『乱歩地獄』

江戸川乱歩の4作品を4人の監督が映像化した作品
監督は違うのに、どの作品もつながっているように感じる
それが江戸川乱歩の生む世界なのだろうけど、ひと言では言えない
正直、よく映画化できたなというほど狂っているし、画面から目を離したくなるほどおどろおどろしいシーンもあるのだけれど、ホラーの怖さよりもリアルで、心理的に迫ってくるものがあった
そしてどの作品も映像がきれいで、気味悪さとの振れ幅が大きい
予告編での“ディープでポップ”に、同感
ただ、ホラーとかサスペンスとかほとんど観ない自分にはディープさが強烈だった
そしてここにも浅野忠信がいてしまった
唯一全作品にまたがって出演している浅野忠信
浅野地獄でもいいんじゃないか?

≪火星の運河≫監督:竹内スグル
冒頭の数分間無音という手法で、引き込まれる
沈黙のなか、ベッドの上で裸でもう1人の自分と戦う、浅野忠信演じる男?
その後ノイズの流れる中、男?が裸で惑星にいる
なぜ“男?”かというと、身体が女になってしまっているからだ。
美しい緑に包まれた原初的な惑星の、土俵6コ分ほどの大きさのクレーター池のほとりで(例えが下手ですみません)
もがき、倒れこむ男。
何か物語の始まりを予感させる作品。

惑星はCGかと思いきや、エンドロールを観るとアイスランドでロケしてたようだ。
次観るときに「裸で寒くなかったのかな?」と余計な心配をしてしまいそうだ。

≪鏡地獄≫監督:実相寺昭雄
巨匠と言われる映画監督。
しかもウルトラマンの演出で有名だとは、小さいころから実は馴染んでいたのかも。
この物語には、明智小五郎が出てきた。演じるのは、勿論浅野忠信。
鏡をめぐる殺人事件で、トリックにももちろん鏡を巧妙につかった犯行
監督はそのテーマを徹底していて、つねに画面のどこかに鏡を入れ込んだり
場所を説明するのに、文字を裏返しにしたタイポグラフィーのカットをはさんだり
物語が鏡のなかで起こっているように感じる作品。
犯人が鏡に飛び込んで死ぬラストシーンも強烈だった。
冒頭と最後の、砂浜に墓石のように並ぶ鏡が、異世界を映し出しているようで印象的だった。


≪芋虫≫監督:佐藤寿保
これが一番狂っていた。狂いすぎて書けない。
愛がいき過ぎると人間こうなってしまうこともあるのかと考えると、とてもリアルで、悲しい話にも思えた。
こんなのを書いた江戸川乱歩は、どんな趣味を持っていたのかと思うとそっちも怖い。
大森南朋の演技がスゴイのひとこと。龍馬伝の武市半平太しかり、あの目には不思議な力がある。

≪蟲≫監督:カネコアツシ
潔癖症で現実の汚さに狂った男の、純粋だけどとんでもなく屈折した愛が生んだ妄想と現実。
人通りのなかブリーフ一丁で「すいませんでした!」と次々と頭をさげる
浅野忠信のこんなはじけた演技は初めて観て、違和感ありまくりだったけど、
その違和感が非現実的な雰囲気を倍増させてたと思う。
男の妄想内の鮮やかな世界と現実らしき色褪せた世界が交互に流れて
どこからどこまでが現実なのか分からない。
ただ、現実を映す鏡のような皮膚科医役の田口浩正は、良い意味で、リアルだった。



こんなとんでもないものをつくってしまう江戸川乱歩の小説を読んでみなければ。

エンディング曲のゆらゆら帝国が地獄から救ってくれるかのように妙に爽やかに聴こえて、かっこよかった。



乱歩地獄 デラックス版 [DVD]

ジェネオン エンタテインメント


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by yuzuruzuy | 2010-06-08 09:01 | 映画


つまらない、面倒くさいを、面白く。


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