カテゴリ:映画( 66 )

『シーサイドモーテル』

『Survive Style 5+』っぽい雰囲気の予告を見た時点で絶対好きだと思ってた映画。
いくつかのショートストーリーが同時進行する映画は、割りと無条件に好き。
映画館には見に行かなかったけど、こういうアイディア重視の作品ならDVDでも十分楽しめる。
雰囲気や発想からして絶対CM関係の人が作ってんだろうなと思ったら、やっぱり監督は、CMディレクターの人だった。

山奥のモーテルで宿泊客たちが各部屋で織りなす、騙し騙されの人間ドラマ。
アホさ加減もかなり好きだし、何よりキャストが良かった。

身構えることなく、何も考えず楽しめる。
それでも仕掛けはかなり細かくて、何度でも観れそう。

気持ちの良い騙しあいの応酬。

おすすめ。




シーサイドモーテル [DVD]

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by yuzuruzuy | 2011-06-02 23:07 | 映画

『花とアリス』

『リリイ・シュシュのすべて』の岩井俊二監督作品。

そのときの精神状態のせいか、まっさらな心で観ることができた。
美しい映像がすうーっと染みこんできた。
少し霞んだ、薄い霧ごしに観ているような映像。
色褪せたカラー写真を眺めているような懐かしい感覚になった。

この監督の映画には不思議な空気感がある。
登場人物たちの設定は凄くリアルで、ありふれていると感じるのに、
いつの間にか、おとぎ話のような世界観がそれを包んでいる。
少々ぶっ飛んだ人が出てきたくらいでは、おとぎの国は揺るがない。

それは鈴木杏と蒼井優の2人がつくる空気でもあるのかも。
“キミ”という二人称も、独特の空気を作っていた。

脇役のキャストが異常に豪華だった。
気になる人は観てからのお楽しみ。

この作品では、バレエと落語という対照的な芸術、芸能が心を揺さぶる。
これも観てからのお楽しみ。

青春映画では珍しい視点で作られた映画なんじゃないかなぁ。
かなりの女子目線で、男がヒロインみたいな。

終わり方はとても気持ちよかった。

まっさらな心でまた観たい。

花とアリス 通常版 [DVD]

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by yuzuruzuy | 2011-05-31 22:16 | 映画

『板尾創路の脱獄王』

タイトル通りの板尾創路監督作品

吉本芸人が多数出演しているにも関わらず、全体的な雰囲気はかなりシリアスだった。
マイペースで無理に笑いをとりにいこうとしない、板尾創路の芸風を思わせる。
脱獄モノということで、板尾も出演していた『ナインソウルズ』に似たような映画かなと思ったら違った。
主人公・スズキは何度も脱獄を繰り返してはその度に簡単に捕まり、罪はどんどん重くなっていく。

男は一体何から逃げているのだろうか?それが最大の謎。

映画の世界に引き込まれた中盤、いきなり“なんじゃこれ(笑)”という展開が仕掛けられている。
そして何もなかったかのようにまた終盤、物語が核心へと迫っていく。

これはあまりネタバレしない方が良い映画。
最後のオチは声出して笑った。
“板尾らしい”のひと言。
このラストの笑いのためにここまでの物語があったのか?
もしかしたら映画ではなくて、長い長いコントなのかも知れない…。
高く積み上げたジェンガが崩れて、緊張が一気に解けて、思わず笑ってしまうような清々しさ。
なんだか分らないけど、冒頭からは予想も出来なかったような、幸せな気分になった。

板尾創路の発想と存在感が爆発する、ファンタジックな映画。
タイトルの脱力感が観終わってからじわじわくる(笑)
このセンスは、クセになるなぁ。

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by yuzuruzuy | 2011-05-29 23:59 | 映画

『しんぼる』

松本人志監督2作目

『大日本人』は正直あんまりだったし、すこし気になるけど観なくてもいいかなと思っていた。
レンタル100円だったから借りてみた。

冒頭、“おっ”と思った。
『大日本人』より映画っぽくなってるかも。
メキシコの冴えないルチャレスラーの現実世界と、
松本扮する謎のパジャマ男が閉じ込められた白い密室の世界。
そのふたつが並行して、終盤交錯する。

『しんぼる』という題名の意味は、すぐに分かる。
とにかくシュールで説明も答えもない、変な映画。
メッセージ性というよりは、一つ一つの細かい笑いの部分にこだわりを感じる。
男が密室から脱出しようと悪戦苦闘する中でいくつも細かいボケが繰り出される。
謎解きのような部分もあって、自分だったらこうするのに!ちゃうやん!などと考えながら観れる。

まっちゃんの笑いは“なんやそれ?”な、理解できないけどなんか面白い笑い。
個人的には結構好き。でも映画のような長時間で連発されるとしんどさも感じる。
完全密室の松本ワールドは途中から退屈さも感じる。

クライマックスは壮大なのか馬鹿げているのか、感動的なのかふざけてるのか、
とにかくワケ分らんけどシュールな世界の極地。
South Park とかモンティ・パイソン的なものを感じたのは、海外を意識しているせいなのだろうか?
海外の評価はどうだったのだろう?

アートな要素が強くて、まっちゃん、芸術家になりたいのか?とも思った。
そんなわけないか。

これはおすすめしにくいなぁ(笑)
変な映画が好き!もしくはまっちゃん大好き!な人なら楽しめるかな。
そもそもこれは、楽しむ映画じゃないかもしれない。
大衆受けのエンターテイメントな映画なんてハナから作る気がないんだな。
“作ってるほうは苦しんどるんやから観るお前らも苦しまんかい!”
くらいの気持ちで作られている気もする。

『大日本人』よりは確実に新しい、映画を越えようとする“何か”という感じはした。
最新作の『さや侍』はどんな作品なのか、これを観て少し気になってきた。

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by yuzuruzuy | 2011-05-28 15:34 | 映画

『リリィ・シュシュのすべて』

初めて観たのはまだ映画にそれほど興味のなかった、高校二年生のときだったと思う。
なぜわざわざレンタルして観たのかはっきり覚えていない。
そのときはストーリーを掴めず、わけが分からなかったけど、とても強い印象が残った。
目の前に突きつけられるかのような、いじめ、万引き、レイプ、自殺、殺人…
自分がまだ通り過ぎたばかりの年齢の登場人物たちに共感できるような、できないような、でもとにかく、それぞれの痛みをどうしようもなくリアルに感じていた気がする。

見直して気づいたが、この作品に出てくる登場人物たちは、自分と全く同じ年代だった。

1999年、13歳
2000年、14歳

この時期、自分もいろいろあった。痛かったり、楽しかったり。
周囲の環境が良くも悪くも一番刺激的で、それに対する自分自身も一番感受性が豊かな時期だったような気がする。
いろいろ悩んだ気もするけれど、それほど嫌な記憶として残っていないのが不思議。

まぁ、自分のことはさておき…。

何度観ても、映像と音楽の美しさに心を奪われる。
田園の緑を背景に流れるドビュッシーのピアノは一度聴いたら忘れられない。
絶賛し過ぎかもしれないけれど、全てが名シーン。改めて観てもそう思える。
全部にいちいち感想を書いていたらキリがなさそうなくらい。

昔と違って良いなと思ったのは、主人公・蓮見雄一(市原隼人)と母親の自転車二人乗りの場面。
前の展開もあって、あそこはすごく良いシーン。
そして、津田詩織(蒼井優)と雄一が高級レストランで食事する場面の、
「あんたがあたしを守ってよ」という台詞。
始めてみたときには気づかなかったけど、津田は雄一に思いを寄せていたんだ。
そう思ってみると、合唱コンクールのシーンでも、津田が雄一の方を見ていたりして、それも切ない。

何一つハッピーエンドにはならないけれど、思春期の複雑さや脆さが、痛みとともに伝わってくる。
物語の重さに反するような音楽と映像の美しさ。“筆舌に尽くし難い”この言葉がぴったり来る映画。
この映画は、自分にとって一生モノだと改めて思った。

リリイ・シュシュのすべて 通常版 [DVD]

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by yuzuruzuy | 2011-05-21 23:42 | 映画

『ドロップ』

品川ヒロシ初監督作品

『漫才ギャング』でかなりハードルが上がっていたけど、
初監督の映画だと思ったら十分期待を越える面白さだった。
芸人ならではの掛け合いなど、笑いの要素が散りばめられているおかげで、
“不良映画”という最初のイメージが中和されて、だんだんと引き込まれた。

冒頭、不良に憧れて私立から公立に転校した主人公ヒロシ(成宮寛貴)と達也(水嶋ヒロ)がケンカして、
ボロ負けしたヒロシが「ラーメン食いにいくか」と誘われ、普通なら突っ張りそうなところを、
「行く行く!」と素直に答えるところが「行くのかよ!」と思いながらも、微笑ましい名シーン。
弱いのに不良になろうとする主人公なら、その世界に縁がない人でも感情移入しやすい。
ケンカシーン以外は熱すぎず、クールすぎず、程よい雰囲気で何も考えずに見れた。
ケンカシーンは迫力あったし、なんとなくジャッキー・チェンの映画みたいで良かった。
途中コイツら中学生だと気づいて、ちょっと無理がある気もしたけど、まぁいいか。
でもHGはさすがにやりすぎじゃろ、カッコいいけどw

笑いの部分はフジワラ・藤本とか森山中・村上、次長課長・河本がチョイ役でかなり笑わせてくれた。
森山中の使い方とか河本のキャラは『漫才ギャング』とかぶってて面白かった。
ピース又吉は出てるときいていたのに最初全然気づかなくて、二度目で気づいて「ここおったんかい」と笑った。
宮川大輔はまたいい役どころだったなぁ。
哀川翔と遠藤憲一の警官とヤクザのオヤジコンビなど、芸人以外の役者まで面白くするのはさすが笑い芸人の監督の演出。
映画では今までにない感じの告白シーンにも笑った。もうコントじゃ。本仮屋ユイカも良かった。
掛け合いの間とか、言葉選びとか、細かく見たらもっと笑えるところがありそう。


終盤の急展開には正直、そっちでそんなことが??という感じでついて行けなかった。
細かいところは抜きにしてこれは実話だったんかなぁ?だとしたらめちゃくちゃ泣けるエピソード。
でもこの映画には少し重すぎた。
あとは最後の決闘シーンでの音楽(湘南乃風?)は個人的にいらなかったな。

卒業式のシーンが一番感動した。そこがクライマックスかと思ったらまだ早かった。
他校の不良たちとクリスマスから連日「勝負しろ」を繰り返し、最後には打ち解けて年が明けたのに年越しそばを一緒に食べる展開も爽やかで好きだった。
こういう悪すぎない爽やかさは万人ウケしそう。
ほかの不良映画はあまり観たことがないけど、それらとは一味違う映画なのかなと思った。


メッセージ性とか芸術性とかじゃなく、ひたすら楽しめて、感動もある青春映画。
品川監督にこれからも期待。

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by yuzuruzuy | 2011-05-20 18:13 | 映画

『阪急電車 片道15分の奇跡』

とてもやさしい映画だった。

偶然居合わす不器用な登場人物たちのやりとりの一つ一つが、
人生には小さくてもいろんなドラマがあることを思い出させてくれた。
見慣れた風景だし、地元の人は映画というよりは日常の延長線上の気分で観れるだろう。
自分は同じ地方から出てきた大学生に昔の自分を重ね合わせてしまった。
何年か前の生活圏にぴったりくっつくのに、どこか遠くの出来事のような、ちょっと変な感じ。

少し省かれたところもあるけれど、原作にとても忠実だったと思う。
キャストがみんな良かった。大げさすぎない、本当に電車に乗っていそうな人たち。
ただ、おばさん軍団は強烈すぎた(笑)

自分が始めて阪急電車に乗ったときのことを思い出した。
昔を思い出させるレトロな色なのに、車内は小奇麗で、西北駅は乗り換えの人たちでいっぱい。
この電車に乗り慣れたら少しおしゃれな都会の人間になれるんじゃないかと、そんなことを思っていたな。

不器用なあなたにも、どこかで誰かを勇気づけることができる。
ひとりぼっちで孤独なあなたでも、きっと見てくれている人はいる。
今の日本に必要な、そんな希望を与えてくれる映画だと思う。

電車の中だけでなく、街ですれ違う人々、自分の知らないところでいろんなドラマが起こっている。
おせっかいかもしれないけれど、少し頭を突っ込んで、他人のドラマの登場人物になってみる。
それもいいかもしれないな。
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by yuzuruzuy | 2011-05-10 23:07 | 映画

『八日目の蝉』

最初に一応ですが≪お断り≫を、
できたてほやほやの感想であります。
したがって、ネタバレから、どうでもいいことまで書き殴ります。
自分であとから読むために書きます。
もしこれから観に行かれる方がいらっしゃいましたら、
お読みにならないことをおすすめいたします。


中身がどこかに飛んでいってしまった蝉の抜け殻のような気分。
どうにか埋め合わせたいのだけれども時間がかかりそう。


冒頭はまず法廷での被害者の母親の訴えから始まる。
このヒステリックな母親がいるおかげで、主人公に感情移入できる。
そして次に誘拐犯の主人公・希和子(永作博美)の答弁。
どちらも人物一人を画面をいっぱいに映して観客に強く語りかける。
こう来たかという最初の一撃だった。

そこから誘拐、逃亡シーンの展開は省略された部分も多くハイスピード。
早い段階から大学生になったかつての被害少女・恵理菜(井上真央)が出てきた。
小説では分かれていた2つの章が現在の恵理菜を軸に同時進行していく。
ちょっと細かいけれどここらで劇団ひとりが出てきたときは「お前か!」と思ってしまった。
そして「お前!」と突っ込みたくなるシーンも。まぁこれも感想なので残しておこう。
千草役の小池栄子、個人的に良かったなぁ。
20世紀少年のときもそうだったけど、カルトチックな演技が上手い。
それでいてまた全然違う境遇の役だったし。
エンジェルホームの異様さはよく再現されていて、もっと見たかったくらい。
余貴美子あの役だったんかい。強烈。てっきり名古屋のおばあさんかと思ってたよ。
どうでもいいけど、関西弁での第一声、「よーきたな」を「よーきみこ」にモジりたくなる衝動発生。

前半で事件後の恵理菜の人生を説明し、見どころは中盤以降。
千草との事件を追う旅行が始まってから。
原作にあったエンジェルホームから逃亡するシーン。
少し変わっていたけど、やっぱりここはめちゃくちゃ感動。
偶然か狙いかタイムリーな歌にもかなり涙腺やられた。

小豆島へと移り、原作にはなかった、現在の恵理菜と千草の旅が始まる。
ここらへんで原作の記事に引用した名台詞も全部出てきた。
恵理菜の過去の思い出が蘇るように、希和子と薫(恵理菜)の暮らしが流れていく。
島に馴染んでいく2人の日常といつ来るかも知れない逃亡の時。
原作と同じ緊張感の中でも、2人で自転車に乗ったり、学校ごっこをする場面はあったかい。
そして希和子逮捕のきっかけとなる“虫おくり”の祭りのシーンは幻想的で、
迫ってくる最後の瞬間を一層悲しいものにしていた。

そういや小豆島にやってきた希和子が持っていた紙袋が地元にもある百貨店・天満屋のものだったのに過剰反応。

港での逮捕シーンは原作ではあっけなかったぶん、しっかり見せられまた涙。
最後に希和子が立っていたのは、駐車場の7番スペース、そこから魔法が解けるように、
薫は6,5,4、3、2、1…と希和子の元を離れていく。
薫は保護され、希和子は身柄を確保され8番の方向へ。
原作にあった7つの蝉の抜け殻を並べるシーンに代わるかのような、粋な演出だった。

そしてラストの大きなカギとなったのが原作で気になっていた、受け取ることのできなかった2人の記念写真。
そこをうまくすくいとって、また涙涙の名シーン。
田中泯のアクの強さは少々気になったけど、あの存在感は好きだしまぁええか。
読んだ人にとっては、原作に決して負けない、もしかしたらそれ以上の映画になっていたと思う。

主人公の2人に感情移入してしまいがちだけど、
周りにいるほかの登場人物たちみんなの気持ちを考えさせる余地もあって、
原作も映画も、視点を変えて何度も触れることで人間のさまざまな部分が見えてくる作品だと改めて思う。

序盤で流れたJohn Mayer の『Daughters』がカッコ良かった。

結構早い段階からすすり泣きが聞えた。
自分も正直、今までの映画ではないくらいに涙が出てきた。
泣ける映画がいい映画というわけではないけれど、
女の映画という感じなのに、男の自分でも感情移入せずにはいられない映画だった。

気分は少し沈むけど、深く考えさせられる。
今年の名作映画になると思う。
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by yuzuruzuy | 2011-05-03 23:59 | 映画

『めがね』

『かもめ食堂』の荻上直子監督、同じく主演に小林聡美、もたいまさこ

期待通りとてもやさしくて、予想以上にシュールな映画だった。
ドラマを求めて観る映画じゃない、なぜなら、何も起こらないから。
映像と音楽、少ない台詞とその合間の空気感を味わう映画としては最高だと思う。
舞台となる南の島の風景はもちろん、少し離れて定点撮影されたワンカットワンカットが綺麗なパノラマ写真。
その撮影方法のためか奥行きも感じられて、自然と映像の世界に引き込まれる感じがした。
特に食卓の風景にはかなりこだわっていて、食べ物がとても美味しそう。
朝食の梅干、バーベキューや大きな海老とジョッキで飲むビール…画面の前で垂涎。

ひとり南の島にやってきたタエコ(小林聡美)が、宿ハマダに集う個性的な人々との奇妙な生活を通して、次第に大切な何かに気がついていくというストーリー。
登場人物は、春になるとカキ氷を作りにどこからともなく島へやってくるサクラ(もたいまさこ)、飄々と働くハマダの主人ユージ(光石研)、いつもぶらりとご飯を食べにやってくる高校教師ハルナ(市川実日子)、タエコを追って島にやってきたヨモギ(加瀬亮)、そして犬のコージも外せない。
みんな魅力的でキャストと作品の雰囲気も文句なしだった。

それぞれが抱える過去についての説明や人間関係の詳しい説明はない。
サクラはどこからやってくるのか?タエコはなぜ島にやってきたのか?ヨモギはなぜタエコを追って来たのか?
観終わってから疑問は残るけど、そんなことはどうでもいいやと思わせる雰囲気。
この監督の映画は説明しすぎると面白くなくなる。
言葉のない、余白があるから観る人は自然と自由に感じられる。
押し付けがましくない、でもだんだん引き付けられてしまう、
この映画に出てくる風景や登場人物みたいに。

浜辺でみんなで謎のメルシー体操をする場面や、サクラの自転車シーン、ヨモギのドイツ語朗読シーンは今まで観た映画の中でもかなりの名場面として心に残ると思う。

寝る前に観たのだけど、目を閉じて音だけ聞いてても気分が安らいだ。
この映画はこれから何度も観てしまいそうだ。

たそがれるのが得意な、もしくは好きな人におすすめ。
何が自由か知っている
道は真っ直ぐ歩きなさい
深い海には近づかないで
そんなあなたの言葉を置いてきた
月はどんな道にも光をそそぐ
暗闇に泳ぐ魚たちは宝石のよう
ぐうぜんニンゲンと呼ばれてここにいる私
何を恐れていたのか
何と戦ってきたのか
そろそろ持ちきれなくなった荷物をおろす頃
もっとチカラを
やさしくなるためのチカラを
何が自由か知っている
何が自由か知っている

─ ヨモギのドイツ語朗読詩(日本語字幕)より

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by yuzuruzuy | 2011-05-02 15:54 | 映画

『真夜中の虹 / 浮き雲』

アキ・カウリスマキ監督の2作品を収録したDVD。

『真夜中の虹』
炭鉱が閉鎖され仕事を失った男が、自殺した仲間から譲り受けた車で旅に出るところから始まる。
途中で有り金を奪われ、行き着いた街で犯罪者になってしまう。
同じ監房の男と脱獄し、そして新しくできた家族と国外逃亡をはかる。
脱獄シーンはジム・ジャームッシュのダウン・バイ・ロー』を思い出させた。
監房で出会う男役の俳優は、自分の一番好きなジャームッシュ映画『ナイト・オン・アース』のヘルシンキ編に出演していた。カウリスマキとジャームッシュ、やはりつながりがあるようだ。
ストーリーとは裏腹に静かでローテンポな映画。

『浮き雲』
何をやってもうまくいかない人たちの物語。
トラムの運転手だった夫は赤字路線の廃止でカード引きで負けたという理由でリストラ。
レストランの給仕長だった妻は店がチェーン会社に買い取られて職場を失う。
お互いに職を探すも、うまくいかない。
同じように、妻が働いていたレストランの仕事仲間たちも、次の職にあり付けないでいた。
夫婦が悪戦苦闘する様子がほとんどだけど、見ていて飽きることはない。
ドン底なのに落ち着き払っているこの監督の映画の登場人物たちはもうお馴染みにもなってきた。
巻き起こる出来事と彼らのリアクションの薄さのギャップに笑ってしまいそうになるシーンもある。

希望が込み上げてくるラストは名シーン。
いつか、うまくいく。
やけに説得力のある無表情で、そう思わされる。
好きな感じの映画だった。

真夜中の虹/浮き雲 [DVD]

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by yuzuruzuy | 2011-04-23 19:52 | 映画


つまらない、面倒くさいを、面白く。


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