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『ガダラの豚』 中島らも

 文庫本3冊の長編。呪術を研究する大学教授大生部(おおうべ)と手品師の仕掛けを暴く奇術師ミスター・ミラクルが、インチキ宗教に洗脳された大生部の妻・逸美を救うため奮闘する第一部に始まり、国境を越えてケニアの最強の呪術師バキリと戦う第二部、第三部からなる。
 第一部を読んでいるとき、偶然深夜にドラマ『トリック』を放送していたけど、テーマやキャラクターがそっくりだった。『トリック』ファンならこの小説は好きになる人多いだろうな。何より面白いのは、次々出てくる“種あかし”。手品の仕掛けがばらされて、インチキ宗教の化けの皮が剥がされる。そして呪術や心理学まで、専門的な話が出てきて、しかもとても分りやすい。
 クライマックスは一体どんな精神状態で書かれたのだろうかと言うほど暴走トランス状態な文章。最後の100ページは大どんでん返しで、外出を忘れて部屋で読みふけってしまった。読みながら何が真実かわからなくなってきて、最後に残ったものに鳥肌。
 1993年の刊行らしいから、オウム事件とかより前に書かれたんだな。TV局の内情とか、現在のメディア問題の予言的な内容も多くて興味深い。中島らもの自己の内外に向く深い好奇心と、物事を見通す眼力を思い知らされた。スゴイや、のひと言。


by yuzuruzuy | 2011-10-12 00:01 | 読書


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