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『城』 フランツ・カフカ

 カフカの未完の長編。分量もあるしインフルエンザをはさんで読むのに結構時間がかかった。ある城に測量士としてやってきたKに、その仕事は用意されておらず、確かめようと城に問い合わせようとするも、職業のないKを城の使者や村の人々はよそ者として扱う。どんな行動を起こしても何も分からないし、城に近寄ることもできない。読んでいても何も分からず、Kの行動だけがむなしく繰り返されていく。Kの行動もいつしか目的が失われているように思えてくる。その姿は自分の存在を失った完全な“異邦人”。ぼくもインフルエンザで一時的に世間から隔絶された“異邦人”。そんな気分でじっくりと不思議なカフカ的感覚にはまり込んで読んだ。
 城や村の人々は何かしら職業を持っていて、楽しくもないが与えられた仕事をやって暮らしている。Kは“測量士さん”と呼ばれながらも、その仕事はない。自分の全く知らないシステムの中で、訳も分からず、ただそこに置かれている状態の人間。カフカ作品特有の世界観。カフカも彼の置かれた社会の中で、このような感覚を味わっていたのかなと思った。最後まで書いて欲しかったな。きっとはっきりとした結論が出ることはないのだろうけど。


by yuzuruzuy | 2010-01-31 22:29 | 読書


つまらない、面倒くさいを、面白く。


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