Petit 古書店論

先週久しぶりに古書店に入った。

3軒くらいがビルの1フロアに集まる古書センター。

まずはそのなかでいちばんまっとうな古書店を選ぶ。

例えば外からは一見普通の文庫本を置く古本屋、しかしその棚の裏側にいかがわしい色合いの漫画本が並んでいて、キャップ帽にリュック姿の、昭和からタイムスリップしてきたような中年男、さも学術書を探すかのような真剣な眼差しでピンクやイエロー入り混じるサイケデリックな背表紙の列を眺めている。これは、アウトですね。

なるべく冴えない色合いの、まさにブックカバーを外した古い文庫本が持つ控えめかつクラシカルな空気感を店の奥から入口まで徹底して醸し出している、店の中には自分以外の客はいない、ふらっと入っても店主は声を発することもなく、あえて存在を消すかのように何の主張もない服装で静かに佇む、そんな店が良い。

そして時間を忘れて、本の背文字を追いながら、最初は文庫本コーナー、海外文学そして近代文学、映画、美術…どんどんマニアックな棚に進みながら、自分の興味と店の品揃えの接点を探す。これだけで世界が拡がる気がするのだ。ほんの数畳の空間で好奇心が爆発する。何でもあるようで実はないものばかりだったりする大型書店では味わえない感覚だ。

この日買ったのはボードレールの詩集の文庫と安部公房対談集(これはテンション上がった。)

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ボードレールは会計のときに店主さんから
「訳者で選んでるんですか?」
と声を掛けられたので、お勧めの訳者はいるか尋ねると、比べてみるようにひとつの詩を選んでくれた。『太陽』という詩。

”われは赴く、わが架空の剣術のひとり稽古に。
あらゆる隅々に偶然の韻律を嗅ぎ出しつつ
舗道の上にて躓くごとく言葉の上にて躓きつ
時には久しく夢みたる詩句にはたとぶつかりつつ。

詩人のごとく街の中に下り立つとき、
太陽はいかなる賤しきものをも美しく高め、
ありとある病院に、ありとある宮殿に、
音もなく従者も連れず王様然と入りゆく。

『太陽』村上菊一郎訳より抜粋”

これは割と難解そうだがその分詩的な訳。もう一冊分かりやすい訳のものを合わせて購入。読み比べたら面白そう。せっかく教えてもらったので二冊買うと言った時の店主さんの反応が、「あ、いいんですか?」こういう最後まで押しつけがましさゼロなところがまた良いのだよ。

自分のなかで抑えられていた活字欲がここ最近また噴火しつつある。

今日も仕事後、勢い余って古本購入。
こちらは割とポップなセレクションかと。
なぜか表紙にシュールな人物画が揃ってしまった。この時点であまりポップじゃないかもな。
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こんなに買って読む時間あるんかねって話ですがね。
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by yuzuruzuy | 2012-07-13 23:06 | 日記


つまらない、面倒くさいを、面白く。


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