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『働くことがイヤな人のための本』 中島義道

 こんな題名に惹かれる自分はどうかと思うが、古本屋で100円だし直感的に手にとってしまったものは仕方ない。4人の社会から考えのはみ出した架空の人物との対話形式で、働くことと向き合うためのメッセージが自分の人生経験を通し書いてある。引きこもりの法学部留年生なんて自分も一歩踏み込みかけてそうな人物にドキン。
 著者は哲学者。12年間大学生活を送って、37歳でようやく大学教員の定職を持ったという、自分でも書いているが相当な引きこもり生活を経験して、かなり反社会的な考え。
 そんな人物が書くものだから、頑張ったらきっと天職が見つかるはずさなどと、働けない人を励ますようなことを書くはずもなく、絶えず人はどうせ死ぬんだとか、結構虚無的。
 何度も繰り返しかかれていたのが、人生、社会の理不尽さと向き合えということ。幸福に生きるために人間は科学や法律で理不尽さ、不合理さを隠してきた。その結果どうしようもなく適合できない人々が出てくる。だって人間もとから不合理なんだから。いかに不幸になろうとも“死”を見据えて生きる。それが不条理を認めることであり、よく生きることにつながるのではないか。
 まぁ最近の読書歴をご覧のとおり、不条理とは向き合うつもりでいますよ、僕も。読んだばかりの、カフカの『城』の主人公Kや、『異邦人』のムルソーについても書かれていて、この本を選んでしまったのにも理由があったのかもしれないと思う。不条理のただ中での二人の生活は、孤独だが、自分だけが清潔なように感じさせる。まぁ、二人とも職がない状態ってのは問題だな。こういうことを考えながら、根っからの哲学者になりきれなくとも、どんな仕事を通しても哲学できる生き方が良いのかな。
 最近選んでしまう本はクセの強い著者が多い・・・選びたいんじゃなくて、選んでしまうんです、これも不条理?


by yuzuruzuy | 2010-02-01 15:31 | 読書


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by yuzuruzuy

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