『松本人志のコント MHK』

ごっつとかほとんど観てなかったので、
松本人志のコントを本格的に観るのはほぼ始めてに等しい。
NHKはCMもないし、ネタをじっくり観るには最適。
これから、NHKでコント番組を持つことが芸人の新たな目標になったりして。
公共放送なりの規制はいろいろあるだろうけど、
純粋な芸人にとっては民間放送のほうがもはや不自由なのかも。
それぞれのネタの感想。


≪ダイナミックアドベンチャーポータブル≫
自宅でダイナミックアドベンチャーを楽しむことができる
15万円もする意味不明なマシンを買った男(まっちゃん)
宅配で届き「明日くるとは思ってたんですけど!」と何度も言いながらウキウキ
「どうしよ俺!届けられてるわぁ~」と、のっけから松本ワールド的言い回し。
付属の説明DVDのガイド音声との掛け合いをしながら組み立てる。
エレファンティックチューブとか、ハッピースティックとか、なんやねん(笑)
世界観を壊さないためにあくまでそこにはまっちゃんツッコまない。
理解不能のマシンを何度も「めっちゃええやん」とべた褒め
いきなりシュールすぎる。

一回目は分かりにくかった。
やみつきになりそうな余韻は残ったけど。
観てるほうは分からない、やってるほうは真面目。
そこに生じる違和感が笑いの空気を作るのだろうか。

二回目に観たら、じっくり練られてるんだなぁと分かった。
無駄をなくすためにカット割編集でマシンの位置が移動してたり、
台詞のタイミングや繰り返しとかも考えられてそう。
マシンの動きもとにかくシュール。

あとはオチにも出てきた“アゴずれ”に尽きる。

はまちゃんがおったら、「なんやねんっ!」連発だったと思う。
それがあってこそまっちゃんのボケが爆笑に変わるんかもなぁ。

はまちゃんいないので観ている自分が心のなかで「なんやねんそれ」とツッコんでしまう。
大笑いはできないけど、漂う空気にニヤニヤ笑い。
他人に分からない自分だけの楽しみと考えれば、よくありそうな設定だけど
ダイナミックアドベンチャーポータブル(15万円)
何度も言うけど、シュールやなぁ…


≪劇的!!ビUFOアフター≫
名前のとおり、アノ番組みのパロディ。
NHKでこんなのやってしまうんかぁ。
まっちゃんが匠の役で真面目な演技
“小さいながらも、すてきなUFOだなっていわれるように頑張りました。もう未確認だなんて言わせないぞっていう感じですかね。”
日常とSF的要素を混ぜ合わせた独特の空気感が、『大日本人』と似ている気がした。
最後まで爆発もない、これまた違和感によるクスクス笑い。
長めでちょっと間延びした感があったけど、
ネタの世界にじっくり入り込ませようということなのかな。

こういう無理に笑かせようとしない、ピースフルな笑いは好きです。
いままでダウンタウンの番組見てると笑ってはいけないシリーズとかで不条理なイメージがあったけど、
まっちゃん、こんな笑いも作るのね。
でも、捕らえられた地球人の牢屋まで改装して、改装後は地球人も明るく談笑していたり、
あえて触れないツッコミどころはしっかりあった。
ツッコまないことで生まれる面白さもあるもんね。

ボケをいかに真面目さで隠しつつ、ジワジワ笑いに変えられるか。
そういうとこはNHKっぽい。
微妙と絶妙って言うのは紙一重なんだなぁ。

このコントあたりから、簡単なことはしたくないという
まっちゃんの心意気が伝わってきた気もした。
徐々にまっちゃんワールドが分かってきたような。


≪つぶやけ!アーカイブス≫
NHKの過去の放送の白黒映像にまっちゃんがひと言。
当時は真面目でも今の時代なら笑える映像がたくさんあるのだなぁ。
時代が変われば笑いも変わる。

①三十三間堂の消火訓練
1人1体の仏像を肩に担いで走りまわる消防隊員たち
まっちゃん「国宝の扱い方雑!」

②奇抜な美容健康法
TVで出る素人の有名発明おじさんが作りそうな
いかにも胡散臭い器械で美容に励む女性たち
回転椅子でぐるんぐるんまわされる“回転式体重軽減装置”
最後に出たのが“首吊り式背伸び器”て…いやいや、苦行すぎる。
僕「拷問やん…」
と、自分でもツッコミを考えてみた。
吐き捨てるようにまっちゃん「寿命縮まるわっ」
やはり言葉選びと言い方が面白いねぇ。

③“僕は二つです”
巨漢児ひでたかちゃん(二才)
“ご飯はおおきなどんぶりで、お肉かお魚がなければ食べないという、こだまひでたかちゃん。”
“生後二年八ヶ月で、体重十貫弐百目のデブさんです。”
タイトルと最初の映像だけで噴いた。
二つですって、年齢のことだったんかい…
冷静なナレーションの声と衝撃的な映像とのギャップが激しすぎる。
今これ放送されたら絶対Youtubeで流行るわぁ。
まっちゃん「ひでたかちゃぁん…」
もはやツッコむこともできず(笑)


≪わたしは幽霊を見た!≫
①わたしは幽霊を見た!という人を見た
②わたしは幽霊を見た!というであろう人を見た
③わたしは幽霊を見た!普通に

三段オチ

夫婦が部屋のベランダから向かいのアパートにいる幽霊を見る。
なんとなく雰囲気が好きな大人計画の平岩紙がまっちゃんの妻役で出ていた。
確かに霊感ありそう。

最後は笑いというよりほんとにちょっと怖い。
幽霊を見ているのにぜんぜん驚かない夫婦が生む違和感。
そこが可笑しい。

“あなた、幽霊よ”
“幽霊だねぇ”

“怖いわ”
“怖いねぇ”

“ずーっといると、ずーっと怖いねぇ”

最後のまっちゃんのひと言が残す余韻。
これは笑いなのだろうか?うーむ。


≪答辞≫
逆二中の卒業生答辞
とにかく「逆に」押し。
ジワジワきて、気づいたら声を出して笑っていた。
この前のキングオブコントでまっちゃんがジャルジャルのネタ後に言った
「いつまでも見てられるなぁ。」という言葉
それをそのままこのコントにも言いたい。

難しいこと考えずにこのネタが一番笑えた。
いきなり怒鳴って、素に戻って、
“逆ギレをしてしまいました。”
これにはやられた。
“逆ギレ”は、まっちゃんが流行らせた言葉だ。

“逆に”という言葉を逆にネタの中心に置いたまさに逆の発想。
これからもみんなと逆のことやったるわっていう、
アイディア炸裂の決意表明って感じでした。

最後の
“なんかほんとストレートに、ありがとうございましたぁー!”
は、なんかよく分からんけど逆に泣きそうになりました。

─── 以上 ネタの感想


コントを自然に演じていても、松本人志でないようで松本人志だった。
そういえば、チャップリンもどの映画の中でもいつでもチャップリンだ。
笑いを生んでいるのがチャップリン自身であり、松本人志自身であるからなのか。

友人から聞いた松本人志のエピソードがある。
途上国の難民の痩せ細った子供の写真のネタ(“写真でひと言”)を、笑うことをためらった観客に対して言った言葉。感銘を受けて今でも覚えている。
かなり前に聞いた話なのであいまいだけど、こんな意味のことだった。
“面白くしているのはあくまでもオレ(松本)で、彼らが面白いわけではないし、それで彼らを傷つけているとは思わない。笑わせているのはオレなのだから、オレの発想が面白いのだ。もしかしたらオレは悪かもしれないが、そのオレの発想を笑う客は悪ではないのだ。”

そこまでの信念で生みだされた笑いは、伝わるはずだ。

芸術家は自分の身体を離れた作品で人を感動させるけど、芸人は自分自身で人を笑わせる。
そこが大きな違いなのかも知れない。


お笑い番組ではよくあるわざとらしいスタッフの笑い声もなく、
視聴者に真っ向から笑いとは何かを問う番組だったと思う。


深いねぇ。お笑いは。
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by yuzuruzuy | 2010-10-17 17:01 | 表現


つまらない、面倒くさいを、面白く。


by yuzuruzuy

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