない主人公の男が、夢で恋する女性そっくりの人物に現実世界で出会う。

役所で働く男は、断っていた出世を利用して、情報が統制された社会の仕組みに歯向かっていく。

主人公夢の中に出てくる大魔神みたいな甲冑の化け物がシュールでインパクト大。

整形しまくる主人公の母とか、イカれた許婚の女に、ギリアムテイストが感じられた。

目覚まし時計と連動する仕組みのコーヒーメーカーやトースター

近未来を感じさせる演出が多かった

一方で街中は混沌としていたり

昔の映画なのでよっぽど現代の方が未来感が強い気もする。

細かく見るといろんな仕掛けがありそうだと思った。

結末は結構怖かった。

ただのラブストーリーで終わらない、なにか考えさせる作品にしたかったのかな。

それでも最後に流れるテーマ曲には、

優雅でのんびりした雰囲気があって、

まぁ、どうにかなるさという気分になるようだ。

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by yuzuruzuy | 2011-01-13 22:58 | 映画

『ロシアン・ドールズ』

スパニッシュ・アパートメントから5年後。
物書きになったグザヴィエの恋の物語。

やっぱりヨーロッパ良いなぁー。
大阪~東京の感覚で、
パリ~ロンドンを行ったり来たりできるんだもの。

前作ではそれほど目立たなかったイギリスっ娘ウェンディが、
みるみるうちに魅力的になっていくのがみどころ。

今回は、早送り映像とか、太鼓持ちならぬ笛吹きグザヴィエが登場したり、
コミカルな撮影法がさらに増えていたような気がする。

同性愛者イザベルが、グザヴィエの婚約者のフリをして、
グザヴィエの祖父に会うシーンは、吉本新喜劇的で笑えた。

ウェンディの弟ウィリアムの結婚パーティーでの、
仲間たちからの祝辞と、皆で踊るシーンが良かった。
結婚式に他国の友人を呼ぶとか、そうそうできることではない。
しかしそれもヨーロッパならできそうだから凄い。

ダメダメ男グザヴィエの右往左往に、
女の人は共感できるのかなぁ?
しっかしグザヴィエ、なんでそんなにモテるのだ?

駅でのグザヴィエに向けたウェンディの台詞がとてつもなく切なかった。
あんな台詞言われてみたい、でも言わせるような男になっちゃダメだなとも思った。

前作のテーマから一歩進み、少し大人の映画になっている気もした。
インターナショナル感は薄まったけど、映画としての雰囲気は凄く好き。

生まれ変われるなら、次はヨーロッパに生まれたい。
そして生まれ変わる前に、一度はヨーロッパに…
そう思わせる映画。

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by yuzuruzuy | 2011-01-11 01:11 | 映画

『スパニッシュ・アパートメント』

こういうミニシアター系(?)
久々な気がするけれど、やっぱり好きですね。

フランス人の学生グザヴィエが、
エラスムスという留学制度を使い、
スペインのバルセロナに留学し、
同じように留学してきた欧州各地の学生たちと、
共同生活する中で起こるさまざまな出来事。

最初の上空から見たパリのセーヌ川沿いのシーンや、
バルセロナの街並み、特にグエル公園やサグラダ・ファミリア…
自分も歩いた場所が映り、猛烈に行きたくなる。

バルセロナは自分が一度は住んでみたいと思う街。
しかしアパート暮らしもなかなか大変そうだ。
一緒に暮らしていても、結局孤独を抱えているように思える。
そこは孤独な若者たちの集まる場所なのだ。


グザヴィエ(フランス男)の同居人は(名前は省略)
イギリス女、ドイツ男、イタリア男、スペイン女にデンマーク男
そこへ新しくベルギー女がやって来る。
途中からイギリス女の弟ウィリアムも居候。
まさしく西欧。小さなEUを見るようなもの。
同居人の恋人や家族がしばしば出入りしたり、
プライバシーの問題に敏感な日本人には、
このような生活は耐えられないないかも。
でもそんなあけっぴろげな感覚は少しうらやましくもある。
周りの気遣いに頼らず、自分で主張するべきだというのが
彼らの感覚なのだろう。

イギリス人ウェンディの弟ウィリアムが、
ディナーでひとりだけ楽しく“ワンマン・トーク”をするシーンで
ミラノのホステルで出会ったイギリス人の青年を思い出した。
デリカシーそっちのけで話に夢中になっている姿がそっくり。
島国のせいか他国への一方的なイメージをネタに話すところも。
イギリスの典型的な若者なのかな?

他にも真面目なドイツ人とかテキトーなイタリア人、
温厚なデンマーク人や陽気なスペイン人に、おバカなアメリカ人と、
偏見でできたような、でも妙にリアルな各国の若者。
自分もその中に混じって楽しめる。

いちばんお勧めなのは、ウェンディが浮気相手と部屋にいるときに、
恋人がイギリスから突然訪ねてきて、同居人たちが、
浮気現場を必死で隠そうとする場面。
オチにはかなり笑えるし、青春の1ページとして、
彼らの同居生活にとって忘れられないエピソードになるんだろうなぁ。


帰国しても、結局また孤独を感じて、異邦人のように街を歩く場面も印象的だった。
食卓での母親との思い出話のシーンも、「あるある」な感じ。
結局、何があったかなんて、体験した自分にしか分からないんだな。

留学中の母国に残した恋人との関係、現地で出会ったフランス女性との不倫、
何より各国の友人たちとの価値観の衝突、
グザヴィエくんの留学した一年は、刺激的すぎる。
自分が観たかった現地の大学生たちの暮らしの一部も観れたし
作り話でも、自分のことのように楽しめた。

ラストシーンには、グザヴィエが異国での体験から学んだ、
人生の一番大事な部分が表れているようで観ていて気持ちよかった。

Radioheadの“No Surprises”が効果的に流れていて
切ない場面に一役買って出ていたのも印象的。

またこれ観てスペイン語覚えたい。

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by yuzuruzuy | 2010-12-22 19:08 | 映画


つまらない、面倒くさいを、面白く。


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