『芸術脳』 茂木健一郎

 脳科学者・茂木健一郎とクリエイティブで活躍する著名人たちの対談集。最近Twitterで茂木さんのツイートを読んでいて、サッカー観戦中のはっちゃけたつぶやきや、議論を巻き起こす問題提起力に改めて面白い人だなぁと感じ、積ん読本の山から掘り出して読了した。
 対談の中で特に印象に残ったのが、イギリスのコメディ、『リトルブリテン』のマット・ルーカスとデヴィット・ウォリアムズ、『広告批評』の編集長、天野祐吉、『東京タワー』のリリー・フランキー。
 なかでも『リトルブリテン』のユーモアについての話は、最近僕の日記のテーマであった“笑い”について真剣に考えることについての彼らなりの答えが見えて、とても面白かった。
マット:思うに、(イギリスには)題材になるなにかがしっかりしたものなら、コメディで笑われたくらいでは揺らがないっていう確信があるんじゃないかな。

デヴィット:対象からユーモアを見いだすことは、それを祝福することだと思う。ユーモアがあれば、そこに人間性や生命力も見えてくるじゃないですか。
 確かにユーモアは英語で書くとHumorで、Human(人間)と同じ語源を感じる。また、階級社会だったイギリスでは最初からタブーを題材とするコメディが受け入れられたわけではなく、多様化する社会の中で変化を敏感に感じ取ったモンティ・パイソンなどの過激なコメディが作られるようになって論争が巻き起こり、みんなが意識するようになった。それが下地になり今の『リトル・ブリテン』があるんだ、という話は、タブーに囚われてしまう日本人として身につまされる。
茂木:社会がタブーだと見なしているトピックに対して笑うことで、そのタブー全体の本質や形をよりクリアに理解することができるんですよ。
 笑うことで壁がなくなるのは事実。ユーモアで新たに見えてくる部分があるということを日本人も気づくべきだと思う。強く共感した。他にも、“笑い”について、ここ最近考えてきたことと重なる部分が多く、また、僕も好きな『リトル・ブリテン』の製作者たちの本音が聴けてしびれる読書体験だった。長くなるのでこの辺で。
 天野祐吉氏との対談では“批評”について、このブログで本の感想について書くときにためになる話が多く、リリー・フランキーとの対談ではゆるいけど本質的な、独特な空気を味わえた。これらはどれも本の後半部分で、前半部分と繋がるテーマが多く、読み進めるうちに、あ、あの話だと気づいて何度も本をめくって見直した。これだけ一貫性のある対談集になったのも、茂木さんの引き出す能力の賜物だと思う。
 それと、本の中で、パリの地下墓地(カタコンベ)が言及されていたのだが、そこを読んで家に帰ると偶然見たTVでまさにその場所が紹介されていた。そんな不思議なシンクロ体験もあってびっくり。他にもユーミンやいとうせいこうなどさまざまな人が出てくるので、別の機会にも繋がりそうな気がする。またどこかで引用させてもらおう。


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by yuzuruzuy | 2011-02-05 23:58 | 読書


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