『めがね』

『かもめ食堂』の荻上直子監督、同じく主演に小林聡美、もたいまさこ

期待通りとてもやさしくて、予想以上にシュールな映画だった。
ドラマを求めて観る映画じゃない、なぜなら、何も起こらないから。
映像と音楽、少ない台詞とその合間の空気感を味わう映画としては最高だと思う。
舞台となる南の島の風景はもちろん、少し離れて定点撮影されたワンカットワンカットが綺麗なパノラマ写真。
その撮影方法のためか奥行きも感じられて、自然と映像の世界に引き込まれる感じがした。
特に食卓の風景にはかなりこだわっていて、食べ物がとても美味しそう。
朝食の梅干、バーベキューや大きな海老とジョッキで飲むビール…画面の前で垂涎。

ひとり南の島にやってきたタエコ(小林聡美)が、宿ハマダに集う個性的な人々との奇妙な生活を通して、次第に大切な何かに気がついていくというストーリー。
登場人物は、春になるとカキ氷を作りにどこからともなく島へやってくるサクラ(もたいまさこ)、飄々と働くハマダの主人ユージ(光石研)、いつもぶらりとご飯を食べにやってくる高校教師ハルナ(市川実日子)、タエコを追って島にやってきたヨモギ(加瀬亮)、そして犬のコージも外せない。
みんな魅力的でキャストと作品の雰囲気も文句なしだった。

それぞれが抱える過去についての説明や人間関係の詳しい説明はない。
サクラはどこからやってくるのか?タエコはなぜ島にやってきたのか?ヨモギはなぜタエコを追って来たのか?
観終わってから疑問は残るけど、そんなことはどうでもいいやと思わせる雰囲気。
この監督の映画は説明しすぎると面白くなくなる。
言葉のない、余白があるから観る人は自然と自由に感じられる。
押し付けがましくない、でもだんだん引き付けられてしまう、
この映画に出てくる風景や登場人物みたいに。

浜辺でみんなで謎のメルシー体操をする場面や、サクラの自転車シーン、ヨモギのドイツ語朗読シーンは今まで観た映画の中でもかなりの名場面として心に残ると思う。

寝る前に観たのだけど、目を閉じて音だけ聞いてても気分が安らいだ。
この映画はこれから何度も観てしまいそうだ。

たそがれるのが得意な、もしくは好きな人におすすめ。
何が自由か知っている
道は真っ直ぐ歩きなさい
深い海には近づかないで
そんなあなたの言葉を置いてきた
月はどんな道にも光をそそぐ
暗闇に泳ぐ魚たちは宝石のよう
ぐうぜんニンゲンと呼ばれてここにいる私
何を恐れていたのか
何と戦ってきたのか
そろそろ持ちきれなくなった荷物をおろす頃
もっとチカラを
やさしくなるためのチカラを
何が自由か知っている
何が自由か知っている

─ ヨモギのドイツ語朗読詩(日本語字幕)より

めがね(3枚組) [DVD]

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by yuzuruzuy | 2011-05-02 15:54 | 映画


つまらない、面倒くさいを、面白く。


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