カタシモワイナリー見学

ワインが生まれる現場を見たくて訪れたのは大阪の柏原市の老舗ワイナリー。

JR柏原駅で電車を降りると東側の山に“柏原ワイン”という大きな看板が立っていた。
葡萄の産地だけあって、マンホールや用水路の壁などに、葡萄の装飾が目立つ。
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懐かしさの漂う小道を少し迷いながら、回り道をして受付の建物に到着。
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右手の階段を上がるとバーカウンターになっていて、ここがテイスティングルームのようだ。
(写真は試飲終了後。さりげなく社長を撮った。)
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アンティークの自動オルガンから粋なクラシックが流れていた。
昔のワイン製造に使われていた、木製の機械も並んでいた。
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案内をしてくれるであろう社員の男性は、働き始めて一年ほどで、それまではワインとは関係ない仕事をしていたという。
自分もワイン関係の仕事を探していると話すと、ここでも募集しているけど、かなり敷居が高いとか。
葡萄づくり、ワインづくりも職人の世界。かなりの修行がいるだろう。

見学者は自分を含め10人ほどで自分はやっぱり下っ端。
参加者全員が揃うまで、案内係さんがこのあたりの歴史やワイナリーについて話してくれた。
奈良の平城京と難波の中間に当たるこの町は、かなり栄えていたこと。
所在地の住所でもある太平寺という寺にあった廬遮那仏を天皇が見て、奈良の大仏が建立されたこと。
智識寺という古い寺では葡萄を模したオブジェが発見されていて、古くから葡萄の栽培が行われていたであろうこと。
大阪の葡萄の生産は昔は全国一位で、今では全国8位、デラウェアという品種に関しては全国三位だということ。
まだまだ知らない大阪がたくさんあるのだなぁ。

そして見学開始。
まずは葡萄園の見学から。
葡萄を有機的な土壌で育てるために、除草剤を撒かず雑草はそのままで、葡萄の木の下にタンポポが可愛く咲いていた。
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地面には他にも切り落とした枝を砕いたものや、発酵でできた酵母のかたまりなどがまいてある。
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有機農法では地面に棲むミミズも大きくなり、それを食べにイノブタが地面を掘りにくるという。
そのため農園の周りには防護ネットが張られていた。

葡萄の木はまだ素っ裸で、主に剪定(せんてい)についての説明があった。
どの枝を生かすか、どこに実を生らすのか、数年先を見越して枝を選り分ける重要な作業。
枝が国道で、実が建物。葡萄の木の栽培は街づくりと似ているという説明が印象的だった。
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70歳、90歳の古木もあった。

古い木は子孫を残すため、鳥に運んでもらうために美味しい実をつけようとする。
年齢にしたがって生産力はかなり落ちるのだが、より上質な葡萄を生む貴重な存在らしい。
幹をスカスカにしながら先端はまだ生きている古木は人生までも教えてくれるようだ。

ブドウ畑の丘からは、大阪の街並みから、六甲山まで一望できる。
造り手にとってこの景色を眺めながらのワインは格別だろうな。
葡萄が実をつけるころには、粒を味見できるそうだし、
そのときの景色を見にまた夏にも訪れたい。


ちょっとしたパワースポットめぐりの後、醸造所内を簡単に見学。
圧搾機や、瓶内熟成中のスパークリングワインと、保管庫内部を見た。
戦時中は保管庫にあったワインから、国によってレーダーに使用する酒石酸が抜き取られたため、
余った部分はブランデーにされたらしい。
ここでの見学は倉庫内の装置のみで、醸造中のワインを見れると期待した自分にとっては若干肩透かし。
でも良く考えたら季節的に見れるはずがない。僕のうっかりミス。
ワインは葡萄の出来が一番重要で、収穫時には既に醸造家の頭にその年のワインのイメージができているらしい。
なんか天才的なひらめきが必要そうにも思えるが、何よりも経験なのだろうな。
これが圧搾機。果汁と、果皮でそれぞれ出口が違う。農業マシーン!という存在感。
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そしていよいよお楽しみの試飲。
最初にも少し顔を出したが、試飲途中で満を持して…というよりももっと軽いノリで社長が登場。
社長様プッシュもありなんと八種類ものお酒をテイスティングできた。ありがたやありがたや。
簡単な印象をメモ。

①スパークリングワイン
デラウェア使用
さわやかで甘さもある。

②堅下甲州 合名山 白
門外不出だった山梨の甲州葡萄の苗木が明治11年に新宿御苑から送られこの地で栽培されて生まれた堅下甲州葡萄を使ったワイン。
香りはスモーキー、スパークリングよりも甘さは弱く、酸味がありスッキリした味わい。

③KING SELBY メルロ&マスカットベリーA 赤 
メルロ、マスカットベリーA使用
土っぽい、野花をイメージさせる香りと渋みのある味わい。
日本酒の製造方法が活用されており、樽は使用されていない。

④利果園 赤
マスカットベリーA使用
ベリーAの開発者川上善兵衛の古木の葡萄。
たとえは悪いけど、こどものころ小さい蟻をつぶしたとき手についた匂いを思い出させる香り。
古い日本家屋のような懐かしい香りもある。フレンチオーク樽を使用しているからだろうか。
日本で誰かワイン樽作ってくれんやろかーと社長がぼやいていた。
渋みが強くて、後味はほんのりチーズ。
これぞ日本の美味しいワインや!という感じで好き。

⑤太時 勇助畑 2009 限定675本
カベルネ・ソーヴィニヨン使用
社長プッシュで飲ませてもらった一本。
香りはスッキリとしたハーブとベリー。
口に入れた瞬間渋みがガツンときた。
コクがあって味わい深い。
社長によると、フランスのカベルネなのでまだまだ土地になじんでいないのか色づきがイマイチだという話。
外国の葡萄を日本に持ってきてもうまくいくとは限らないし、試行錯誤の繰り返し。
“お前誰やねん!”という味になることもしばしば。
十年以上経ってようやくその土地でしか出せない味になっていく。
毎年違うことをやっている、それが自分たちの仕事で、一番楽しいんやと熱く語っていた。

⑥赤ワイン梅酒
完熟した青梅をマスカットベリーAの赤ワインに漬け込んでできるお酒。
香りはプラム。
甘くて濃厚な味。お洒落な梅酒。

⑦ジャパニーズグラッパ 葡萄華 デラウェア葡萄・樽熟 
アルコール35度
グラッパとはイタリアのブランデーで、食後酒として飲まれている。
無色透明。香りが豊かなウォッカみたいな印象。
日本で一番最初にグラッパを造ったのがこの社長らしい。
10年かけてグラッパのための機械も開発したとか…職人魂だな。

⑧ジャパニーズグラッパ 葡萄華 堅下甲州葡萄
アルコール53度(!)
なんと限定211本、1本1万円もするこのボトルも、社長がせっかくやからと飲ませてくれた。
商売上手。大阪商人だなぁ。
アルコールが強いのに、葡萄の味も感じれる新感覚なお酒だった。
こんなん買って誰かと一緒にちびちび飲んでみたいな。

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テイスティングのあいだ社長自らワインづくりについて河内弁で熱く語ってくれた。
結構専門的で初心者の自分には難しかったけど、
酵母菌にまで愛情を持って語っていたりして、
とにかく自分の仕事が好きで、誇りを持ってやってきていることが伝わってきた。
ここまで賭けている人が造るお酒、不味いわけがないわ。
ベルギービールも奥が深いという話や、
お酒好きな人は観光ではなく、その土地の暮らしを味わいに行くから、
ワインを知ったら、旅行の型が変わるという話に共感した。
もっとワインについて知って、また話を聞きに来よう。
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by yuzuruzuy | 2011-04-17 20:12 | 日記


つまらない、面倒くさいを、面白く。


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