『八日目の蝉』

最初に一応ですが≪お断り≫を、
できたてほやほやの感想であります。
したがって、ネタバレから、どうでもいいことまで書き殴ります。
自分であとから読むために書きます。
もしこれから観に行かれる方がいらっしゃいましたら、
お読みにならないことをおすすめいたします。


中身がどこかに飛んでいってしまった蝉の抜け殻のような気分。
どうにか埋め合わせたいのだけれども時間がかかりそう。


冒頭はまず法廷での被害者の母親の訴えから始まる。
このヒステリックな母親がいるおかげで、主人公に感情移入できる。
そして次に誘拐犯の主人公・希和子(永作博美)の答弁。
どちらも人物一人を画面をいっぱいに映して観客に強く語りかける。
こう来たかという最初の一撃だった。

そこから誘拐、逃亡シーンの展開は省略された部分も多くハイスピード。
早い段階から大学生になったかつての被害少女・恵理菜(井上真央)が出てきた。
小説では分かれていた2つの章が現在の恵理菜を軸に同時進行していく。
ちょっと細かいけれどここらで劇団ひとりが出てきたときは「お前か!」と思ってしまった。
そして「お前!」と突っ込みたくなるシーンも。まぁこれも感想なので残しておこう。
千草役の小池栄子、個人的に良かったなぁ。
20世紀少年のときもそうだったけど、カルトチックな演技が上手い。
それでいてまた全然違う境遇の役だったし。
エンジェルホームの異様さはよく再現されていて、もっと見たかったくらい。
余貴美子あの役だったんかい。強烈。てっきり名古屋のおばあさんかと思ってたよ。
どうでもいいけど、関西弁での第一声、「よーきたな」を「よーきみこ」にモジりたくなる衝動発生。

前半で事件後の恵理菜の人生を説明し、見どころは中盤以降。
千草との事件を追う旅行が始まってから。
原作にあったエンジェルホームから逃亡するシーン。
少し変わっていたけど、やっぱりここはめちゃくちゃ感動。
偶然か狙いかタイムリーな歌にもかなり涙腺やられた。

小豆島へと移り、原作にはなかった、現在の恵理菜と千草の旅が始まる。
ここらへんで原作の記事に引用した名台詞も全部出てきた。
恵理菜の過去の思い出が蘇るように、希和子と薫(恵理菜)の暮らしが流れていく。
島に馴染んでいく2人の日常といつ来るかも知れない逃亡の時。
原作と同じ緊張感の中でも、2人で自転車に乗ったり、学校ごっこをする場面はあったかい。
そして希和子逮捕のきっかけとなる“虫おくり”の祭りのシーンは幻想的で、
迫ってくる最後の瞬間を一層悲しいものにしていた。

そういや小豆島にやってきた希和子が持っていた紙袋が地元にもある百貨店・天満屋のものだったのに過剰反応。

港での逮捕シーンは原作ではあっけなかったぶん、しっかり見せられまた涙。
最後に希和子が立っていたのは、駐車場の7番スペース、そこから魔法が解けるように、
薫は6,5,4、3、2、1…と希和子の元を離れていく。
薫は保護され、希和子は身柄を確保され8番の方向へ。
原作にあった7つの蝉の抜け殻を並べるシーンに代わるかのような、粋な演出だった。

そしてラストの大きなカギとなったのが原作で気になっていた、受け取ることのできなかった2人の記念写真。
そこをうまくすくいとって、また涙涙の名シーン。
田中泯のアクの強さは少々気になったけど、あの存在感は好きだしまぁええか。
読んだ人にとっては、原作に決して負けない、もしかしたらそれ以上の映画になっていたと思う。

主人公の2人に感情移入してしまいがちだけど、
周りにいるほかの登場人物たちみんなの気持ちを考えさせる余地もあって、
原作も映画も、視点を変えて何度も触れることで人間のさまざまな部分が見えてくる作品だと改めて思う。

序盤で流れたJohn Mayer の『Daughters』がカッコ良かった。

結構早い段階からすすり泣きが聞えた。
自分も正直、今までの映画ではないくらいに涙が出てきた。
泣ける映画がいい映画というわけではないけれど、
女の映画という感じなのに、男の自分でも感情移入せずにはいられない映画だった。

気分は少し沈むけど、深く考えさせられる。
今年の名作映画になると思う。
[PR]
by yuzuruzuy | 2011-05-03 23:59 | 映画


つまらない、面倒くさいを、面白く。


by yuzuruzuy

プロフィールを見る

S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

最新の記事

さらば
at 2014-09-25 04:35
きょうこそ
at 2014-07-04 01:31
イタいのイタいの、飛んでいけ!
at 2014-06-14 23:03
いろいろあるけれど
at 2014-06-05 03:56
「ママ、しまじろうのお顔、ご..
at 2014-05-04 01:25

以前の記事

2014年 09月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2013年 11月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
more...

カテゴリ

全体
日記
独り言
つぶや句
読書
映画
広告
写真
表現
SLT
夢日記
屋久島
自転車de東京
欧州一人旅
回文
未分類

タグ

検索

我的書架

ブクログ

その他のジャンル

外部リンク

記事ランキング