THE SONGWRITERS 佐野元春×山口一郎 ②

今回のワークショップは、
聴講生が“アイデンティティ”というキーワードから触発されたフレーズを書き、
そこに音楽を組み合わせることで言葉の意味がどう変容するかを体験するというもの。
すごくシュールだった。

使用されたのはサカナクションのこの曲
不思議な音の世界


聴講生からはさまざまなフレーズが集められたが、佐野と山口が選んだ言葉たちを曲に乗せてみると、
意図されずして、どこかストーリーのようなものが生まれているように感じられた。
山口:この過程は音楽の世界では実はよくある、チャンスオペレーションって言うもので、その…ひとつの意味を持って、いろいろな言葉が集まってきたときに、それをどう組み合わせるか、それを不規則に組み合わせることで、逆にストーリーが、イメージができたり、なんかそれを今日、皆さんに体感してもらえたらなと思います。すごい良い企画だと思います。


──特定の言葉から、それぞれの世界観に基づいて新たな言葉が生まれ、
それが集まることで新たなひとつの世界になる。

山口:言葉プラス、音が入ることで、その言葉の持つエネルギーが、より増していくというか、奥行きが出てくるんですよね。それが音楽の面白さだし、僕らがいつも、音楽で遊んでいる手法なんですよね。

佐野:その通りだね。悲しいメロディに、楽しい言葉を乗せたらどうなるだろうか…とか、セクシャルなメロディに、過激な、政治的なメッセージを乗せたらどうなるんだろうか…たとえばね。そうした、実験と言うのは、割りと意識的に、やられてますか?

山口:うん。僕はその、良い違和感を探すことが、音楽を作る上でのひとつのテーマなんですよね。その違和感が好きか嫌いか、それがサカナクションらしさ、の基準になっているんですけど。

──たしかに違和感って大事だ。なんかコレ変、でも好き。そこにそのモノや、その人らしさが溢れているように思える。すっと入ってくるだけじゃなく、どこかに引っかかるものがないと、そのまま流れて出て行ってしまう。
音が出す奥行きによって、深い部分で受け手に訴えかけられるものが生まれる。

二回目は、書いた本人たちが曲に合わせてリーディング。
エコーなどのエフェクトがかかって、言葉が反復されて、また違った印象を持つようになる。
ひとりの声じゃなく、女性の声の後に聴こえる男性の声とか、
いくつもの要素、いくつものアイデンティティが共鳴しながら渦巻く、
なんともいえない世界に引き込まれるようだった。

山口:言葉の持つエネルギーと、音の持つエネルギーって言うのは、同じようで違うと思うんですよ。でもそれが合わさることで、また違うエネルギーになるということ。その感覚を、感じてもらえたらなって、僕は思ったんですけどね。

──音楽だけじゃなくて、普通に喋ってるときも、言葉の意味以上に、音としての声が与える印象は大きい。同じ、「ばかやろう」でも、ビートたけしの言う「ばかやろう!」とアントニオ猪木の「バカヤロー!」はぜんぜん違ったものだと思う。ひとりの人の「ばかやろう」でも、笑いながら言うのと怒りながら言うのでは違ったエネルギーを持つだろうし。
言葉にプラスされるエネルギーは喋るときにおいては感情。音楽においてはメロディ。
メロディと歌詞が合わさったエネルギーが、その音楽を聴く人の感情を揺さぶるのか。

《サカナクションの曲『アイデンティティ』と、今回のワークショップについて》
山口:“アイデンティティ”っていう言葉は、実はすごくシリアスで、使い方によってはものすごく、危ないって僕は思ってたんですよ。で僕はこの曲を『アイデンティティ』というタイトルにする前のタイトルがあって、実は、『アイデンティティ少年』っていう…タイトルだったんですよね。“アイデンティティ”という言葉だけじゃなく“少年”という言葉をつけることで、“アイデンティティ”という言葉の響きが、少し柔らかくなる…で、いろいろな、…その、奥行きがそれに出てくるかと思って…だけどそれで詞を書いていったときに、方向性がひとつしかなくなってしまったんですよね。“アイデンティティを持っている少年”なのか、“アイデンティティがない少年”なのか…その“少年”のほうにフォーカスが来すぎてしまって、で僕は、“アイデンティティ”という言葉だけをタイトルにして、じゃ、その怖さを、シリアスさを、じゃあどういう風に曲の中で和らげていこうか…もっとみんなにいろいろな捉われ方をしてもらえるようにしようかという、その作業が、そういう過程自体が、僕にとってのその、アイデンティティになっていったんですよ。だから今日こういう風に、みんなが“アイデンティティ”という言葉から、いろいろ連想して、それを実際に言葉に発して、音楽に乗せて、いろいろなイメージを持って、それを僕らが共有できたっていうのは、なんか、これからまた新しく音楽を僕も佐野さんも、作っていく、なかで、僕はすごく背中を押された感じがしたと思いますね。

──ワークショップのテーマとなった自分の曲のエピソードと合わせてうまくまとめるなぁ。佐野さんもひと言、「あぁ、素晴らしい感想だね」。“僕はすごく背中を押された感じがした”…心に沁みてくる言いかただなぁ。
『アイデンティティ』はまだちゃんと聴いたことないけど、このタイトルについてのエピソードは聴けて良かったなぁ。好きな曲ほど、その歌詞がどんな思考の過程で書かれたのか知りたいもの。感動した絵があったら、その絵がアトリエで描かれる過程を見たいし、好きな人ができたら、これまでどんな人生を送ってきたのかを知りたくなるように。目の前の歌詞カードに見えている文字だけでなく、出来上がるまでに何度も書かれては消されていった言葉たちの存在を忘れてはならない。

Q.サカナクションと言うフィールドに心苦しさ、窮屈さを感じることはないか?
山口:僕が、すごく心苦しく思ってるのは、もっと大きな枠で、音楽シーンとして、そういうフィールドの中でいったい自分たちがどういうことをやっていけばいいのかって言うこと。そこをすごく心苦しく思ったりすることはありますけどね。自分が好きなことをやっても、ちゃんとその…受け入れてくれるだろうかとか、シーンは、リスナーのみんなは分かってくれるだろうかとか、音楽にあまり興味がない健全な人たち?(ニヤッと笑顔)…そういう人たちにいったい、音楽が好きな僕らが作った音は届いていくのかなって言う…それをすごく悩んだりするときはありますけど…ね。

──今の日本の音楽シーンを自分たちが好きな音楽で変えたいという強い思いが伝わってきた。
自分が良いと思うものでも、他人にとっては無価値だったり、無理やり押し付けようとしても届かない。
届かないということを前提として、どうすれば自分が好きなことの範囲内で、他人に届くカタチにできるか。
それが今のサカナクションにとっての音作りなのかも知れない。


思慮深い話し方で淡々と語るサカナクション山口一郎氏
ブログでは“一路”と称しているので、親しみと敬意をこめて“一路さん”
そう呼ばせていただきます。
サカナクションもこれから聞き込んでみよう。

今シーズン最終回だった。
また来シーズンも続いてほしいなぁ。
個人的に観たいのはGRAPEVINEや斉藤和義や山崎まさよしあたりかな。
スピッツなんか出たらすごいな。
週末の楽しみが減ってしまった。

PCで録画しているため、メモリーがたまっていくのだが、このシリーズだけは消せない…
DVD化を強く希望します。
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by yuzuruzuy | 2010-10-04 02:06 | 表現


つまらない、面倒くさいを、面白く。


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