THE SONGWRITERS 佐野元春×RHYMESTER ①



僕はヒップホップはあんまり聴かない。
でも実はいちばんコトバというもののチカラを大切にしている音楽なのかも知れない。
この番組を観てそう感じました。

ライムスターから今回まず登場したのは
宇多丸&Mummy-D

冒頭で佐野元春が朗読したのが『ラストヴァース』
語っているのに不思議に自然とラップのリズム、グルーヴが出てくる。
ゲストが二人のせいか、途中から合成でもうひとりの佐野元春が出てきて
一緒に朗読する演出がカッコよかった。

≪日本語でラップする上での試行錯誤≫
宇多丸:日本語って、ラップに向いてねぇな、みたいに思う(笑)、まずは壁が一個ずつ出てくる、例えば英単語だったら1拍で1単語置けたりするところに、日本語だと1拍に1単語はやっぱり置けない。で…1拍に置ける日本語もあるから、そこでこう、リズムをというか響きを圧縮できるコトバを選んでってとか…そういう感じですかね。ただこう1音1音に置いてくとほんとに間延びしちゃうし。あと音素が、英語に比べると貧弱だから、例えば同じ韻を踏むって言っても英語だと語尾の1音ぐらいで韻を踏んでるように聴こえるんだけど、日本語だとどうもそんな風に聴こえないと…なのでもうちょっと手前から、「韻ですよ」って感じで踏むか、もしくはMummy-Dが得意とする感じだけど…イントネーションから、こうして(抑揚を表すような手振り)、ね、変化をつけて…やるとか。

──言葉についての分析が徹底されていると思った。英語と日本語の音素の違いなんて考えたことないわ。『ラストヴァース』でも、“現実”と“幻想”だったり、“音楽”と“騒音”、“超越”と“消滅”、“engineer”と“genius”のように、語尾以外の部分から韻を踏んでるような歌詞づくり、曲作りがされている。これぞ日本語ラップなのか。

佐野:非常に多くの、目に見えない、メジャーな声を代表するというよりかは、ある共感を持つ、サイレントマジョリティーが全員合唱してくれるような色濃いものを表現しよう…ラップ、ヒップホップって言うものはここに切り込んでってる音楽なのかな、と僕は思うんですが──

宇多丸:おっしゃる通りで、たぶんその、もっともミクロな視点っていうところに、普遍的な何かがあるっていう事じゃないかなと思うんですけどね。ものすごい地べたの視点で、あのーあそこの横丁の、ナントカのアイツ…っていう話が、たぶん世界のすべての街角に通じる話、って言うところに、僕はその…最初にやっぱりヒップホップは勿論ニューヨークの特殊な文化だったんだけど、なんか、ロマンを感じたというか、同じだって言う風に感じれた。でもたぶん、そう思う若者が世界中に多いからこそ、世界中にヒップホップはこう…伝播力がすごいって言うか、どこの国にもヒップホップはあるしラップをしている子はいるってい言うー事はそこなんじゃないかと。

──ヒップホップはあまりメジャーな音楽とは言えないかもしれないけど、言いたいことをはっきりとしたコトバにして、ミクロな部分で共感を得る。だからファッションとしてもここまで広まって、聴く人の生活スタイルにまで影響を与える音楽なのだろう。


Q. ライティング上のメソッドについて

①口に出して、まず気持ち良いコトバの連なりであること。それがグルーヴを生む。
②日本語として、耳で聞いて、理解できる内容であること。
③内容が、歌ってウソがない内容であること。

宇多丸:4小節目で腑に落ちる、4小節目で腑に落ちるって言う風に「うまい!うまい!うまい!」って言うのが続いて、って言うのがラップの大きな快楽だと思うんですね。

佐野:そしてリスナーはつねにそっちの方に耳が吸いつけられる…そういうひとつの技法である…

宇多丸:そうですね、うまいこと言うって言うのが…やっぱり基本なんだと思うんですよね。


Q.好きな言葉
一理ある
理由がある
──ふたりとも同じこと考えてた。

Mummy-D:例えば、女の子って何でこんなときにこういうことしちゃうんだろう?若い子って何であんなふうな言葉遣いするわけ?って大人になったらそういうこと考えがちだけど、そこには必ず理由があって、一概に上からこう馬鹿にすることはつねにできないなっていうふうに思う。

──誰かの些細な行動の理由を考えるという部分は、ミスチル桜井の放送回での、“他人の無意識な仕草に意味を持たせる”という発言に通じるものがあると感じた。

Q.嫌いな言葉
「わたし馬鹿だから」的な言葉
宇多丸:そんなこと言われたら話終わっちゃうじゃんていう…どんどんこう、コミュニケーションをとってこうよ!ていうことなのに、「わたし馬鹿だから」とか「おれ馬鹿だから」ってこう、シャットアウトしてるじゃないかっていう、そんなのお互い馬鹿だよ、馬鹿同士話そうって言ってるのにっていう…感じなのかな。さっきの「一理ある」と裏表の話なんですけど。

──これかなり同感。即答で「分からん」とか言われたら哀しくなる。自分もそういうことは無くしたいと思う。

“エッチ”っていう男が嫌い
Mummy-D:なんか大事なことを隠そうとしてるような…ウェットな本質を隠そうとしているような、そういうものを感じるんですよ。

──笑。でも確かに“エッチ”に限らず言い回しを変えることによって本質を隠そうとしてる言葉は多いと思います。それが技巧にもなるのだろうけど、大事なことは伝わるようにしなくちゃな。


アジカン後藤は、現実を描くチカラではロックはヒップホップに勝てないと話したらしい。
それを受けてライムスターは逆に、ラップは言葉の多さゆえに、イメージを限定するだけになる時があり、膨らます余地がない、行間を書いてしまっているだけの、野暮なものになりかねないと話した。

コレは広告にも通じて、説明が多すぎると、下手をすれば押し付けがましいものになってしまう。
逆に読み手のイメージが広がるようなひとことが、読み手自身の解釈を伴って、一人ひとりに、“自分のコトバ”として流通すれば、それはものすごいチカラを発揮する。

自分たちでヒップホップの強さだけでなく弱さもちゃんと分かってる。
だからこそ自分たちのやり方を追求できるんだな。


ヒップホップがここまで理論思考的だということは知らなかった。
意味がなくてもリズムと韻が踏めたら良いだけなのかと思っていた。
でもそこにはものすごく緻密な計算や、メッセージを伝えるため、
聴く人を納得させる“理由”があるのだな。

ラップの歌詞と同じようにとっても内容の濃い30分でした。
ヒップホップだからいいやといって見逃さなくて良かった。
[PR]
by yuzuruzuy | 2010-08-30 06:11 | 表現


つまらない、面倒くさいを、面白く。


by yuzuruzuy

プロフィールを見る

S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

最新の記事

さらば
at 2014-09-25 04:35
きょうこそ
at 2014-07-04 01:31
イタいのイタいの、飛んでいけ!
at 2014-06-14 23:03
いろいろあるけれど
at 2014-06-05 03:56
「ママ、しまじろうのお顔、ご..
at 2014-05-04 01:25

以前の記事

2014年 09月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2013年 11月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
more...

カテゴリ

全体
日記
独り言
つぶや句
読書
映画
広告
写真
表現
SLT
夢日記
屋久島
自転車de東京
欧州一人旅
回文
未分類

タグ

検索

我的書架

ブクログ

その他のジャンル

外部リンク

記事ランキング