『友達・棒になった男』 安部公房

 新潮文庫で現在刊行中16冊の安部公房も、これで読破。安部公房の文章が生み出す世界は、しばらく離れていてもあるとき急に触れたくなる。この本はその安部公房の戯曲3編が収録されている。安部公房の世界、演劇で観たい。頭の中になるべく自分で舞台を作るようにして読んだ。

≪友達≫
 短編『闖入者』(『水中都市・デンドロカカリヤ』収録)を戯曲化した作品。読みながら、松尾スズキ演出で劇団大人計画で上演してほしいと思った。なんとも言えない不気味さに包まれた、どす黒い笑い。その根底に深刻な孤独と隣人愛という人間関係のテーマがある。文字だけでも十分イメージできた。

≪棒になった男≫
・第一景 鞄
 擬人化された旅行鞄を男が演じる。鍵がかかったその鞄の中身を見ようとする女と客。カフカの変身のような世界観。

・第二景 時の崖
 同名短編(『無関係な死・時の崖』収録)の戯曲化。登場人物はボクサーひとり。スポットライトを浴びながらアクションを交えて独白する姿を思い浮かべて読んだ。

・第三景 棒になった男
 これも短編にあったけど地獄の男&女の登場など少し変わっていた。最後の客席に向けた台詞にドキリとする。

 この異なる3作品を並べた意図までは理解できなかったが、どれも自分の“存在”について考えさせられる演目なのだと思う。

≪榎本武揚≫
 同名長編は未読で、登場人物も多く理解に苦しんだが、歴史上の人物を夢の中で現代に連れてきて、その評判をぶつけてしまう発想は凄い。安部公房ならではの、新しい歴史の見方を教えてくれそう。

 これからまた今までの安部公房の再読と、他の文庫の安部公房を読み進めていきたい。新潮文庫の絶版本も復刊してくれー。


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by yuzuruzuy | 2011-04-07 02:49 | 読書


つまらない、面倒くさいを、面白く。


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