『告白』 町田康

 最近映画化された『告白』とは違います。「河内十人斬り」という実際の殺人事件をモチーフに書かれた長編小説。800ページ超の分厚い文庫本。読み出したらのめり込んで一気に読んだ。読み終わった瞬間、また最初から読みたくなった。
 町田康節が、明治初期の大阪河内の百姓村で炸裂する。活字化された河内弁のリズムが身体に響いてくる。あぎゃーん、しゅらしゅら、いやんいやん、わっぴゃぴゃん、という独特の表現や、葛木ドール・モヘア兄弟、正味の節ちゃん、銭の亡者トラ婆さんなどの強烈キャラ、あかんではないか、とセルフでかまされるツッコミ、突然出てくる現代語的な喩え。町田康風に書けば、くふふふふ、と何度も声出して笑ってしまった。ほんますごいなこの人の文章は。
 その文体と内容の深さのギャップがまた激しい。この作品が持つテーマから、『人間失格』を思い出さずにはいられなかった。
主人公の熊太郎は、極度に思弁的で、その思弁を表す言葉を持ち合わせていない。それが原因で世間と乖離した熊太郎の人生はどんどん狂っていく。読んでいると熊太郎の思弁が自分に向けて語られているように感じてきて、いつの間にか自分と熊太郎を重ね合わせていた。ラストは鳥肌。
 内容についてたくさん考えさせられることがあったけど、書き出したら止まらなくなって、熊太郎の思弁のようにわけが分からなくなりそうなので、また熟読してから書こう。
 とにかく面白くて、800ページがあっという間。何度でも読みたい。旅に小説を1冊だけ持って行くなら、これにする。短い小説で町田康の文章に慣れて、好きなら、絶対におすすめしたい。

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by yuzuruzuy | 2011-06-12 10:24 | 読書


つまらない、面倒くさいを、面白く。


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